お笑いナタリー Power Push - ワタナベコメディスクール
「笑いで世界と対決してみませんか?」吉田正樹と永峰明が語る、型にはめない育成方針
自分の個性をどんどん出していいんだよ
──スクールで生徒を育てるときにはどのような部分に重点を置いているのでしょうか?
永峰 本人が気づいていなかった魅力を引き出すことですね。みんな最初はプロを真似ようとするんですけど、そこでもう1度自分を見つめ直して「こんなとこあるじゃん」って気付いてもらう。自分の個性をどんどん出していいんだよっていう空気はこちらで作っています。
吉田 お笑いってメッセージなんですよ。「世の中のここがおかしいよね」「自分たちはこう生きていく」という考えを世に伝えるのが芸人さんの役目。幸いなことにワタナベの若手たちの中には「ただ面白いことを言ってお金を儲けるのが大事ではない」という雰囲気が生まれている気はしますね。
──ワタナベエンターテインメントは立て続けにテレビで活躍する女性芸人を輩出しているように思います。その理由はどこにあるとお考えですか?
永峰 単純に同じ目線で話しながら育てているからですかね。会話するときも恋愛相談されちゃうくらいの距離感で、割となんでも言い合ってます。丸山礼っていう今1年目の子なんかは、普通に講師の前でボロボロ泣いたりとかしてて親子のような感じでした。そういう距離感で接していると、向こうも伸び伸びと思いっきりできると思います。
吉田 もともとお笑いは男尊女卑の世界だったんです。芸人とアイドルがいればそれでよかった。そんな中で女芸人ってポジションはとても難しいんだけど。でも考えてみてくださいと。うちは社長が女性の会社です(笑)。
──あはははは(笑)。
吉田 女性に対する間口は広いです(笑)。女の子としての生き方というか「女性として仕事をしてゆくこと」みたいな悩みに、割と理解がある会社だと思います。
永峰 イモトアヤコにしてもバービーにしても、ネタをやらなくてもまた別の何かでちゃんと生きていける環境を作れるのがワタナベっていう会社だと思うし、いいところまで伸びれば1人でもやっていける。ワタナベの女性芸人の強さはそこにあるんじゃないですかね。
人を巻き込んでブームを起こすような会社でありたい
──「テレビに出なくても芸人として生きていくぞ」という考えの人もいると思うんですが、ワタナベコメディスクールはそういう人たちのことはどう見ているのでしょうか?
永峰 基本的にはエンターテイナーの事務所ですから「自分のためにお笑いをやるんじゃなくて、お笑いを使って人を楽しませたいっていう意識を持って進んでほしい」と常日頃、言うようにしてます。「僕たちは好きなネタだけやれりゃいいです」っていうのも、それはそれでいいと思う。ただお客さんを楽しませるってことが芸能界なんだから、じゃあ淡々とフリーでやっていればいいよねっていうこと。そういう道も十分ある。
吉田 クレージーキャッツもザ・ドリフターズも、本来はミュージシャンなんです。イモトアヤコも、笑いもやるけど女優もやるっていう、芸人っていう言葉に縛られない幅の広さがあるんですよね。でもエンターテイナーという点ではお笑いも女優も本質的に一緒。ワタナベにはそういう考え方が伝統としてある。
永峰 僕は古坂大魔王と仲がいいんだけど、彼は今「ピコ太郎」っていう表現であんなことになっている。「楽しませる」という要素があれば、お笑いに限らずいろんなことができるわけで。生徒が面白いことを考えていれば、型にはめずにそれを伸ばすつもりです。
吉田 永峰さんに指導してもらった「冗談画報」って、音楽もお笑いもダンスも演劇もやってた番組なんですよね。「ジャンルは関係ない」「目指すところは一緒だ」っていう考え方の番組にしたかったんです。
──「大衆を楽しませる」という点について、ワタナベエンターテインメントは具体的にどんな考えを持っているのでしょうか。
吉田 あんまりマニアックになりすぎない、ということですよね。大勢の人に支持されるものを作りたいという目標が会社としてあります。趣味でやるわけではなく、人を巻き込んでブームを起こすような会社でありたいです。
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吉田正樹(ヨシダマサキ)
株式会社ワタナベエンターテインメント会長。1983年にフジテレビに入社し、「笑う犬」シリーズや「夢で逢えたら」「めちゃ×2イケてるッ!」「トリビアの泉」「爆笑レッドカーペット」といったバラエティ番組のディレクションとプロデュースを担当する。2009年にフジテレビを退職したあとは個人事務所・株式会社吉田正樹事務所を設立した。
永峰明(ナガミネアキラ)
有限会社創造商店の代表。フジテレビ所属のディレクターとして「THE MANZAI」「冗談画報」「森田一義アワー 笑っていいとも!」「オレたちひょうきん族」など数多くのバラエティを手がけた。フジテレビ退社後はフリーの演出家として活動。2013年よりワタナベコメディスクールの講師を務め、同事務所のライブの監修も行っている。