内村さんの気遣いと才能
──内村さんと斎藤さんとの間に何かエピソードがあればお聞かせください。
内村さんは、いつも後ろからゆっくり見てくれている、という印象です。この「SING/シング」続編の吹替が決まったあとも、テレビ局の廊下でたまたますれ違ったときに、「おお! またよろしくね」と声をかけていただきました。「SING/シング」の共演者ということで覚えていただいているんだな、ということと、お気遣いいただいたことに感激しました。
──それは励みになりそうですね。内村さんの声優ぶりはどうご覧になっていますか?
素晴らしいです。安定感があって、バスター・ムーンの声にしか聞こえないです。バスター・ムーンを見ていると内村さんの顔が全然浮かんでこない。さすがトップランカーであられる、という器用さや才能を感じます。
──内村さんに限らず、斎藤さんの「SING/シング」出演について、ほかの芸人さんから反響はありますか?
声をかけられることは多いですよ。お子さんがいる芸人さんからも、ジャングルポケット太田、パンサー尾形さん、エハラマサヒロさん、ダイノジ大地さん……この4人のうちの誰かから、たぶん言われました(笑)。「『SING/シング』ええな~」って。関西弁ってことはエハラさんかな?
自信を持ってオススメします
──本作の中で、斎藤さん的に感情がぐっと入り込むような印象的なシーンは?
僕も惚れたクレイ・キャロウェイのシーンです。僕にもこのあとの人生に波や葛藤があると思うんですけど、「そのときどうするべきだろう?」というのを、クレイの姿に重ね合わせました。自分はビビリで「ほんと、お願いしますね」みたいな姿勢は昔から変わっていない感覚ではいるんですけど、いつかクレイみたいな「心の弱さゆえに……」ということをしてしまうかもしれない。
──そのあたりは作品を観てのお楽しみですね。クレイ以外にも斎藤さんから見た各キャラクターの見どころを教えてください。
アッシュがクレイとのシーンなどで大活躍しましたね。そしてミーナは今回、恋をする。存在感がすごくあります。ジョニーは今回も超がんばっています。ジョニーを演じる大橋さん(スキマスイッチの大橋卓弥)の歌がめちゃくちゃ好きで、一緒に「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)に出させていただいたのは、いい思い出になりました。あのときの「Mステ」の台本はいまだに保管してあります(笑)。
──「SING/シング」の曲を一緒に歌われたんですよね。
そうですね。今回も基本的には、みんなの歌がとにかく聴き応えがあります。最初の「SING/シング」もあんなに面白かったのに、続編でさらにめちゃくちゃ面白くなってますからね。ちゃんと自信を持ってオススメして大丈夫な映画です(笑)。素晴らしい作品だなと感じました。
──最後にお笑いナタリー読者に向けてメッセージを寄せていただければと思います。
最近、芸人がいろんな分野に仕事の場を広げていて、たとえばこがけんさんと僕は同じミュージカル作品「GREASE」で同じ役をやらせてもらったりしたので、こがけんさんに仕事を奪われないよう警戒しています(笑)。こがけんさんも素敵な歌声していますし。歌のうまい芸人はほかにもいて、さすがだなあと思うこともあるので、いかに差別化していくか。ハナコの岡部にも役を獲られるんじゃないかとリアルにドキドキしているんですから(笑)。「SING/シング」の第3弾、第4弾があったときに声優をやらせていただくためにも、自分がいかにちゃんとしているかという圧倒的なものを、このグンター役で残せればと思っています!
プロフィール
斎藤司(サイトウツカサ)
1979年2月15日生まれ。神奈川県出身。NSC東京校10期生。2005年4月、たかしとトレンディエンジェルを結成。「M-1グランプリ2015」優勝。俳優としても舞台やドラマなどで活躍している。