コミックナタリー Power Push -「ガーリッシュ ナンバー!」

「俺ガイル」の渡 航、最新作は“だいたいいつも揉めている”声優業界ストーリー

原案・渡航にメールで直撃!「ガーリッシュ ナンバー」にまつわる28の質問

偉い人を騙すため適当につけたキャッチが……

「ガーリッシュ ナンバー」を作るきっかけは「おかしい業界の一端、一幕を書いてみたい」とのことですが、具体的にそう思うようになった理由は?
アニメ「ガーリッシュ ナンバー」PVより。

会社勤めとライトノベル原稿執筆とテレビアニメ関連作業が重なって、すべての案件が時間的にひっ迫した時期がありまして、その時に強く感じました。

その時は3日4日連続で徹夜して原稿書いて、いろんな作業して、会社行って……という生活をしていたんです。

で、ある日、会社から帰るとき、あまりに寝てないせいか、駅のホームで歩きながら寝落ちして、柱にぶつかったことがありました。

その時、思いましたね。

ライトノベルで人を殺せる、って。

何より恐ろしいのが、この手のエピソードが、この業界では別に珍しくもないということです。

別の会社に勤める友人にそんな話をしたら、「なぜお前は家に帰ったのか」と、「なぜ会社や出版社に泊まらないのか」と言われた時には、ほんとに思いましたね、「ごめんなさい、甘えてました」と。そいつは鬱病で仕事を辞めたんですけれども。もはや、おかしいのは業界ではなく、この国の労働環境なのではないかという気もしてきましたが、逆に言ってしまうと、この業界の人たちがそこまで頑張ってしまう理由、狂気にも似た魅力があるのだろうと強く思ったことが「ガーリッシュ ナンバー」を書く一番のきっかけになったかもしれません。

アニメとか出版関係の方に「これを送ったら寝よう……」と朝4時くらいにメールを送ると、すぐに返事が来るんですよ。むしろ、何時に送ってもだいたいすぐに返ってくるので、大丈夫かなと心配になります。

たぶん、そうした環境から自分の精神を守るために、「ガーリッシュ ナンバー」のような可愛い女の子たちが明るく楽しく頑張る姿を描く作品を書きたいと思いました。

「飲みの席から始まったこの企画」(小説1巻あとがき)だそうですが、当初の構想と現在のプロジェクトで、大きく変わった点などあれば教えてください。

何もかもが違うという……。

最初にオリジナルアニメを作ろうという雑談をし始めたのが、4年くらい前だったのですが、それからしばらくは「『青春もの』をやろう!」という話をぐだぐだ酒を飲みながら話していました。そのときの田中P(TBS・田中潤一朗プロデューサー)の言葉が「感動! 感動! エモーション! ……な感じ?」とかいう何の役にも立たないひどい発注だったので、「こいつやべぇな……」と思ったことをよく覚えています。今もわりとやばい。

アニメ「ガーリッシュ ナンバー」PVより。

それから1年ちょっとくらい、当初は「地方都市での少年少女たちのひと夏の青春群像劇」みたいな感じの話を書いていました。プロット作ってシリーズ構成切って粗々のキャラ設定も上がってなんとなく見えてきた…という中で、「やはりこれ、地味なのでは?」という意見や「これ何が面白いんですか?」的な意見が出てきて、「わかったわかりました! 全部作り直し! 解散! 解散! この企画は解散です!」となって……。

それから数日後に田中Pが「いやーごめんごめん、なんかやろうよ」って今度はワイン飲みながら話し始めたもんで、「このプロデューサー、ほんとこいつ……」と思って、こうなったらすんごい無茶言ったろうと「アイドルものかロボものがやりたい」と言い出した結果、アイドルものをやることになりました。なので、本当の意味での最初の構想とはまったくの別物といっていいかと思います。

その時、「アイドルもの」と田中Pに嘘をついて出した企画書に「声優アイドルものです!」と書いていまして、それが「ガーリッシュ ナンバー」の原型になりました。口頭では「ふわふわキラキラしたアイドルものですよ! とにかく可愛い! 勝ったな! ガハハ!」と一生言っていました。

実際にプロットを作ってみると、今の「ガーリッシュ」より、もっと暗いお話になってました。当時、偉い人たちを騙すために適当につけたキャッチが「ハートウォーミング時々殺伐アイドル声優青春ストーリー」でしたが、中身はだいたいいつも揉めている殺伐業界ものというありさまで……。

しかし、それを企画として通してしまうから「このプロデューサー、すげぇな、やべぇな、恐ろしい……」と思ったことをよく覚えています。今もわりとやばい。

逆説的な話ではありますが、こうした出会いや経緯が「ガーリッシュ ナンバー」を書く一番のきっかけになったように思います。この業界おかしい。

結局この業界全然意味わかんねぇな

こうした業界裏話的な内容にするにあたって、障害などありましたか?
アニメ「ガーリッシュ ナンバー」PVより。

私自身の実制作作業には特に支障がなかったのですが、むしろ今後に障害が残りそうです。渡航と一緒に何かを作ろうと思う業界関係者が皆無になるのではという危惧があります。俺だったらこんな話書いた奴と仕事したくないまである。

「虚実フィクションノンフィクション、いろいろ折々取り混ぜて」(小説1巻あとがき)とありますが、ノンフィクションは何割くらい?

アニメで登場する九頭Pと十和田というAPの話あたりは多少形を変えてはいますがだいたい全部実話です。アニメ製作、制作にまつわるもろもろはおおよそ半分が実話ベース。声優さんたちの発言や内面に関わるお話は……2割、いや5%くらい?……かな? たぶん。

この作品を作るにあたり、どのような取材をされましたか?
アニメ「ガーリッシュ ナンバー」PVより。

役者さん何人かには芝居観、演技の技術的なお話、業界のシステムや声優を志した経緯や現場で印象に残っているエピソードを聞かせていただいたりしました。業界的な部分については本作のプロデューサー陣をはじめとした方たちにうっすらとお話を聞かせていただいた感じです。

あとは実際に養成所を見せていただいたりといった感じでしょうか。

とはいえ、情報や知識をインプットするためというよりは、空気、雰囲気を感じ取るためにお話を聞かせていただいた、という側面が強いですね。

本当に、会社や個人、タイトルによって考え方もやり方も違うので、興味深かったというか、結局この業界全然意味わかんねぇなと感じましたね。

テレビアニメ「ガーリッシュ ナンバー」

「ガーリッシュ ナンバー」

TBS

10月6日より毎週木曜日26:28~

チューリップテレビ

10月8日より毎週土曜日25:53~

サンテレビ

10月7日より毎週金曜日24:00~

BS-TBS

10月8日より毎週土曜日25:30~

スタッフ
  • 原作:Project GN
  • 原案・シリーズ構成:渡航
  • キャラクター原案:QP:flapper
  • 監督:井畑翔太
  • キャラクターデザイン:木野下澄江
  • 美術監督:峯田佳実
  • デザインワークス:石川雅一
  • LO監修:益田賢治
  • 色彩設計:林由稀
  • 撮影監督:伊藤康行
  • 編集:小島俊彦
  • アニメーション制作:ディオメディア
キャスト
  • 烏丸千歳:千本木彩花
  • 久我山八重:本渡楓
  • 片倉京:石川由依
  • 苑生百花:鈴木絵理
  • 柴崎万葉:大西沙織
  • 九頭P:中井和哉
  • 烏丸悟浄:梅原裕一郎
  • 十和田AP:江口拓也
  • 難波社長:堀内賢雄

「刃牙道(8)」

オープニングテーマ
「Bloom」

2016年11月16日発売
1296円 / GNCA-0444
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

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「刃牙道(8)」

エンディングテーマ
「今は短し夢見よ乙女」

2016年11月30日発売
1296円 / GNCA-0445
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

Amazon.co.jpへ

歌唱:ガーリッシュ ナンバー(烏丸千歳、久我山八重、片倉京、苑生百花、柴崎万葉)

コミック
堂本裕貴、渡航、QP:flapper 「ガーリッシュ ナンバー」1巻 / 発売中 / KADOKAWA
コミック「ガーリッシュ ナンバー」1巻
コミック 616円
Kindle版 570円
小説
堂本裕貴、渡航、QP:flapper 「ガーリッシュ ナンバー」1巻 / 発売中 / KADOKAWA
小説「ガーリッシュ ナンバー」1巻
ソフトカバー 972円
Kindle版 900円
渡航(ワタリワタル)

千葉県出身、1987年1月24日生まれ。ライトノベル作家。2009年5月に「あやかしがたり」でデビュー、2011年に発表した「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」のほか、同業のさがら総、橘公司とのユニット・Speakeasyによる「クオリディア・コード」もアニメ化された。

QP:flapper(キューピーフラッパー)

イラストレーターの小原トメ太、さくら小春によるユニット。ソーシャルゲーム「ガールフレンド(仮)」などのキャラクターデザイン、アニメ「天体のメソッド」「レガリア The Three Sacred Stars」 などのキャラクター原案を担当した。