開き直ってイチャイチャしだした
質問5
劇場でやるネタとテレビでやるネタ、どのように変えていますか?(質問者:ヤマモトレオ)
中西 ライブはライブで、生でいろいろやれるよさがある。テレビの向こうのお茶の間にいる人たちに届けるネタってなると変わってくるのかもしれない。
那須 自分たちのネタを作品化したものをテレビで披露している感じなんかな。ライブで生まれたものを取り入れたり、余分なところを削ぎ落としたりしながら4分にまとめ上げるのがテレビでやるネタ。
中西 テレビだと規制が入ったりして、事前に台本を提出することも多い。だから毎回わざと入れとくねん。絶対あかんやろっていうワードを。
森山 本当にチェックしているかのチェック(笑)。
中西 そうそう。前はNHKのネタ番組で「お前の右目をくり抜く」っていうのがダメだった。
那須 それはどの局もダメやろ(笑)。
質問6
若手に負けないぞ!というところがあれば教えてください。(質問者:ブチ)
那須 コンビ仲の良さじゃない? そこはたぶん誰にも負けてないと思う。
ブチ 一緒にカラオケに行くってお聞きしました。
那須 うん。カラオケに行ったりもするし、(パッと中西に触れて)急に触ったりもするし。
中西 触られたいとも思うし。
一同 あはははは!
中西 「負けない」とかは意識してないかな。自分らは自分らやから。張り合ったら焦りにもなるやろうし、そういうことは思わへんね。さっきの話だけど、「これが楽しい」と思ってたらもうしゃあないやん。それをやるしかない。僕らはちっちゃい頃から仲がいいから、子供のときに遊んでいたことをそのままやっているようなもん。結局それちゃうかなあ。
那須 2人が楽しんでやってることを見てもらったら、お客さんが喜んでくれた。仲良くて、イチャイチャしてるのがなすなかにしらしさなんかなと思いますね。
ブチ そういう強みにはどうやって気づけたんですか?
那須 気づいてなかった時間も長い。それこそババくんの話みたいにいろんなダメ出しを聞いていろいろ迷って。結局それでもダメで、もういいわって開き直って普段みたいにイチャイチャしだしたら、お仕事いただけるようになった。それで「俺ら、これやったんや」って気づいた感じ。
中西 そうやね。俺たちはペッティングが強みやった。
那須 ペッティングって言うな!(笑)
出番直前の大失態も芸人だから笑える
質問7
失敗談と、その克服方法を教えてください。(質問者:森山実)
那須 失敗なんてめちゃくちゃたくさんある。始めたてのみんなとは違うと思うけど、もうおじさんだし、苦手なものはやらないようにしてるかな。今まで何度も失敗してきたものって自分にとって苦手なことだから、別の得意なところで力を発揮できればいいかなと切り替えてますね。
中西 僕は舞台に出る直前でお腹下して、漏らしたことがあって。
一同 えー!?(笑)
中西 その克服方法は、「舞台前はあんまり食べないようする」。
那須 出囃子鳴って、漏らしてたな。
中西 「俺、漏れてるから」って言いながら2人で舞台に出ていって。なかなか「もうええわ」言うてくれへんねん。
那須 楽しくなっちゃって(笑)。
中西 芸人って失敗談も面白い話にできるからね。
那須 それができる唯一の職業かもな。
中西 そう考えると、失敗ってないんじゃない?
那須 全部が経験値になるから。
森山 なすなかさんは凹まないタイプですか?
那須 凹んでも、引きずらない。もちろんシャワー浴びながら「ウワー!」って叫ぶことはいっぱいあるけど(笑)、そこまで。そっから先は切り替えてます。
質問8
アドリブに強くなる練習方法はありますか?(質問者:光田京志郎)
中西 練習方法か……。「ちゃんとしよう」と思わへんことちゃう? ちゃんとしようと思うから緊張して、いいコメントしようとするから固くなるんじゃない?
光田 確かに、ライブの平場とかで笑いを取ろうという意識が強すぎて何も出ないことが多いです。
中西 でも普段コンビでしゃべってるときってそうじゃないやんか。2人でいるときと違うからどうしてもちょっと構えちゃうんやろうけど、気にせず楽にやるといいと思う。
講義を終えて
ブチ 一番心に響いたのは「1人にさせない」という言葉でした。もっと相方のやりたいことを一緒に広げていきながらネタ作りしたいと思いました。
中西 いい相方やな!
光田 ネタ見せに行くといろんなアドバイスがあるから迷ってしまうこともあるんですが、なすなかにしさんがおっしゃったように、自分が好きなことをやり続けたいと思いました。
中西 「好きなことで、生きていく」(YouTubeの広告)ってあったけど、HIKAKINさんとかより俺のほうが先に言ってたと思うで!
那須 中西さんより前は欽ちゃんが言ってたから。
中西 萩本欽一さんがな(笑)。
大森 貴重なお話を聞けて、とても勉強になりました。(進撃の巨人の食べ方をする)
那須 もっと研究したほうがええな!(笑)
中西 もう1回(アニメ)見てこい!
大森 相方としっかり見てきます!
森山 お話を聞いて、自分で勝手に決めつけていたことが多いなと気づきました。失敗も失敗ではないし、お笑いに対してガチガチに構えちゃっていたところがあったので、もっと楽しんで枠を広げながらやっていきたいと思います。
ババ 自分らしさを見つけて、自分が信じるものを意識してやっていこうと思ったので、どんなに売れると言われてもリズムネタだけはやらないようにしようと思いました!
那須 急にトガリだしたやん(笑)。
ヤマモト 僕たちの質問に丁寧に答えてくれたことがうれしかったです。今年、「M-1グランプリ」の1回戦でクソスベってしまい、自分のキャラを見失っていたんですが、いつか強みになるキャラを見つけていきたいです。
なすなか先輩からメッセージ!
那須 久しぶりに若い人たちとしゃべった気がします。こういう質問や悩みを聞いていると、懐かしい気持ちにもなりました。僕らもそこにいたから。有野さんの言葉で「やめなかったら売れる」というのがあって。そういう気持ちでがんばっていただきたいですね。
中西 自分がやってて楽しくないと、たぶん続かへん。芸人って楽しい職業のはずやから、それは忘れないほうがいいと思う。近道もあるんやろうけど、そっち行ったら途中で詰まってまたしんどい時期が来て、結局遠回りになったりもする。やっぱり自分が楽しいことをするべきかなと思いますね。
プロフィール
なすなかにし
写真左 / 中西茂樹(ナカニシシゲキ)
1977年9月24日生まれ、大阪府出身。
写真右 / 那須晃行(ナスアキユキ)
1980年12月14日生まれ、大阪府出身。
いとこ同士で、小さい頃から仲がよく「ずっと一緒にいたいから」という理由で2001年にコンビ結成。2006年「NHK上方漫才コンテスト」優秀賞、2007年「上方漫才大賞」優秀新人賞受賞。2013年から14年に「THE MANZAI」認定漫才師に選ばれる。ロケに定評があり、2021年5月「笑神様は真夜中に…」(日本テレビ)では中堅芸人ロケバトルにて優勝。同年は約170本のロケをこなした。アニメ「あはれ!名作くん」(NHK Eテレ)ではメインキャラクターの声優を担当する。