「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」シーズン7|僕はお笑いの基本ができない!ザブングル加藤が貫く“道連れ芸”

「すいません」としか言いようがない地獄の時間

──テレビなどで拝見していている限り、加藤さんは防御力が高いのではないかと予想しています。

そうですね。ただカウンターに弱いです。自分がボケたあとに後藤さんやノブくんみたいな、絶妙なツッコミをされたり、自分で仕掛けて失敗したりすると笑っちゃう自爆型。笑いそうになったら悔しい顔に切り替えたんですけど、「それズルいやん!」ってなって、どんな顔をしていればいいのかわからなくなりました。

──強敵だったメンバーは?

やっぱりツッコミが得意な人ですね。あと、みちおくんはほぼ初対面だったんですけど「ヤバい奴だなこいつ」って思いました(笑)。破壊的なボケだったので、僕ですらびっくりしましたもん。

「ドキュメンタル」シーズン7より、ハリウッドザコシショウ。

──前回優勝しているザコシショウさんの戦いぶりも気になります。

僕がゆってぃさんのマネをして、例えば宮迫さんだったら「みやてぃはこの前何があったの?」って振って巻き込もうと思っていたんですが、近くにいたのがザコシさんだったんですよ。で、「ザコてぃは何があったの?」って聞いたら、そういう流れ関係なしに誇張モノマネし出して。あの人は普通の会話をして倒せる相手じゃないですね。ロボットと戦ってるみたいな感覚に陥りました(笑)。

──戦いの様子をダウンタウン松本さんが観察している、という状況はメンタルに影響しましたか?

「この流れ、もうええわ」って思われているんじゃないかっていう恐怖心は常にありました。スタッフさんの笑い声も聞こえないので、一瞬我に返って「これ大丈夫か?」って不安になりましたね。でもそれを気にしていたら何もできないので、松本さんはいない、くらいのスタンスでやっていました。

「ドキュメンタル」シーズン7より、松本人志。。

──カードを出しに松本さんが部屋に入ってくる瞬間もあります。あの場面はホッとするものなのでしょうか。

よしもとの人はそうかもしれないですが、僕の場合、松本さんとお会いすることがそんなにないので来るたびに緊張してました。逆に出ていくと「やっと出ていった……」と思ってホッとしました(笑)。

──今回の戦いの中で印象に残っているシーンを教えてください。

悪いほうの印象なんですけど、助っ人システムを使って占い師さんを呼んだときは地獄の時間が流れました。やろうとしていたことがまったくうまく噛み合わなくて、「やばい、やばい」と思いながらもすぐ帰ってもらうわけにもいかず、どんどん時間が過ぎて……。

──地獄の時間はどれくらいだったんですか?

30分くらいですかね。見たら心臓がキューってなると思います。僕の中ではなかなかデカイ大砲のつもりで、2、3人くらい笑うだろうと思っていたんですけど、不発に終わりました。

──どういうタイミングでお帰りいただけたのでしょうか。

タイミングも何もなく、30分くらい経って、さすがにもう無理ってなって帰ってもらいました。そのあと全員から「今のなんやったんや!」って総攻撃を受けましたね。「すいません」としか言いようがなかったです。

炎上って何?

──先ほど小峠さんのアドバイスを受けて10個ほどのボケを用意したとおっしゃっていましたが、出さなかったものもあるんですか?

女芸人用のボケも考えていたんですが、今回は女性がいなかったのですぐに脳みそから消しました。あと、ケータイを鳴らしてもらって変な着信音を聞かせる予定だったんですけど、現場がまさかの圏外やったんですよ! それで電話がかかってこないっていう想定外のことがありました。ずっと待っていたんです、キタムラさんっていう架空の人物からの電話を。

ザブングル加藤

──それは痛いアクシデントでしたね。「ドキュメンタル」は多くのお笑いファンが期待している作品です。ご自身の戦いぶりに対してどんな反響があるか予想してみてください。

僕、SNSをまったくやっていないんですよ。事務所から言われて月1回ブログを更新するくらいで。そのブログもイイね!やコメントは基本0。アクセス数が1日30いくつとかなので、なんならちょっとしたグループLINEのほうが拡散力があるっていう(笑)。そんな感じだから、炎上するとか叩かれるとか、その感覚がまったくピンと来ないんです。叩いてる人って実在するのか疑問じゃないですか? もし炎上とかしても、宇宙人から言われてるようにしか感じないと思います。

──ネット上で自分に対する意見を受けとる機会がないんですね。

はい。だから視聴者がどう思うかっていう発想がなかったです。なんでしょうね、「相変わらずダメだなあ」みたいなことを言われるんですかね。あとは、いろんな芸人さんに噛み付いていくスタイルなので、その芸人さんのファンは嫌な思いをするかもしれません。

──これまでさまざまな番組に出演されてきた加藤さんにとって、「ドキュメンタル」はどんな位置づけの番組になりましたか?

一番嫌で一番やりたい番組、という感じです。矛盾しているんですけど。

──では最後にこれからシーズン7を視聴する読者にメッセージをお願いします。

お見苦しい部分も多々あると思うんですけど、あくまで笑かそうと思ってやっていることですので、温かい目で見てほしいです。僕なりにがんばったことですので! うまくいっていないところは大目に見ていただけたらと思います。

加藤歩(カトウアユム)
加藤歩
1974年10月26日生まれ、三重県出身。ワタナベエンターテインメント所属。1999年9月に松尾陽介とザブングルを結成。「さんまのお笑い向上委員会」(フジテレビ系)ではクレームゲストとして芸人たちにギャグ対決を挑み、地獄に引きずり込む「道連れ芸」で注目を集める。相方松尾が描き下ろしたLINEスタンプが販売中。