描きたいのは、“奈良時代日常”

──ズバリ、この作品で描きたい部分ってどういうところなんでしょう？

日常ですね。奈良時代の日常。戦争や大河ドラマを描こうと思っているわけではないです。

──“奈良時代日常”、新しいジャンルですね（笑）。第1話は田村麻呂たちが鷹狩りに行くという、非常にゆるゆるな展開です。

実は当初のプロットでは、鬼退治のお話だったんです。でもそれを第1話でやっちゃうと、「鬼退治は田村麻呂さんに任せろ」みたいな話になっちゃう。それはちょっと違うよねって担当さんと話して。日常の中に鬼退治が1話入るのはいいんですけど。なので鷹狩りの話になりました。

──なるほど。あの、ここまで話してきて今さらなんですが、ユキムラさんって中学生のころから「田村麻呂さん」って、さん付けで呼んでらしたんですか？

あ……そうですね、はい。

──長年来の呼び方がこのタイトルに反映された、と。

最初は「征夷！たむらまろさん」っていう案もあったんです。「すごいよ！マサルさん」とか「臨死！江古田ちゃん」とか、ヒット作品にあやかろうかと思って（笑）。まあでも、シンプルに行こうかと。

──この作品がヒットして、坂上田村麻呂ブームが来たらいいですね。

来てほしいですね。田村麻呂さん、今年で没後1200年なんです。ちなみに私も画業10周年なので、ユキムラ10周年記念事業ってことで（笑）。