2014年3月のレギュラー放送終了以来、約11年半ぶりに卓を囲んだスタイルの「フットンダ」が復活する。その名も「フットンダ~秋の陣~」。正月恒例のお笑い特番「フットンダ王決定戦」として年1回のペースで続いてきた「フットンダ」が、このたび2週限定の特別版として放送される。
お笑いナタリーでは「フットンダ~秋の陣~」の特集記事を2回にわたって掲載。1回目は、番組収録後に行われたタカアンドトシの記者取材会の様子を余すことなく届ける。タカトシが語る、「フットンダ王決定戦」との違い、“争わない”スタイルの魅力、出演芸人の印象、そして久々となるトシの大喜利回答とは。
文 / 成田邦洋
2009年4月から2014年3月までレギュラー放送されたバラエティ。タカアンドトシとゲスト回答者が、出題された言葉やフレーズを“モジる”または“イジる”ことで笑いを誘い、爆笑が起きると布団が吹っ飛ぶという演出が特徴の、通称“真夜中の笑点”だ。レギュラー終了後も元日の特番「フットンダ王決定戦」として例年放送されている。
この「フットンダ」が、出演者同士が“争わない”レギュラー時代の形で11年半ぶりに2週限定の特別版で復活! 以前と同様、卓を囲んだ車座スタイルで展開される。出演者は、#1がタカアンドトシ、ケンドーコバヤシ、ヤーレンズ・出井、令和ロマン・松井ケムリ、ラランド、9番街レトロ・京極。#2がタカトシ、ケンコバのほか、ロングコートダディ、ニッポンの社長、バッテリィズ・エースといったメンバーだ。
みんなで助け合うシステムが今の時代にぴったり
──「フットンダ」が11年半ぶりにレギュラー時代の形式で復活です。収録を終えてのご感想は?
トシ 僕らにとって「フットンダ」は、この形が一番しっくりきます。お正月は特別バージョンという感じ。みんなでくだらないことを延々とやっているというのが、今までの、本来の「フットンダ」のスタイルだな、というのを今日久々にやってみて改めて感じました。
タカ お正月のほうは年に1回やっているので、あっちの形に慣れちゃって。11年半前はどんな感じだったっけなと思ったんですけども、あっという間に、一瞬でその頃に戻れました。めちゃくちゃ楽しい感じでした。メンバーは、今の若い子たちというか、当時学生で「フットンダ」を観ていた人たち。やっぱり“フトチル”(以前「フットンダ王決定戦」で使われた用語「フットンダチルドレン」の略)とは、昔からやっていた仲間のように懐かしさを共有できるというか……。
トシ “フトチル”って言ってるの、お前と令和ロマンのケムリだけなんだよ!(笑)
タカ 「フットンダ」を観て育ってくれた“フトチル”にとって、「フットンダ」が与えた影響ってデカいんだろうなと感じました。
トシ それ何回言うの?
タカ いや、俺たちのイズムがちゃんと受け継がれてるんだな、ってうれしかったんですよ。今だといろんな社会でも、若い子と話すのが怖いとか、あるじゃないですか。どうやって話していいかわかんない。でも「フットンダ」は“モジる”ということを通して、あれだけ年の離れた、おじいちゃんのケンコバさんと……。
トシ おじいちゃんじゃねえよ(笑)。そんなに変わらないよ、俺らと。
タカ 孫のラランドとかと3世代で一緒に楽しめるのが「フットンダ」のいいところだなと。
トシ 何歳の設定でしゃべってるんだよ!(笑) どこにいたんだよ、孫世代がよ!
──お二人は収録中に「久々の感じ」とおっしゃっていました。改めて感じた「フットンダ」の魅力は?
トシ やっぱり楽しいなと。モジるというのが大前提で、大喜利ほどハードルが上がらないので誰でも参加しやすい。大喜利とかが得意じゃない人も、意外にモジりがうまくハマったりして活躍できますし、やりやすいな、いいなと思いました。
タカ 大喜利は1人だけの自己責任になることが多いですけど、「フットンダ」はチーム戦があったりもするし、スベった人をイジッて笑いを取ることによって、それがまたお笑いに昇華されて、という、すごくいい画期的なシステム。今の時代にぴったりなんじゃないかと。個人戦じゃなくてみんなで助け合う。普通だったら、ラランド・ニシダとか、ニッポンの社長ケツとかなんて、1人じゃ絶対モノにならないですからね(笑)。
トシ そんなこと言うな!(笑) 出てくれたんだから。
タカ それがこうやってメンバーみんなでやると、ファミリーみたいな感じで。ぜひ復活してもらいたい。月1とかでもいいんでやりたいなと思いました。
トシ どんどんやりたいですね。
若手がビビらずにやっている
──11年半経つと、笑いの取り方は変わりますか?
トシ そうですね。普段いろいろな番組をやっていると「これは今の時代では、ちょっとなあ」みたいなのは感じます。
タカ 意外に若手のほうが無邪気にガンガンと“入れて”きていて。ケンコバさんとか俺たちが「いや、それはやめとけよ」っていう。昔は自分らがそのストライカーだったのに、今はちょっと見て様子を見て「やめろ」とか。
トシ 「バランサー」になっちゃって。
タカ 若手のほうがビビらずにやってるなあと。
トシ でも今回は、そんなに「おい、それはちょっと」っていう感じもなかったです。
タカ いや、最初のニシダの回答(全員で力を合わせて布団を飛ばす「名曲モジリ」のトリを担当)には引いたけど(笑)。
トシ あれは11年半前でも引いてるから!
タカ 「もう1回、撮りましょうか」と言われるんじゃないかとヒヤヒヤしました(笑)。
トシ あの回答は時代のせいじゃないよ。メンタルはすごいよね。あれはあれで、まあ面白いじゃないですか。ああいうヤツがいてもいいという。それが「フットンダ」のよさですから。
タカ あいつの1ボケのために全部カットされたら連帯責任になりますよ。昔だったら、隣のサーヤとかに「大丈夫か? それで」って回答を確認してもらったりしてたんだよ。
トシ あったね、そんなシステム。自信がないときとかに。
タカ そういうのを今になって思い出しました。
──今回共演したのはよく知る皆さんだったと思うのですが、意外な顔が見えた人はいらっしゃいましたか?
タカ 1本目はすごく上手い人が多かったな。京極もうまいし。(今年の「フットンダ王決定戦」で)予選会から上がってきたよね。実力者。サーヤも、もともとうまいってわかってました。
トシ サーヤは正月の特番で、もうほぼほぼ決勝に行くぐらいの感じですね。あとはエースが意外にやるんだなって。とんでもないモジリになるというか、「モジり、わかってる?」というような感じで来るかなと思ったら、しっかり韻も踏んで「あ、そういうのはできるんだなー」と。
タカ ケツはダメだろうなとは思っていました(笑)。あと、2本目のメンバーが大阪の師匠の名前をよく出していました。
トシ ほぼほぼ使えない話もあったし。面白いんですけどね。
タカ その場で楽しんじゃう。みんな個性が出ていました。
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芸人だけで楽屋でやってる感が出せる