「いい脳みそできるよ」笑い飯哲夫、自著のエロ小説を語る

先月12月に笑い飯・哲夫のエロ小説を収めた単行本「花びらに寄る性記」（ヨシモトブックス）が発売。これを記念して哲夫のインタビューが行われた。

同書はオムニバス形式の構成で、クラスでも目立たない童貞の男子が主人公。彼は、同じクラスの好きな女子と、性欲の対象としている同じ塾のかわいい女子2人に、日々想像の世界で悶々としている。物語のメインである第1章「中学生の手記」をはじめ、第1章の主人公が恋する女子の飼い犬の目線で描かれるアナザーストーリー「犬の臭記」、第1章の主人公が性欲を抱く女子の髪を縛るゴムの目線で描かれるアナザーストーリー「ゴムの主記」、そして第1章から第3章までのアナザーストーリーで主人公にライバル心を燃やす「中学生の秋記」まで。さまざまな視点と文体から物語を楽しむことができる。

インタビューで哲夫は、インターネットで簡単にエロ画像などが手に入ることにより、現代の男子学生たちの想像力が失われることを本気で危惧。自分がエロを種に想像力を働かせてきたことが、現在の活躍にしっかりつながっていることから、思春期を迎えた人たちの教科書になればという思いを語っている。

また、2月25日（土）12時からは大阪・スタンダードブックストア＠心斎橋 ミナミ 大阪にて、トークショー＆サイン会を実施。「エロと慈悲」をテーマに哲夫がトークを繰り広げる。予約は同店に電話もしくは来店、メールにて。詳しくはオフィシャルサイトで確認を。

笑い飯・哲夫インタビュー

――人のいるところで読んでいて少し恥ずかしさを感じてしまったのですが、そうじゃないほうがいいんですよね？

そうですね。これは教科書ですから、みなさんが堂々と読める風潮になればいいなと思います。

――読後、「切ない」と感じたのですが正解ですか？

哲夫：正解です、大正解です。大人の人が読んだら、「ああ、思春期って切なかったな」とか、細かいところに「あったあった」とか思ってもらえると嬉しいですし、大人の想像力をさらにかき立てることになりますから。

――女性目線の描写がとても多いですが、どのように書いてるのですか？

想像で書いてますね。で、細かいことを、女友達とかに「中学校のときってこうやった？」とか確認しました。あと、ツジカオルコに聞きましたね。「中学のときに好きな奴おるけど、一番モテる奴とかに告白されたらお前どうしてた？」って聞いたら、「そりゃ即付き合いましたね」って返ってきたんで、「よっしゃそれなら3章いけるな」と。なので3章に出てくる子はツジカオルコみたいになっていくだろうということで。事実が0％は嫌やなと思ったので、そのほかいくつか確認しましたが、違うって却下した部分は少ないですね。

――発売にいたる経緯は？

仏教本のときはあまり出したくなくて、売れたらエロ小説を書かせてくれるという約束やったんです。千代の富士が九重親方に「飛行機乗せてやるから」っていうのと同じですよ。般若心経なんてオレはバレたない部分でしたから。なので、般若心経のあとずっと書き続けてて、会社のほうではコンプライアンス的に無理という話もあったそうですが、「いや絶対やる」って。
そもそも、この本を出したいと思ったのが、中学生の男の子がケータイの画像ばっか見てるのを目の当たりにしたとき「今後の日本が危ないな」と思ったからで。想像する必要もない世の中で育ったら、ほんまに想像力や発想力が弱いやつになってしまうんじゃないかなと。だから想像できるエロ小説で、そっちのほうがいいと思えるようなものを作りたかったんです。そういう教育的な面と、文学的なセンスとかもアピールしながら発売にこぎつけました。

――その思春期の男子学生から反応はありましたか？

哲夫：まだないんですけど、この前本屋で高校生くらいの男の子2人が俺の本の前で「これエロいんやろ」「お前買えや」みたいなんをやってました（笑）。嬉しいですね。後輩に結構渡してるんですけど、童貞じゃない奴は「ええな」って読んでくれるんですけど、僕の顔がちらつくらしくて「興奮してはあかん」と、そういう資源としては使えないそうです。だた1人、19歳の後輩が「1回使わせていただきました」って。さすが童貞やなと。哲夫お構いなしみたいな（笑）。「その先を勝手に想像して」って言ってくれて、僕の中では「そうそう、そういうこと！」って、僕の仕掛けにちゃんとハマってくれたなと。ゆくゆくはそういうことを自分だけのオリジナルの想像にしていったら、めっちゃいい脳みそできあがるよって。一番脳のしわが増えるときにいかに想像力を使っておくかだと思いますね。もちろん計算とか、読むとか、覚えるとかいろんなジャンルのことをやっとかなあきませんけど、想像を怠ったらあかんと。

僕の好きな論語に「学んで思わざれば則ち罔し。思うて学ばざれば即ち殆し」ってあるんですけど、中学くらいで授業でこれを知ったときに「俺、両方やれてるし」って思ったんですよ。「今日も家帰ったら想像するし」って（笑）。エロでやるのは男子学生にとって一番楽で近道ですしね。これ読んだら暗くはならないと思います。俺より危ない人間にもならない。自分で危ないなと思ったら、これ読んで健康的なイマジネーションをして、危ないと思う気持ちを抑制してほしいです。

――女子生徒はどういう気持ちで読んだらいいですか？

女子は自分も思春期だからこそ、思春期の男子に何考えてるかとか質問しにくいと思うんですよ。そこを探求できます。ぜひ読んでください。