コミックナタリー PowerPush - コミックシーモア

上坂すみれがコミックシーモアからチョイスした「いつか誰かに食らわせたい必殺技が載っている」8作品

パワーインフレ巻き起こる世界のモブになりたい

──「うる星やつら」って実は結構バイオレントなマンガですよね。

上坂すみれ

そうなんですよ。基本的にヒドい目に遭うのは(諸星)あたるくらいなんですけど、彼が典型的なギャグマンガキャラというか、何をされても血の1滴も流さないのをいいことに……。

──ラムちゃんは電撃を食らわせ……。

テンちゃんは火を噴き、(三宅)しのぶは机やら岩石やらを投げ付け、面倒(終太郎)は日本刀を抜き。あとミス友引っていう美人コンテストに出る女の子が握力測定をするシーンでは、みんな握力計を握りつぶしちゃってて。そこに「うる星やつら」のパワーインフレというか、「登場人物は皆強くなければならぬ」という高橋留美子先生の美学を見た気がしました(笑)。だから「うる星やつら」に関しては、キャラたちに容赦なく致死量レベルの攻撃を食らわせる、留美子先生の必殺技的態度が好きなんだと思います。

──となると、上坂さんはその必殺技を会得できなさそうですね。

残念なことに(笑)。なのであたるや面倒の通ってる2年4組のクラスメイト、モブになりたいですね。授業中に日本刀と火炎と机が飛び交い、どこからともなくやってきたレイさんが牛に変身して大暴れして。なのにラムちゃんはノンキに「面白いっちゃ!」とか言ってて、あたるはあたるで早弁してて……。そういう終末的な騒動、騒動という名の大洪水の中にある教室で廊下まで流されちゃうようなモブとして生きてみたいです。

──またも上坂さんは必殺技を傍観する人になっちゃいましたけど。

でもマンガのヒロインやヒーローは特殊な能力や魅力を持ってるからヒロイン、ヒーローたり得ているわけですし、私がなれるか?っていったら、やっぱりムリだと思いますし。

上坂すみれ、初めての必殺技「体育すわり」

上坂すみれ

──基本的にマンガは読者目線ではなく、そうやって「私がこの世界にいたらどうなるだろう?」って想像を巡らせながら読んでます?

そうですね。「うる星やつら」も友引高校が潰されるたびに「あー……」って気持ちになるし、ちゃんと親身になって読んでます(笑)。

──「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」も?

はい。

──作中の必殺技は主人公・花中島マサルが体得した格闘技・セクシーコマンドー。で、セクシーコマンドーの技って基本的にズボンのチャックを上げ下げしたり、パンツ一丁になったりする類のものですよね。上坂さんもチャックを上げ下げしたい?

「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」

いや、さすがにそれは(笑)。私、フーミン(マサルの親友・藤山起目粒)になりたくて。マサルのセクシーコマンドーに「ガビーン」ってリアクションしたり、ツッコミを入れたりしたいんです。

──フーミンって、それでいてマサルの立ち上げたセクシーコマンドー部に入る優しさも持ち合わせてますしね。

あっ、そこにはまた別の力学が働いている気がします。こんなすぐにズボンを脱いじゃう人の頼みは、おいそれと断れないですから(笑)。もし断ったら絶対に自宅まで押しかけてくるタイプですもん。

──あはははは(笑)。ただ普段の上坂さんってフーミンのようなツッコミキャラでは……。

ないんですけど、それは周りの皆さんが非常に市民的だからであって。マサルとか、薬漬けのキャシャリンとか、覆面をかぶって生徒のフリをしている校長先生みたいな連中しかいないヒゲ部(セクシーコマンドー部の愛称)にいたら本能的にツッコミを入れちゃうと思います。きっとフーミンにはそういう本能的な使命感も働いてるんじゃないかなあ。「自分がいなくなったら、この人たちが社会的に行方不明になっちゃう!」って。

──そんな上坂すみれ的「すごいよ!!マサルさん」名場面って?

上坂すみれ

「体育すわり」っていう技を練習している場面ですね。この技はマサルの「恋人よ 今すぐ あなたの前に座りたい あなたの後を体育すわりで尾けまわしたい」っていう歌に合わせてみんなでかける技なんですけど……。

──このくだらないにもほどがある詞も、声優クオリティで読み上げてもらうと味わい深いものになりますね(笑)。

ふふふふふ(笑)。アニメ版ではこの詞に曲を付けたBGMが流れてて。その曲をバックに、セクシーコマンドーに対して完全に引いていたフーミンすらも加わった、最強の布陣のヒゲ部員が一丸となって大必殺技「体育すわり」を繰り出している。そんな名場面なんです(笑)。

──おっ、選書3冊目にして初めて、上坂さんがなりたい劇中キャラが必殺技を繰り出した(笑)。

ホントだ! 私もこのコマのフーミンみたいに若干顔を赤らめながら必殺技をキメたいですね。

まずはマイルドな魔太郎くんをお楽しみください

「魔太郎がくる!!」

──「魔太郎がくる!!」は必殺技満載。そして特に作品序盤の魔太郎はその必殺技・うらみ念法を私憤を晴らすためにしか繰り出しません。

だから魔太郎くんのことは本当に大好きで。好みのタイプです(笑)。

──恋愛対象として見てましたか(笑)。

「こ・の・う・ら・み・は・ら・さ・で・お・く・べ・き・か」って言ってるときに着ている薔薇柄のシャツもカッコいいし、本当にロックな人だと思ってます。作品自体もロックというか、今私が手にしている文庫版では(週刊少年)チャンピオン連載当時のものから、いろんなシーンが差し替えられてますし。以前、どの場面が差し替えられたのか調べてみたんですけど「うん。それは本当にダメだからカットしようよ」っていうものばっかりで(笑)。なので初心者の皆さんはまず電子書籍でマイルドな魔太郎くんを楽しんでいただいて、どハマりしたら絶版本を探していただければいいなって思ってます。マイルドな魔太郎くんもすっごくカッコいいですから。

コミックシーモア

累計利用者数2000万人を突破した国内最大級の電子書籍配信サイト。 NTTグループのNTTソルマーレが運営し、2014年8月16日にオープンから10周年を迎えた。 22万冊以上の品揃えを誇り、「ブラックジャックによろしく」など、無料で読めるコミックも700冊以上提供している。 また常時100本以上の特集やキャンペーンを開催している。

上坂すみれ(ウエサカスミレ)

ソビエト社会主義共和国連邦が崩壊した1991年生まれの声優、アーティスト。小学生時代よりジュニアモデルとして活動し、2012年テレビアニメ「パパのいうことを聞きなさい!」の小鳥遊空役で本格的に声優デビューを果たす。以来「中二病でも恋がしたい!」「ガールズ&パンツァー」「鬼灯の冷徹」「艦隊これくしょん -艦これ-」「アイドルマスター シンデレラガールズ」など、話題作・人気作の主要キャラクターの声を多数務める。またロリータファッション、ソ連・ロシア、ミリタリー、80年代アイドル、ナゴムレコードなど、サブカルチャーに対して広く深い造詣を示すことも話題に。2013年4月にはその趣味の世界をダイレクトに反映したシングル「七つの海よりキミの海」でアーティストデビューし、これまでに桃井はるこ作詞作曲の「げんし、女子は、たいようだった。」、大槻ケンヂ作詞、NARASAKI作曲の「パララックス・ビュー」、及川眠子、サエキけんぞう、窪田晴男、谷山浩子らを作家に招いた「来たれ!暁の同志」などのシングルを発表。2014年1月には1stフルアルバム「革命的ブロードウェイ主義者同盟」を、同年末には自身がセレクトした80年代アイドルナンバーをコンパイルした「上坂すみれ presents 80年代アイドル歌謡決定盤」もリリースしている。