コミックナタリー Power Push - ドラマ「弱虫ペダル」特集
小越勇輝(ドラマ・小野田坂道役)×山下大輝(アニメ・小野田坂道役)対談
2人の小野田坂道
渡辺航が週刊少年チャンピオン(秋田書店)にて連載中の、自転車競技マンガ「弱虫ペダル」。オタク少年の小野田坂道を中心に描くこの作品は、舞台化、アニメ化もされ大ヒットを記録し、ついにこの夏BSスカパー!にてテレビドラマ化されることとなった。
コミックナタリーではドラマ、舞台で小野田坂道を務めている俳優・小越勇輝と、アニメで同じく坂道を演じる声優・山下大輝の対談をセッティング。2人が坂道という役にどう向き合っているか、お互いの舞台裏話を交えつつ聞いた。なおステージナタリーでは小越と金城真護役・郷本直也、巻島裕介役・馬場良馬のドラマキャスト座談会も公開中なので、こちらも併せてお楽しみあれ。
取材・文 / 坂本恵 撮影 / 佐藤類
過酷なコースで早朝から撮影
──小越さんと山下さんは、お会いするのは初めてですか?
小越勇輝 そうですね。はじめまして、小越勇輝です。
山下大輝 はじめまして。山下大輝です。ドラマの特番のナレーションをやらせていただきました。
小越 あ、そうそう。実際に特番を観てからナレーションされていたことを知ったので、「あ!」と思いました。
──ドラマ「弱虫ペダル」撮影の裏側などに密着した事前特番で、実は山下さんがナレーションを担当されていたんですよね。山下さんはそのときに初めてドラマの現場の雰囲気などをご覧になったんですか?
山下 そうです。ほんっとに大変そうだなって! 伊豆修善寺のサイクルスポーツセンターでも撮影されてたじゃないですか。原作やアニメでは坂道と真波くんがそこで競争するシーンもあったりしますよね。僕もロケであそこの激坂を登ったことがあるんですけど、めっちゃキツくなかったですか?
小越 真波くんと走るところはまだ撮影してないんですけど(※取材は8月初頭)、手嶋さんたちと走る合宿のシーンとかを撮って、大変でしたね。それもアップなしに朝から急に走るんで、「ああ、朝から運動はキツいな」と思いながら(笑)。
山下 え、撮影って何時くらいからやってるんですか?
小越 えー、何時だろう。早いときは7時からとかかな。
山下 おわー、すごい! 合宿じゃないですか、まさに!
──山下さんもそのロケ(DVD「弱虫ペダル SPECIAL ROAD in 日本サイクルスポーツセンター」収録)で、午前中からレースに挑んでらっしゃいましたよね。
山下 そうですね、朝から走りました! 走ったコースはプロのレースも行われるくらいの過酷なコースで、僕は普段からすごく乗ってるわけでもなかったので、一般人が走るコースじゃないなって痛感しました。一緒に走ったアニメのキャストの中には、普段からすごく乗っていてレースにも出ているような先輩方もいたので、僕はもう「ついていきます!」って感じでしたけど(笑)。
実際にロードレーサーに乗ることで坂道の感覚を理解する
──ドラマのキャスト陣は皆さん、ロードレーサーは初めてだったんでしょうか。
小越 初めての人ばっかりでしたね。ロードレーサーに触れるのも初めてっていうくらい。持ってる人も全然いなくて、ホントに1から教えていただきました。
山下 事前番組で練習風景も見ましたけど、すごく大変そうでしたね。ホントにアスリートの方みたいでした。
小越 乗り方からギアの変え方から、普通の自転車とは全然違ったので。初めてちゃんと乗って、マンガの表現についても改めて実感が持てましたね。このシーンでこういうセリフを言ってるけど、ホントにそういう感覚だなって。人に引っ張られるとか、離されるっていう感覚も初めて知ったし。実際にやるのとやらないのとじゃ、全然違います。
──小越さんは実際にロードに乗って演技をされるわけですけど、声優さんは声だけの演技になりますよね。山下さんも、実際に乗ってみることで演技も違ってくるものですか?
山下 そうですね。僕も「弱虫ペダル」をやる前は、普通にママチャリしか乗ったことがなかったので、「ひと踏みひと踏みがぐんぐん進む」っていうマンガの表現も、「そんなまさか! 何もそこまで」って思ってたんですよ。でも僕もロードレーサー、(原作で坂道が乗っている)BMCのロードを買ったんですが、実際に乗ったときにびっくりしましたね。「こんなにも違うのか!」と。ホントにひと踏みひと踏みがグーンって進むというか。これが坂道が感動した感覚なんだなって、こんなだったんだなって理解できました。
小越 いや、感動しますよね。僕も撮影前半はずっとママチャリに乗っていたので、ロードレーサーに乗り換えたときに、自然と「うわ、なんだこの乗り物!」っていう声が出ちゃうくらい、全然違いました。「坂道ってホントすごいな」って。あんな鼻歌歌いながらママチャリで激坂上るとか、「無理じゃん」って思いながらやってましたから(笑)。
山下 しかも坂道だから、笑顔で登らないと(笑)。
小越 そうなんですよ。笑顔で登らないといけなくて、激坂も普通のスタートじゃ登れなかったので勢いをつけて登ってみたら、それだと今度はちょっと速すぎるって言われたりとか。
山下 えー! じゃあ何度も何度も同じ坂を!?
小越 登ったりしてましたね。
山下 うわー、過酷! しかも坂道ってケイデンス(回転数)を上げないといけないですよね。「30回転上げます」って正直無理な話だけど、それを表現したりしないといけない。
小越 実際走るときに、ロードレーサーに今ケイデンスがどれくらいかわかるメーターが付いてるんですよ。それを見ながらホントに30ずつ上げて。ウェルカムレースで金城さんに「ケイデンスを上げろ」って言われるシーンでは、僕は160くらいまで上げてやってたんですけど、でもそれはずっと継続してではなくて、1カットとか1シーンごとのことなので、マンガではこれをずっと続けてるのかと思うと「すごいな、坂道」って(笑)。
──山下さんはご自分のロードレーサーを買われたということですけど、プライベートでどんなふうに楽しんでいらっしゃるんでしょうか。
山下 乗るときはやっぱり、すごく気を遣いますね(笑)。例えばサイクルスポーツセンターだったらなんにも気にせず乗れたんですけど、都内とかだと乗るのが怖くて……。車道を走らないといけないけど、車もバンバン走ってるし。ロードって軽いので、車が横を通ると風の影響もすごくて怖いんですよ。だから乗るときは、気合いが要ります(笑)。
──小越さんは、自転車を買いたい欲は湧いてきてますか?
小越 実際乗ってみてすごいなと思ったので、欲しいとは思うんですけど、怖いほうが大きくて(笑)。すごく気を遣うから、ちょっと手が出せないんですよね。盗られちゃったらやだなとか。
山下 ドラマでは自転車にもすごくこだわってるってお聞きしました。坂道はママチャリの次は……。
小越 クロモリです。
山下 ママチャリからクロモリに乗り換えるんですよね。今泉くんの青いスコットも特注で用意したって聞いて、原作愛に溢れていていいなと思いました。
次のページ » お互いの、舞台やアニメへの触れ方
- Contents Index
- ステージナタリー 小越勇輝×郷本直也×馬場良馬 座談会
- コミックナタリー 小越勇輝×山下大輝 対談
BSスカパー!オリジナル連続ドラマ「弱虫ペダル」
2016年8月26日(金)
21:00~ 放送スタート 〈全7話〉
※第1話無料放送
あらすじ
アキバをこよなく愛するオタク高校生の小野田坂道。
運動が大の苦手で高校に入ったらアニメ研究部に入ろうと心に決めていたが、入学と同時に部員不足でアニ研は事実上の廃部状態に!
5人の部員を集めれば部を復活させられる事を知った坂道は、必死に部員集めに奔走する。
そんな中、ひょんなことから出会った今泉俊輔に自転車勝負を申し込まれてしまう。
尻込みする坂道だったが、勝てば今泉もアニ研に入部すると聞きレースに挑む事になる。
原作:渡辺航(秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載中)
監督:棚澤孝義
脚本:吹原幸太 ほか
キャスト
小野田坂道:小越勇輝
今泉俊輔:木村達成
鳴子章吉:深澤大河
金城真護:郷本直也
田所迅:友常勇気
巻島裕介:馬場良馬
手嶋純太:鯨井康介
青八木一:八島諒
古賀公貴:輝馬
杉元照文:平井浩基
寒咲通司:安里勇哉
寒咲幹:桜井美南
橘綾:野口真緒
福富寿一:滝川英治
荒北靖友:鈴木拡樹
東堂尽八:北村諒
新開隼人:宮崎秋人
泉田塔一郎:青木空夢
黒田雪成:秋元龍太朗
真波山岳:植田圭輔
御堂筋翔:林野健志
©渡辺航(週刊少年チャンピオン) 2008/スカパー!・東宝・舞台「弱虫ペダル」製作委員会
「弱虫ペダル SPARE BIKE」2016年9月9日より2週間特別上映
「弱虫ペダル SPARE BIKE 巻島裕介」あらすじ
春、総北高校に入学した巻島裕介。これまでたった一人で走ってきた彼は総北の自転車競技部に入部することで、自らの自由な走りで周囲から認められ、広い世界に羽ばたくことが出来る、と胸を躍らせていた。しかし、彼の独特なダンシング走法は、部の先輩たちから嘲笑され、走り方を直すように言われてしまう。「自転車は自由だ」と信じていた巻島は……。
「弱虫ペダル SPARE BIKE 東堂尽八」あらすじ
オシャレなことがモットーの中学二年生・東堂尽八は、箱根の街に生まれ育った、老舗温泉旅館の嫡男。ある日、ロードバイクに乗る友人・糸川修作から自転車レースに誘われるも、ヘルメットで髪が乱れる理由から拒否。しかし試しに2人で競うように箱根の山を走ってみると、東堂の心の中にひとつの衝動が生まれ──。
スタッフ
原作:渡辺航(秋田書店「別冊少年チャンピオン」連載)
監督:鍋島修
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
キャスト
巻島裕介(CV:森久保祥太郎)
寒咲通司(CV:諏訪部順一)、金城真護(CV:安元洋貴)、田所迅(CV:伊藤健太郎)
小野田坂道(CV:山下大輝)、今泉俊輔(CV:鳥海浩輔)、鳴子章吉(CV:福島潤)、寒咲幹(CV:諏訪彩花)
東堂尽八(CV:柿原徹也)
糸川修作(CV:阪口大助)、皆水(CV:伊瀬茉莉也)
福富寿一(CV:前野智昭)、荒北靖友(CV:吉野裕行)、新開隼人(CV:日野聡)、泉田塔一郎(CV:阿部敦)、真波山岳(CV:代永翼)
©渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダルSB製作委員会
アニメ「弱虫ペダル」第3期 2017年1月放送スタート!
小越勇輝(オゴエユウキ)
1994年4月8日生まれ。東京都出身。2010年よりミュージカル「テニスの王子様」2ndシーズンにて、主人公・越前リョーマ役を4年にわたり務める。そのほか出演作に「仮面ライダーキバ」「ロック☆オペラ『サイケデリック・ペイン』」、舞台「東京喰種トーキョーグール」、舞台「弱虫ペダル」など。2016年9月からは「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~幕末天狼傳~」にて堀川国広役を演じる。
山下大輝(ヤマシタダイキ)
9月7日生まれ。静岡県出身。主な出演作に「弱虫ペダル」(小野田坂道役)をはじめ、「僕のヒーローアカデミア」(緑谷出久役)、「磯部磯兵衛物語」(磯部磯兵衛役)、「とんかつDJアゲ太郎」(勝又揚太郎役)、「あんさんぶるスターズ!」(朔間凛月役)、「刀剣乱舞」(厚藤四郎役、今剣役)、「少年ハリウッド」(佐伯希星役)など。