NSC東京校卒業後、ビヨンセのモノマネで注目を集め、「笑っていいとも!」「ピカルの定理」(共にフジテレビ)など多数の人気番組にレギュラー出演した直美。2014年のニューヨーク留学を経て、ワールドツアーの開催、ドラマの主演や映画、ブランドプロデュースなど芸人の枠にとらわれない活動を展開してきた。2021年4月からはアメリカ・ニューヨークに拠点を移し、2023年に全米7都市でトークライブ、2024年10月にニューヨークで自身初となるスタンダップライブを成功させる。昨年12月にはアジア・太平洋諸島系アメリカ人のアートやエンターテインメント、カルチャーに貢献した人々を称えるイベント「Unforgettable Gala」でグローバル グラウンドブレーカー賞を受賞し、同年の「BBC 100 Women(100人の女性)」に選ばれている。
そんな彼女が13年ぶりの単独ライブに選んだのは、スタンダップコメディではなく若手の頃から大事にしてきた“コント”。アメリカ・ニューヨークに渡ってからも絶やすことのなかった彼女のコント愛とは?
なお6月21日(土)19時開演の公演はオンライン配信が決定した。配信チケットは本日3月30日からFANY Online Ticketで販売中。
渡辺直美&オークラ インタビュー
──お二人はこれまでも一緒にお仕事をされたことがあったんですか?
直美:テレビのお仕事で間接的にはご一緒したことがあったんですが、直接お会いしたのは2019年の星野源さんのドームツアーです。ゲストのみなさんがアーティストに扮してメッセージを送るというVTR企画があって、私はビヨンセとして参加したんですが、その撮影でオークラさんがインタビューを担当してくださっていて、そこで対面したのが最初です。そのとき私はオークラさんの外見を知らなくて、星野源さんのスタッフさんだと思っていたんです。「よろしくお願いします、“オオクラ”です」って言われてもまさか“あのオークラさん”だとは思わなくて。いざ撮影が始まって、台本もあったんですけどけっこう私アドリブでやっていたんですよ。そしたらそのスタッフさんがすんごいスピードでツッコんできて、「え?」ってなって(笑)。何をやっても返してくれるから、「何この方、面白い!」と思いながら楽しく撮影を終えたんです。その後、東京ドームの公演を観に行って星野さんにそのエピソードを話したら、「あれがオークラさんですよ」と言われてびっくりして!(笑) 私、裏でもいろんな人に言っていたんですよ。「星野源さんのスタッフさんですっごい面白い人がいた」って。
オークラ:この話、何度聞いても好きなんですよね(笑)。うれしくなっちゃう。
直美:今や音楽業界もこんなに面白いスタッフさんで構成されているんだなーって思ってました(笑)。それがオークラさんとの最初の出会いです。
──お会いするまではどんなイメージでしたか?
直美:第一線でお笑い界を支えている、イケイケ・ゴリゴリの怖い人だと思っていて。人気番組をたくさん担当されていたし、いろんな芸人さんからも信頼がある作家さんだから、会うまでは勝手にめっちゃ怖いイメージを持っていました。
オークラ:それは僕も同じです。アメリカでも活動していて最先端な考え方をしている方だから、一歩間違えて下手なこと言って「こいつ古い業界人だな」と思われたらどうしようと怖かったです(笑)。そこは絶対間違えないようにしようと気合いを入れていたのを覚えています。
──今回のライブの演出をオークラさんにお任せしたいと思った理由は?
直美:その最初の対面からちょこちょこお仕事をご一緒させてもらい、話す機会が増えてお互いの価値観とかもわかってくる中で、「とても楽しい!」「オークラさんと一緒に面白いものを作りたい!」と思うようになりました。今回13年ぶりに単独ライブをやるにあたって、今の日本の空気やアメリカの感覚も交えて、信頼できる人としっかり話し合いながら演出してもらいたかったので、オークラさんしかいないなと思ってお願いしました。
オークラ:(直美からのオファーは)意外ではありましたね。芸人さんの単独ライブをやるとき、「芸人たるもの笑い以外余計ことはするな」というお笑い原理主義的な考えに縛られることがあります。それはそれいいのですが、僕自身、さまざまなエンタメ要素を笑いに組み込むのが好きで、渡辺直美=エンターテイナーというイメージがあったので、直美ちゃんのライブならいろんなことができる気がして楽しみだなと思ってすぐ引き受けました。
直美:うれしい!
オークラ:「芸人とはこうあるべき」みたいな像に当てはめすぎちゃっているなと思っていて。特に今、芸人が芸人を語る番組が増えてきていますよね。そうすると「芸人たるもの」という主張が強くなり、やろうとすることがどんどん狭くなってしまう気がするんです。そうなったらそれはただの様式美で、そこに拘らないお客さんからしたら堅苦しいものになってしまう。いろいろなタイプのお客さんが楽しいものを作らなきゃダメだなと感じていたんです。
直美:私としても、とにかく“面白いもの”を提供したいという思いが根本にあって、観に来てくれた人が「今日は本当に笑った、楽しかった」と思うようなライブにしたいんです。「あのツッコミワードがキレキレだった」とかより、もちろんそれも素晴らしいけど、全体的にクオリティの高いお笑いのエンターテインメントを見せたいのはオークラさんと同じ思いです。ニッチなものというよりはたくさんの人に笑ってもらえるような芸人になりたくて芸人の世界に入ってきましたし、今回のライブでも素敵なお笑い、楽しいお笑いを見せられたらいいなと思っています。
──アメリカでさまざまな経験をされた直美さんが今、日本でコントライブをやりたいと思う理由は?
直美:最近の私の活動しか知らない方には意外かもしれませんが、若手のときは年に2回、コントライブをやっていて、自分の中で「コントライブ」ってすごく大事なものなんです。2014年にニューヨークに留学に行って以来、映画やドラマ、ファッションなど、(所属事務所の)よしもとが私にやってほしい仕事とのスケジュールの折り合いがなかなかつかず、単独ライブをやるタイミングを逃し続けていました。そうなったときに「もうライブやコントをやらなくていいんだ」となる人もいるかもしれないですけど、私にとっては芸人をやる上でコントがモチベーションになっていて。自分のコントライブができない間は友近さんや千鳥さんなど先輩たちのライブのコントに参加させてもらっていて、アメリカだけじゃなくて日本でもしっかり自分のコントをやりたいという気持ちをずっと持っていました。
──現時点(取材は3月12日に実施)で決まっているコンセプトや「これを見せたい」というものはありますか?
オークラ:今はまだ具体的にはなっていなくて、直美ちゃんの「コントライブをやりたい」という13年分の思いの丈を聞いている段階です(笑)。コント熱の高さは僕が思っている以上でした。これだけやりたいことがいっぱいあるんだなっていうのはミーティングをする中でわかってきました。世間の人が思う「渡辺直美はこういうエンタメライブをするんだろうな」というイメージと、本人がやりたい「コント」をどういうバランスで融合させて、オリジナリティを出すか、ということを今は考えています。
直美:映画やファッションにまつわるお仕事も、そもそも芸人だからこそやれていることだから、“芸人”を切ってしまったら私には何も残らないと思うんですよ。自分の中で「ネタを作ってみんなに提供する」ということは基礎中の基礎。そういう思いをこの13年間、絶やさないでこられてよかったなって自分でも思います。コントをやりたくてこの世界に入ったので、その原点と言いますか、コントが好きな私を見てもらえたらいいなって思っています。
──今回の単独ライブに期待していることは?
オークラ:さっきも言ったように、渡辺直美というエンタメ素材とコントの融合ですね。世間の人からすると最先端でファッショナブルな渡辺直美像があると思うので、それをコントにどう落とし込むか、どう見せるか。直美ちゃんは意外と人間味や毒っけもあるコントをする人なので、そういう部分も出しながら、見たことのないエンタメになるんじゃないかなと思っています。
直美:みんなでごはんを食べながらミーティングをさせてもらったときに、「あ、やっぱり!」と思ったのが、オークラさんはお笑いというジャンルごと愛してる人だったんです。私もお笑いごと好き、お笑いの全部が好きだから、同じ価値観でうれしかった。お笑いを愛している者同士で……って言うとなんかめっちゃキモいですけど(笑)、「お笑いってこうですよね」ってハマりに行くんじゃなくて、私たちがお笑いを作るという感覚でみんなが楽しめるお笑いエンタメを作れたらなって思っています。
オークラ:理想で言えば、今回の単独ライブで新しい渡辺直美の可能性が見つかって、それを拡大していく、みたいなふうになればいいなと思いますね。
直美:自分が思っている自分と他者から見えている自分って違うと思うから、そこが1つになって初めて“渡辺直美”が生まれる、じゃないですけど。
オークラ:渡辺直美の最終形態(笑)。
直美:そうですね(笑)。そんな感じになったらいいなーって思ってます。世間の思っている渡辺直美とファンの方が思っている渡辺直美と、私が思っている渡辺直美を1つにさせることが大事なライブになるのかなって。これができたら、また次にやるコントライブのときにさらに新しい私になるんじゃないかなというのが楽しみです。
オークラ:たぶんですけど、この濃密な13年間、というか芸歴19年間で培ってきたものがあるから、今回のライブではやりきれないと思うんですよ。自分の中で「これはもっと極めたい」っていう可能性を見つけた段階で終わっちゃうかもしれないから、今回で1つの渡辺直美にはならないんじゃないかなと思いますね。まだ先があるような気がします。それは今後やるコントライブで完成させていけばいいと思うから、今は新しい扉を開いていく作業ができればいいんじゃないかな。
直美:でもみんなそうですよね。やってみたら課題が見つかって、また次って感じですもんね。
──読者にメッセージをお願いします。
直美:10人がいたら10人の正義感や価値観があると思っていて……って、重そうな出だしになっちゃった(笑)。10人いれば10人の人生があると思うから、「ハッピー」とか「仕事がだるい」とか、いろんな感情を持っている人たちが日常を忘れて私のコントライブの世界観を一緒に共有して「楽しい1日だったな」って思えるようなコントをお見せしたいです。観に来てくれた人が「今日楽しかった、よく眠れそう」みたいに思えるライブにしたいです。
オークラ:お笑いライブを見慣れている人ではなくて、お笑いライブ自体が初めての人とか広範囲な人が来ると思うんです。そういう人たち全員が共通して「面白い(と思う)こと」を作るのは難しいけど、「楽しいこと」は作れるような気がするんですよね。直美ちゃんが見せる最先端なことってなんなのか、その答えがこのライブになると思う。最先端って誰もまだやっていないことだから、自分たちが思う最先端が見つけられればいいなと思っています。
渡辺直美コントライブ
日時:
2025年6月18日(水)19:00開演
2025年6月19日(木)19:00開演
2025年6月20日(金)19:00開演
2025年6月21日(土)15:00開演 / 19:00開演
2025年6月22日(日)15:00開演
会場:東京・IMM THEATER
※劇場チケットは完売
オンライン配信チケット
配信日時:2025年6月21日(土)19:00~生配信
料金:一般4000円 / ファンクラブ会員3000円
販売スケジュール:3月30日(日)12:00~6月28日(土)12:00
見逃し配信期間:6月28日(土)23:59まで
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