3時のヒロイン福田、Aマッソ加納、ラランド・サーヤが出演しているバラエティ「トゲトゲTV」(テレビ朝日系で毎週水曜24:15~放送中)発の短編映画「蟹から生まれたピスコの恋」が完成した。
番組発の短編映画は上田慎一郎監督の「ウワキな現場」に続く第2弾。今回は長久允監督がメガホンを取った。お笑いナタリーは「トゲトゲTV」の3人と長久監督にインタビューを実施。なお「トゲトゲTV」と「蟹から生まれたピスコの恋」はTELASA(テラサ)で楽しめる。
取材・文 / 成田邦洋撮影 / 小坂茂雄
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「蟹から生まれたピスコの恋」あらすじ
蟹の父と、人間の母・石田みつみ(3時のヒロイン福田)の間に生まれたピスコ(Aマッソ加納)。見た目こそ人間だが無意識にダブルピースをしてしまうので、親友のくぼかよ(ラランド・サーヤ)がピスコというあだ名を付けた。ピスコの学生時代には、教師・案浦(佐藤寛太)との恋模様も。いい雰囲気になっていた2人だが……。
3時のヒロイン福田、Aマッソ加納、ラランド・サーヤ インタビュー
撮り方が不思議で「これが映像になったら」とワクワク
──2021年に公開された「トゲトゲ」の第1弾映画は上田慎一郎監督が手掛けた「ウワキな現場」でした(参照:3時のヒロイン福田×Aマッソ加納×ラランド・サーヤ「トゲアリトゲナシトゲトゲ」インタビュー)。皆さんにはどんな声が耳に入ってきましたか?
ラランド・サーヤ 「ストーリーがすごい」と。
3時のヒロイン福田 「TELASAに入ってよかった」という声も聞こえてきました。
Aマッソ加納 確かに「ウワキな現場」をきっかけにTELASAに加入してくれた人が多かったみたいです。
福田 あと「3人の演技がすごい」。
加納 それじゃないと、ただ上田監督を褒めているだけですからね。
サーヤ 福田さんのキスシーンも話題になりました。
福田 思ったよりは話題にならなかったけど。もっとキスしてもよかったかな(笑)。
──では第2弾の制作が決まったときのお気持ちは?
加納 うれしかったんですけど、最初の予定からだいぶ撮影時期が延びたので、満を持して、という感じです。
サーヤ この時期ならではの延期がいろいろと続いていました。撮影できてよかったですね。
加納 番組自体も安泰じゃなくて、延期されたまま番組が終わる可能性もあるわけだから、「間に合った!」みたいな。
──「蟹から生まれたピスコの恋」は前回とはまったく違う奇想天外なお話です。脚本を読んだときにどう思いましたか?
加納 「早く映像が観たいな」と思わせてくれる脚本でしたよ。上田さんの作品は脚本を読んでストーリーが面白いとわかったんですけど、長久さんのは、面白いプラス「これが映像になったら」とワクワクしました。撮り方も不思議やったよね?
サーヤ 不思議でした。企画書をもらって「何これ?」と思って、クランクインしても「何これ?」と思って、ずっと「何これ?」と思いながらクランクアップしました(笑)。
福田 脚本を読んだときに、加納ちゃんがしゃべっているのがめちゃくちゃ想像できました。セリフの感じが加納ちゃんぽい。途中から「加納ちゃんが書いたんちゃうんかな?」と思いました。
サーヤ Aマッソのコントだと言っても過言じゃない。
加納 前回のほうがガッツリと演技力がいる作品でした。2人はめちゃくちゃ演技力あるけど、私は演技力ないから、今回はそれをうまく、いいふうに転換してくれました。
──撮り方のどのあたりが「不思議だな」と思いましたか?
福田 私は回転しながらセリフを言いました(笑)。
サーヤ 私はちょうど垂直になりながら撮影しました(笑)。楽しかったです。
加納 私は台本を読んで想像してたんと違うカメラアングルで、「あ、このシーンでこっから撮んねや」と。佐藤寛太さんと2人のシーンも横から普通に撮るんかなと思ったら、股の下から撮ってて、「どんな映像が出来上がるんやろう?」と思いました。
なんとも思っていないくぼかよが一番ヤバい
──ここからはお一人ずつの役柄を深掘りしていければと思います。加納さんが女子高生で、蟹の子・ピスコ役です。
加納 蟹の子という役を演じたのは大きかったです。「蟹から生まれたわりには元気に明るく育つな」というのはずっと思っていました(笑)。明るいし、最高の友達にも恵まれて、「やっぱり人って出会いやな」と。くぼかよに出会えて本当によかったです。
──加納さんがこの撮影の「座長」と言われる場面をお見かけしましたが、そういう意識は?
加納 ないですないです。
福田 座長なので差し入れとかもしてくれました。
加納 してないですよ?
サーヤ なかったです。
福田 弁当とかあってもよかったんですけど。
加納 なんで差し入れがなかったことをいちいち言わなあかんの(笑)。現場では、長久監督のチームがすごくアットホームで仲良く楽しく撮影されているんだなと。いいチームの撮影現場を見せてもらいました。
──福田さんはそんなピスコの母親役を演じて、いかがでしたか。
福田 子供を産んだことがないので難しかったです。しかも「蟹と結婚している」という謎の役。めちゃくちゃ変な人やと思うんですけど、旦那のことをたぶんあんまり蟹と思っていないと思うんで、普通のお母さんだと思ってやりました。
──加納さんとのつかみ合いのシーンがありましたね。
福田 めちゃくちゃ足踏まれたのは根に持っています(笑)。
加納 「今、足踏んでたから」とすぐに言われました。いや、撮影中はそういうこともあるやん!
福田 加納ちゃんが娘というのは不思議でした。
──サーヤさんはクールなくぼかよ役ですね。
サーヤ ピスコの親友です。蟹と結婚している人や、蟹とのハーフをなんとも思っていないくぼかよが実は一番ヤバい(笑)。「お前! 蟹って!」とかは言わないですからね。
加納 この役がいいのは、「蟹やから好き」というわけではないのよね。
サーヤ 「特殊だから一緒にいる」とかでもない。実は一番ぶっ飛んでるんじゃないかという役でした。私は最近、青い髪の役ばっかりなんですよ。
加納 サーヤのことをいろいろと変えたくなるのはわかる。自分が映画を撮るとしても、いろいろな人になってくれそうな感じがします。
──加納さんと福田さんは、あのお父さん(本物の蟹)とも対面したんですよね?
加納 その日に競り落としてきたお父さんです(笑)。
福田 私たちの心の中には今も生きています。
サーヤ いいお父さんでした。
JITTERIN'JINNになった気持ちで歌った加納
──長久監督にはどんな印象をお持ちですか?
加納 人当たりがよくて穏やかよね。
福田 つかみどころがないというか。映像では不思議なワールドを持っているけど、しゃべっているときは普通やし、不思議な人です。
サーヤ 芸人で言うとダイヤモンド野澤さんという感じです。
──監督は「トゲトゲTV」を観ていて皆さんのファンだということです。そんな話はされましたか?
福田 そんな素振りはなかったです。
サーヤ ちゃんとビジネス然としていました。
──加納さんは以前も長久監督と仕事をしていますよね(参照:AマッソとKID FRESINOがツーマンライブツアー実施、演出は映画監督・長久允)。
加納 去年演出をしてもらいました。そのときはKID FRESHINOさんにやりたいことがあって、それをつないでもらう作業だったので、そんなに「ザ・長久」みたいな感じではなかったです。そのときも優しかったですね。映像を作ってもらったのは今回が初めてです。
──今回、長久監督が作詞した曲を加納さんが歌うシーンがあります。どういう思いで歌ったのでしょうか?
加納 めちゃくちゃ恥ずかしかったです(笑)。レコーディングのとき、歌い方には細かい指示があって何回もやり直しました。自分がJITTERIN'JINNになった気持ちで歌いました(笑)。
サーヤ よく言えたなあ。
加納 歌い方は元気で明るいけど、それだけじゃないよ、みたいな。曲調がちょっと似ているなと思って。
──マイクパフォーマンスも迫力がありますね。
加納 あの日はギリギリ持ちこたえました。というのも私が何回かミスっちゃって、最後のテイクで「OK!」となった瞬間に雨が降り出したんですよ。
サーヤ あの日は天候が危なかったです。
加納 ビチョビチョの中で歌わなあかんところでした。
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女優のような表情で遠くを見ながら語る福田