村本、パラダイスに対しては正義感ゼロ

──「クソ無責任で正義感ゼロ。おしゃべり大好き」といったヒーロー像がこの作品には描かれていますが、どちらかといえば村本さんは正義感があるほうですよね。

村本　僕は正義感があります。デッドプールも弱者の味方なんです。実は一番素直なヒーローかもしれないです。ウソがない。デッドプールに変身する前は、ストーカー被害に遭ってる女の子を助けたりとか。

パラダイス　ちょっとやり方が荒いけどね。

村本　誤解されてるんですよ。僕と一緒。僕もよくSNSで「死ね」とか言われるので、反撃するじゃないですか。やりすぎと言われるんですけど、「先に一発殴られてるんやから、やりすぎなことあるか！」と。

パラダイス　周りの人に対してそれはあるけどさ、僕に対しては、別に僕が攻撃してないのにいつも攻撃してきてない？ 僕に対して正義感はあるの？

村本　いや、例えば、なんにもない街を思い浮かべてください。スーパーもコンビニも電気もガスもない。なのに空気がめちゃくちゃ汚い。そんな街で住民税がめちゃめちゃ高かったらイヤじゃないですか。お前はそれや！

パラダイス　住民税めちゃめちゃ高いってどういうこと？

村本　ギャラという住民税を持っていくから、それはおかしいと言っているんです。おそらくこういう質問が来るだろうと思って、8.6秒バズーカーのエピソードを用意してきて責任感しかない僕が、なぜギャラを半分持っていかれるんですか！ 腹立つ！

出る杭は打たれる？ いや、どんどん出ていこうぜ

──この作品はR指定で、過激なセリフやベッドシーンがあったりします。

村本　今はコンプライアンスがうるさくなってきてますよね。ヒーロー映画は特にそこに対してきれいさを求められがちだと思うんです。でも現実ってそうじゃなくて、世の中には汚い言葉もベッドシーンもある。ヒーローだって人間なんだということですよ。

──確かに元をたどればそうですね。

村本　今の芸能界を考えても、やれ不倫もあれもこれもダメだと。オリエンタルラジオのあっちゃん（＝中田）もNON STYLEの井上も、闇を抱えているはずですからね（笑）。彼らはがんじがらめにされたヒーローですよ。そこで私のようなヒーローが出てきた。アンチヒーローと人は呼びますけど、これが本当のヒーローなんです。SNSで炎上する人間こそが人間らしいんです。好き放題やって人間として生きざまを貫く。これこそがみんなが手本にしていく姿ではないのか。出る杭は打たれる？ いや、どんどん出ていこうぜ。それがデッドプールだと思うんですよ。

パラダイス　この映画を観てそんな深いところまで考える？ すごいな。突き詰めるねー。

村本　デッドプールはこんなに人気あるんです。見た目のデザインは正直パッと見、ヒーローらしくないですよ。でもニューヨークに行ったとき、映画が公開される前に見た街の看板がデッドプールばかりでした。ヒーローものが好きな僕のまわりの芸人たちも「とうとう来たか！」と色めき立っています。

村本がデッドプールに切り刻まれている姿を見てみたい

──もし「デッドプール」の続編があって、お2人も出演できるとすれば、どんな役柄がいいですか？

村本　デッドプールに悩みを聞いてもらいたいかもわからんですね。タクシーの運転手として出て「相方がギャラ半分持っていくんで復讐したいです」と。

パラダイス　僕は村本がデッドプールに切り刻まれている姿を見てみたいです（笑）。

村本　「村本さん」な！

パラダイス　何年コンビ組んでると思てんねん。

──村本さんがデッドプールに近い一方、もしパラダイスさんをヒーローとした映画を撮るとすれば、どんな作品になるでしょう。

村本　それはヒーロー映画なんですかね？ （「チャイルド・プレイ」の）チャッキー的なことになりそうです。

パラダイス　怖いな！ でもそれなら、うまくこなす自信ありますけどね（とチャッキー的な表情を披露する）。

村本　顔ね。そういう顔は俳優さんが何年もやってるから、その中で言えば下のほうや。

パラダイス　なんで？ こっちは乗り気でやってるのに！