DVDに入っている2010年は、大江がだいぶ今の大江に近づいてます。その前の時代はちょっとテンションが高くて、進行しようとしてるのが新鮮だし、若いです。

吉祥寺の一場面。

（吉祥寺の回で帽子をかぶっている写真を指して）このあたりは達観してますよね。さまぁ～ずさんとのスタイルが完全に確立されていて、さまぁ～ずを子供扱いしている。それを「すごいな」と思わせておいて、本人もそんなに深く考えてはいない。今面白くないとかじゃなく、この頃の感じは面白かった。「何？このお笑い3人組」と（笑）。何をやっても笑いになっていた。

大竹さんも天然なところがあって、そこを互いにボケたりツッコんだり。門前仲町の回では、大江が頭から滑り台を降りたり。誰も「頭から行け」なんて頼んでないんですよ。でもこうなっちゃう。どの回も3人がいい空気感で全部面白いと思います。生き生きしてる。

大江がニューヨークに行くのが確定したとき、僕が1人で最初にさまぁ～ずに言いに行って、ボソッとしゃべったんです。2人は「いつかこういうときが来るとは思っていたが……」という反応で。2人はコンビというよりも、大江とのお笑いトリオのコントを街の中でやってると思ってたんだな、とそのときすごく思いました。

2010年は深夜からゴールデン帯に移って、フワフワしてる時代でした。僕も1人でも多くの人に観てもらいたいと思っていたけど、ゲストを呼ぶと普通の番組になっちゃうので、局の上層部には「この3人だけで行きます」と。深夜にやっていた頃っぽく、みんなの気持ちは変わらずやってました。今に続く番組のスタンスがしっかり固まった時期でもある。

吉祥寺の一場面。

ほかの街ブラ番組を観ることもありますよ。どの局も手を変え品を変え、人を変えて、それぞれちゃんと作っている。でも全部観て思うのは「モヤさまは全然違うな」と。くだらなさではいまだにどの番組にも超えられていない（笑）。アナウンサーがアナウンサーの働きをしていなかったり、さまぁ～ずが特に変わらず、ただの子供みたいにやっていたり。番組当初に思っていたようなことが、まったく変わらずにできている。

モヤさまは、街ブラというものを使った、お笑い番組なんですよ。そこは非常に徹底されていると思う。スタッフは街ブラしようなんて1ミリも思ってないですから。体力使いますし（笑）。ぜひお笑い番組として観てほしいです。

さまぁ～ずさんは観察眼があって、人間を本当によく見ている。「面白えなアイツ」という人や状況が、本職であるコントにきっと生かされていると思います。モヤさまは彼らにとって栄養剤に近い。「面白おじさん」も自動的に出てきますし（笑）。さまぁ～ずさんの芸風に非常に合っている番組だと思います。

狩野は、私服のセンスが少しよくなった（笑）。あとは変わってない。私服について「これ悪くないね」って言ったら、「え、マジですか？ ですかですか？」って言ってくる。イラッとするよね。地雷をズカズカ踏んでくるんです。ムカつく！（笑）