ジャルジャル×ヤバイTシャツ屋さん|共鳴する笑いへの熱量と価値観

“肩幅の歌”を聴いて価値観が限りなく近いと思った

──ジャルジャルのお二人はもともとヤバTにどんな印象をお持ちでしたか?

後藤 ヤバTさんは、僕らの「変な校内放送ゲーム」っていうアプリで……。

こやまたくや

こやま 僕、スコア世界2位までいきました。

後藤 そう! 「世界2位の人が有名なバンドのヤバイTシャツ屋さんですよ」って聞いて、ええ!?ってなって。

こやま (笑)。

後藤 それで初めて知ったんです、世界2位の人なんやって。

こやま 今たぶん11位くらいまで落ちてるんですけど、アプリがリリースされた当初はめちゃめちゃやり込んでいましたね。「こやまたくや8さい」って名前でやってました。僕より下のスコアの人が「8歳」って見たら悔しがるだろうなって思って(笑)。

後藤 8歳ってほんまにリアルな最低年齢かも(笑)。あれを世界2位までやり続ける集中力とか根気強さがすごいですよね。

こやま コツがあって。「ピン」(「背筋伸びてるやん」のボタン)をずっと連打しておいて、違うのが来たらシャッとずらすんです。

しばた 「ピン」が一番速いので。

ジャルジャル

後藤福徳 へー!

──本人も知らなかった裏技が。

後藤 知りませんよ、そんなん!(笑)

福徳 「ピン」は一瞬だからってことですよね?

しばた そうなんです。どんどんスピードアップしていくので、「ピン」って声が聞こえてから「背筋伸びてるやん」を押してもアウトになっちゃうんです。ほかのやつは声の音程とかで判断して。

後藤 なるほど!

福徳 さすがミュージシャン。

──最初はそれがきっかけでヤバTのことを知ったんですね。

後藤 そうです。

福徳 で、「なんかおもろいPVあるで」って話していて、ドローンのやつ(「ヤバみ」のミュージックビデオ)を観ました。

こやま おお!

福徳 最後、ドローンで撮った海の映像に「なんやこれ、帰ろ帰ろ」っていう声が入るじゃないですか。こういう感覚、僕らに似ているなって思いましたね。

後藤 なにかしらオチをつけるっていうのは確かに僕らっぽい。

福徳 副音声が入っているPVもあって、単純におもろいんですけど、音楽とどっちメインやねん!ってツッコみたくなるんです。でも音楽だけ聴いたら普通にカッコいいっていう。

後藤 いい具合にお笑い要素が入ってますよね。

こやま ドローンを使ったり、フラッシュモブをやってみたり、王道なことを取り入れつつそこからちょっとだけズラすっていうのをずっとやり続けてます。曲もわりと王道な展開なんだけど、歌詞がちょっとズレてるとか。

──先ほどしばたさんがジャルジャルのネタに対しておっしゃっていた「ど真ん中に見えてど真ん中じゃない」という感想と共通するものがありますね。

福徳 肩幅の歌があるじゃないですか。「肩幅が広いと説得力増す」っていう(「肩 have a good day」)。それ聴いて、価値観が限りなく近いなって感じました(笑)。

こやましばたもりもと あはははは!(笑)

福徳 あれは聴いていて、うわー!と思いましたね。

ジャルジャルとヤバイTシャツ屋さん。

ジャルジャルの自我を保っているのは“靴”

こやま 僕も、ジャルジャルさんには感覚が似ているなと思う部分があります。「伝わりにくいかな?」っていうネタもちゃんとポップにして伝えているところとか。この間、僕らのラジオに麒麟の川島さんが出てくださったときに「ジャルジャルっぽいな」っておっしゃってくれたことがあったんですよ。「ボツにした曲ってあるの?」って聞かれて「一人称が『は』の人見たことない」っていう曲を作ろうとしたけどボツにした、という話をしたら「それ、ジャルジャルっぽいな」って。

──確かに。「一人称が『は』の奴」というコントがあってもおかしくなさそうです。

福徳 僕らも「オールバックもみあげ白髪」っていうボツにしたネタがあって、オールバックでもみあげだけ白髪の奴なんですけど、結局どうにもならなくて諦めたんです。

こやま 「オールバックもみあげ白髪」っていうその語感がめっちゃいいので、リズムつけたら曲にできる気がします。

福徳 あ、じゃあぜひ!(笑)

後藤 「ハゲデブメガネヒゲ」っていうネタはどうですか? 特徴が4つあって、順番的にどれからなったんや?っていうネタなんですけど。

しばた あはははは(笑)。それもリズムいいですね。

──お互いのボツネタを曲やコントにするのは面白そうですね。語感を大事にされているところなど発想の仕方が似ている2組ならではのコラボだと思います。

しばた あと、ジャルジャルさんのひねくれているというか、偏見が入っているところもすごく好きです。

こやま 偏見とか皮肉とか。僕らの音楽もそういう要素があるので。

福徳 じゃあちょっと偏見の目線で聞くけど……。バンドのメンバーの中にバリクソベタなロン毛がいるじゃないですか。これはOKなんですか?

もりもりもと

こやましばたもりもと あははははは!(笑)

こやま 彼は洋楽への憧れがちゃんとあって、ロン毛をやっているんです(笑)。

後藤 信念があるんですね。

もりもと 信念です、信念ロン毛です。小学生の頃から洋楽が好きで、ロン毛にしたいってずっと思っていて。で、大学生になって伸ばし始めました。

こやま だから本来、僕らが今やっているような音楽性の、邦楽ロックと言われるジャンルに中指を立ててたんですよ、彼は。

後藤 なるほどね!(笑)

こやま だけど先輩の僕に無理矢理バンドに入れられ、ドラム叩かされ、MCで変なこと言わされ……っていう中で、自分の自我をロン毛で保っているんですよ。

もりもと 本当に、音楽性自体は1つも共感してなかったんです。

後藤 あはははは!(笑) そうなん!?

もりもと いわゆる洋楽の、お酒だ女だバイクだとか、そういうのを聴いてカッコいい!って思って音楽をやっていたんですけど、いきなり「ヤバイTシャツ屋さんってバンドやります」「『ネコ飼いたい』って曲やります」なんて言われて……。先輩だから断れませんし(笑)。もちろん今はこのジャンルも、ヤバTの音楽も大好きですけど、当時はロン毛にすることで自我を保ってました。

──そういう偏見的な視点を持っていると自分も苦しくなってきませんか? 人から偏見で見られないように普通でいなきゃ、と。

福徳 いや、そうなんですよ。でも僕ら黒Tシャツにベージュチノパンっていうお揃いの衣装じゃないですか。もういかにもシュールなことやりそうっていう(笑)。

こやましばたもりもと ああー。

福徳 僕らの自我を保ってくれているのは靴なんです。靴だけはお揃いじゃない。それぞれそのとき履いてきたものでそのまま舞台に出て「尖ってないんだぞ」っていうのをちっちゃくアピールしてます。

ジャルジャルとヤバイTシャツ屋さん。

──「はいはい、シュールなコンビね」と思われてしまいそうなところを靴で外しているんですね。

福徳 そうです。

後藤 しかもこの衣装って、たまたま私服が被った日があって「もう今日はこれで出ようか」って言って出たのが最初なんです。だから何かの意図があったわけではないっていうことは声を大にして言いたいです(笑)。

福徳 お笑い知識がなさすぎて、こういう格好をしたシュール系のコンビがいっぱいることを知らなかったんです。あとから「あー、俺らやってもうてたんや」って気づきました。