お笑いナタリー PowerPush - バナナマン×東京03「handmade works live」

5人が語るユニットライブの舞台裏

意味がわからなすぎてすっごい面白かった(豊本)

──それぞれ個人的にお気に入りのコントを1つずつ挙げてください。豊本さんから。

豊本明長

豊本 僕はさっき言ってた「タカちゃんとバンと3人」ですね。でもそれ以外のコントの空気感もすごい楽しかったです。いまふっと思い出したんですけど、タカちゃんのコントの一番最後に家具やマットレスを運ぶシーンがあって、そのときに練習では日村さんが「段差あるよ!」って言いながら運んでいったんですけど、本番になって急に「床あるよ!」って。

日村 あはははははは! 何間違ってんだよ(笑)。

豊本 「床あるよ!」っていうのを全公演で言ってるんですよ。

一同 あははははは!(笑)

日村 そっちにしちゃったんだ。

豊本 意味がわからなすぎてすっごい面白かった。だから僕床見ながら戸惑ってると思うんですけど(笑)。

飯塚 単純に間違ってるんですか、それ。

日村 間違ってる(笑)。単純に間違ってるけど、それで固まっちゃった。

豊本 いろんなことが含まれてるネタです。

──飯塚さんは?

飯塚悟志

飯塚 僕も楽しかったのは「タカちゃんとバンと3人」。僕ら3人だけでは絶対にできないコントなので。思い入れがあるのは、独白がある「逃げ癖のある男」。これはけっこうなプレッシャーでした。

──セリフが長いですもんね。

設楽 しかもこれ練習1人でできるから、余計ね。

飯塚 ずーっと練習してたんですけど、ずーっと不安なんですよね、結局。でもこのコントは、つり革をつかんだり、後ろにある自動販売機のところに行って、どこでどのタイミングでセリフを言うのかっていう演出を設楽さんにつけてもらって。そういう動きって、自分じゃわかんないんですよ。東京03でやるときは、ほかの2人にそういうことを言われたことがないし。設楽さんに教えてもらったのがすごい嬉しかったです。

設楽 でも俺ら自身も、ああいうふうに客観的には見れないんだよね、余裕がないから。あそこの場面は特にサトシ1人だから、客観的に見ることができたっていうのはありますね。そんな偉そうに演出ってほどのことじゃないけど、「こうやったほうがいいんじゃない?」とかは。そういう意味で、5人でやったっていうことで余裕はありました。

飯塚 あと、ライブ終わってからですけど、電話の演技を設楽さんに教えてもらったんですよ。僕、電話の演技が苦手なんですけど、「電話するときは目線を上・中・下ってつける」っていうのを教えてもらって。これがねえ、「そうなんだ!」っていう発見で。やっぱり説得力が違いますから。

──角田さんはいかがですか?

角田 全部楽しかったんですけど、「日村養鶏場」のネタでは、本当に日村さんの圧倒的なパワーを見せつけられました。

設楽 このネタ、大筋はサトシと角ちゃんが書いたんです。

角田晃広

角田 稽古中からそれをもう目の当たりにして。ただパワフルだけではなく、ちょっと声を抑えながら表情作りながら言うみたいな場所とか、「ああー、一本調子にならないってこういうことなんだな」って、すごく勉強になって。

設楽 でも、日村さん、角ちゃんのセリフ飛ばしちゃった。

日村 申し訳ないんだけどね。大声出すとやっぱりセリフ飛ばしちゃうんですよね。

設楽 本当は日村さんが大声出しているときに角ちゃんのセリフが1個あるんですよ。だけど、どこで飛ばしてるのか誰もわかんない。

日村 途中で気づくっていう。

角田 僕もそんなにはっきり覚えてなかったりするんですけど、「あ、もう終わってるくだりに行ってるな……」って気づくんですよ。

飯塚 言えないんだなあ。

日村 俺なんだよなあ。

設楽 そういうときの言い訳としてさ、「自然になくていいってことは、はじめからなくてよかった」って。

日村 あはははは!(笑)

飯塚 そうですね(笑)。

前からやってたみたいなノリがあった(設楽)

──設楽さんはいかがですか?

設楽統

設楽 一番面白かったのは、やっぱ「タカちゃんとバンと3人」ですね。今回の公演は、頭とケツが「工房」っていうネタなんですけど、これは立ち稽古してるときにできたネタで。“ちっちゃい声で言ったことを別の誰かが伝える”とか、ニュアンスでやったことを台本に組み込むことが自然にできたのがうれしくて。こういうユニットライブならではのネタというか。面白いって思う感覚も近いし、同じ年代で同じようなことを続けてきてるからできるのかなっていう。なんか、そういう意味では初めてこんなにガッツリ一緒にやったけど、違和感が全然なかったですね。俺ら的にはすごいスムーズで、なんなら前からやってたみたいなノリがあったと思う。全部面白かったもんなー。

──日村さんは?

日村 どれっていうのは難しいですよね。本当に全部面白いからなー。同じでごめんなさい、やっぱり楽しかったのは「タカちゃんとバンと3人」ですね。なんなんですかね、これねえ(笑)。本当どうなるかわかんないです。タカちゃんの出方次第だから。この緊張感も面白いですよね。タカちゃんの気分で、終わろうと思えば3分でも終われるし、引っ張れば引っ張るほど面白くなっちゃう勢いもあるでしょ? でもあんまり引っ張りすぎてもあれだし、その場のテンションがあるから、どの回がベストかわかんないんですよね。このDVDに入っている回は相当いいでしょうけど。お客さんに伝わる瞬間があるんですよ。「こいつなんなんだ?」っていう空気が。コーンって伝わってこない、地味ーに伝わってくるのが気持ちいいんですよね、このネタはね。

日村勇紀

──そろそろお時間になってしまいました。これはまた10年後と言わずぜひ観たいです。

設楽 これはたぶんまたやると思いますよ。

飯塚 おっ!

設楽 早々に。年内にね。

飯塚 もうですか!? 僕らはいいですけど。大丈夫ですか?

日村 年内ってことは、年末くらいですか?

設楽 なんなら、9月、10月に(笑)。

飯塚 僕らはいいですけど(笑)。でも、やりたいです、本当に。

設楽 まだ始まりにすぎないというか、全部出し切った感もないし、このままずっとできるなと。ライフワークになればいいなと思いますね。

後段左から設楽統、日村勇紀。前段左から豊本明長、飯塚悟志、角田晃広。
DVD「バナナマン×東京03『handmade works live』」/ 2013年8月7日発売 / 発売:ホリプロ / 販売:ポニーキャニオン
[DVD] 3990円 / PCBE-54219
収録内容
  • 工房
  • 手紙
  • 何でショー
  • 日村養鶏場
  • 手作りアニメ 手作り野郎 handmade workers
  • タカちゃんとバンと3人
  • ストリート
  • 逃げ癖のある男
  • ゲーム
  • 工房
バナナマン、東京03
バナナマン(写真左から2人)

左 / 設楽統(したらおさむ)
1973年4月23日生まれ、埼玉県出身。

右 / 日村勇紀(ひむらゆうき)
1972年5月14日生まれ、神奈川県出身。

1993年にコンビ結成。現在、「笑っていいとも!」(フジテレビ系)、「YOUは何しに日本へ?」(テレビ東京系)、「バナナTV」(テレ朝動画)などにレギュラー出演中。東海テレビで放送中のバラエティ番組「バナナ塾」がDVD化され、8月30日に2巻同時発売される。ホリプロコム所属。

東京03(とうきょうぜろさん / 写真右から3人)

左/豊本明長(とよもとあきなが)
1975年6月6日生まれ、愛知県出身。

中央/飯塚悟志(いいづかさとし)
1973年5月27日生まれ、千葉県出身。

右/角田晃広(かくたあきひろ)
1973年12月13日生まれ、東京都出身。

2003年にトリオ結成。2009年に「キングオブコント2009」で優勝。プロダクション人力舎所属。