それぞれのネタは各スポットでお世話になった先生や店員たちの前で披露。その道のプロを前に、エバースの体験記漫才はウケるのか。
「ロケをして漫才を作って披露する」というのを3カ所分、1日で撮影した。1本終わった段階で「『これをあと2?』ってなりました」と佐々木は振り返る。町田はネタ作りに関わらない分、ロケに奮闘。先日、収録を終えたエバースの取材会が開かれ、ロケの感想や漫才の出来栄えを聞いた。
エバース インタビュー
──自分たちだけの90分冠特番のオファーを受けたときはどう思いましたか?
佐々木:最初は何するかもあんまりよくわかっていなくて、対面での打ち合わせのときに内容を聞いて「あ、俺が漫才3本作らなきゃいけないんだ……」ってまず思いました(笑)。売れている人だったらロケに行くだけで面白いからいいですけど、確かに俺らがロケ行くだけじゃ誰も興味ないか、とも思うので、ロケのあとすぐ漫才するっていうのは、まあまあ、1個引っ掛かりとしては。「やるしかないか」って感じでしたね。
──けっこうハードな内容です。
佐々木:番組の方たちが僕らのライブ終わりに挨拶に来てくれて、そこで番組の資料を渡されたんですよ。そこで「やりたくないです」とは言えないので(笑)。
町田:僕は、佐々木が大変そうだなと思いました。「いや、覚えられるか俺?」っていうのもありましたね(笑)。
──収録の手応えは?
佐々木:ロケを1時間して、ネタ作りも1時間くらいでしなきゃいけなかったんですけど、それにしてはだいぶがんばったほうかなと思います。視聴者の方には伝わらないかもしれませんけど、芸人は「だいぶすごいことしてるな」って思うと思います。
町田:僕はもう何も考えることなくただ楽しくロケしてただけです。
──今回のネタ作りも、いつも通りすべて佐々木さんが?
町田:もちろん。時間がない分、特に今回は100・0でした(笑)。いつもは話しながら作ったりもするんですけど、今回は佐々木がバーっと全部決めてくれました。
佐々木:町田に「どう思う?」とか聞いてる時間がなかった。
町田:いつも「どう思う?」くらいは聞いてくれるんですけど、(今回は)それもないです。
佐々木:バーって決めてぶっつけ本番、くらいの感じだったので、町田に割いてる時間がなかったです。
──ではネタ作り中に佐々木さんの向かいに座っていた町田さんは何をしていたんですか?
町田:コーヒーを飲んでました。「ここのコーヒー美味しいな」とか、「ここマグロ丼もある店なんだ」「今度来たいな」とかを考えながら。いつも、佐々木が“ゼロイチ”を考えてるときはいませんけど、基本イチからは僕もいるはいるんです。
佐々木:説明しているみたいな感じですね。町田がいて、「この次俺こう言うから、こう言って」みたいなのを説明して、町田がその場で覚えるっていう。
──では“ゼロイチ”の瞬間を見るのは今回がほぼ初めてだったわけですね。
町田:すごいなと思いましたよ。「あ、そういくんだ」って。僕はロケ終わったときに「(ネタ)どうすんの?」って感じだったんですけど、5分、10分くらいである程度の道筋を立ててくれて、頼もしいです。
──「メイドカフェ」「忍者」「茶道」の3つの世界を体験しました。
町田:メイドカフェはキツかったですよ。だいぶ恥ずかしかったです。
──何が恥ずかしかった?
町田:いやデカすぎるでしょ、さすがに(笑)。メイドさんはみんな小柄でかわいいし。でも、プロだなーと思いましたね。自分は芸人だし、ある程度のことはそんなに恥ずかしくないかなと思ってたんですけど、全然恥ずかしかったです。メイドはけっこう上位かもしれないですね。「ハズい」で言ったら。
──ロケで印象に残っていることは?
町田:忍者教室の先生が頭に布を被って、その上に額当てをしていたんです。それを外してもらおうかなと思ったんですけど、もしめっちゃハゲてたりしたら失礼かなと思って言わなかったんですね。でもロケが全部終わったあとに自分で外していて、見たら僕と真逆の髪型で。ここ(サイド)生えてて、ここ(中央)剃ってたんですよ。
佐々木:昔風の髪型にね。
町田:そう。それを、ハゲとかじゃなく自分でされていて。だから、そこいく勇気あればよかったなっていう。けどハゲてたらと思うと言えなかったんですよね。
佐々木:いってたらどうなんの?
町田:なんかあるだろ、ひと盛り上がり。
佐々木:終わったあと「いけばよかったっすねー」って言ってたけど、全員「いや、別にそんな盛り上がんないけどな」みたいになってなかった?
町田:いや、なってない! みんな疲れて帰ろうとしてただけ。
佐々木:みんな「別に言わんでもいいけどな?」みたいな感じだったよ。お前だけ「うわー、もったいねー」とか言ってたけど。
町田:え、はず。そうなん? だいぶおもろくない? 俺だけ? おもろいと思ってたの。僕と真逆な髪型してたんですよ、先生が。
──佐々木さんは何が一番印象深いですか?
佐々木:ロケ当日、最初にメイドカフェに行ったんです。けっこう朝早くて、朝イチで町田のメイド姿とか、メイドさんにちょっとテンション上がってる町田とかが……。僕、午前中の町田ってムカついちゃうんですよ。だから前半めっちゃムカついたなっていうのだけ覚えてますね。
──なぜ午前中の町田さんにムカついちゃうんですか?
佐々木:午前中にはしゃいでる町田ってムカつくんですよね。
町田:いいですよね? 午前中に暗い奴より。
佐々木:一緒にいすぎてなのかな。夫婦とかもそうなんじゃないですか? 午前中に旦那がはしゃいでたらめっちゃムカつくと思う。
──町田さんは実際にテンションが上がっていた?
町田:テンション上がってましたよ。かわいかったですもん。午前中とか関係ないですよ。
──佐々木さんは初体験のメイドカフェで特にテンション上がらなかったんですね。
佐々木:うーん。そこまで上がりはしなかったですね。
町田:「上がってた」でいいけどな?
佐々木:普段かわいい人とかと共演しますからね。メイドさんじゃなくても。AKBの研究生とかと仕事してるんで。そこで別にテンションとかは……。
町田:「上がる」でいいだろ(笑)。
──町田さんの様子以外で、佐々木さんご自身の体験として印象に残っていることは?
佐々木:あったかな……。「これネタに使えるのかな?」とか考えながらだったので、本心ではあんまり楽しめてなかったかもしれないです。
町田:僕は全カ所楽しかったです。茶道もやったことないし、忍者もガチでやっている人たちに教えてもらったので。メイドカフェなんて普通に最高ですしね。ずっと行ってみたかったので、「かわいいなー、みんな」っていう。普通に行きたいです、また。
──今回の経験は今後に生かせそうですか?
佐々木:茶道のネタは寄席でやってもいいかなって思いました。肩の力が抜けたネタでもあるので、今年の単独とかで改良してやろうかなって思えるくらいの感じでした。忍者のやつも改良すれば形になりそうな気がします。
町田:けっこう年配のお客さんの前でネタをやることも増えたので、茶道はいいテーマでやらせてもらったなと思います。
──昨年の「M-1グランプリ」決勝後、12月には大阪・なんばグランド花月の本公演に初登場していましたよね。どうでしたか?
佐々木:いろんな劇場に出ていますけど、「ここに空気が似てるな」っていうのがないです。本当にNGK独特の空気感だなと思いました。これは僕の予想なんですが、東京は新喜劇がないから、東京の劇場に来るお客さんは漫才やコントを観に来ているんですよ。でもNGKには新喜劇を目当てに来ているお客さんもいっぱいいらっしゃるので、だからあんな独特なのかなって。「ここウケるんだ」「ここ笑わないんだ」とかの反応がマジで独特ですね。同じネタでもそのときのお客さんの感じとか空気感でしゃべり方やテンポを変えたりは意識してやるようにはしているんですけど、そこはできているような気がしました。
町田:NGKでは(自分たちは)まだまだだなって思いましたね。けど、そんなスベってはないと思います。スタート切ったなっていう。「こっからどんどん上がっていこう、NGKで」という感じ。
──「まだまだ」と感じたのは具体的にどういう部分?
町田:お客さんは僕らのことをほとんど知らないので、ツッコミが架け橋にならないといけないと思うんですけど、俺が浮いちゃってる時間とかもあったんで。架け橋どころか俺が浮いちゃってて。
佐々木:確かに。お前だけ浮いてる時間あった。
町田:俺だけ1人、NGKで浮いちゃってる時間が流れるときもあるので、そこはお客さんに寄り添っていきたいです。ほかの芸人さんを見てるとそこがうまいです。ツッコミの方が。
佐々木:お客さんを見ていると「あ、今伝わってないな」と思うときもあるんですよ。もう一言ツッコミで説明足してくれればウケそうだと思うのに、(町田は)それでウケなくてテンパるんですよ。「違う違う、もう1個説明すれば絶対ウケるから」っていうときに、テンパって「どうする?」みたいな顔してて(笑)。
町田:すぐ次行ったりね。
佐々木:「まだ次行くな、説明しろよ」とか思って。
町田:そこの判断ですね……。経験を積んでいきたいです。
──4年半ほどしていたという同居を解消されて、生活の変化は?
佐々木:いい距離感になったと思います。前は近すぎて、キモい距離感だったときもあるんですよ。町田のちょっとした言動に「なんなんそれ?」ってなっちゃってた時期もあって。前だったらムカついてそうだなって思うようなことも、あんまりムカつかなくなりました。
町田:それはありがたいです(笑)。今一緒に住んでたらヤバいと思います。仕事が増えて、毎日会うので。当時はそこまで仕事がなかったから。まだ同居してたらエグかったかもしれないです。ピリつきそう。いいタイミングで解消して、いい感じになったかなと思いますね。
佐々木:たまにラジオを録ったりするために行くんですけど、もともと自分の家だったのに気を遣わなきゃいけない。もう町田の家みたいな感じになってるのが、ちょっとなんか、嫌ですね。なんで気遣って上がらなきゃいけないんだろうって。
町田:もう俺んちなんだよ(笑)。
※編集部注:佐々木が契約した部屋に町田が転がり込んできて同居することになり、昨年、佐々木が引っ越した。
──チャンネルNECOではマユリカ、ケビンス、エバースの特番を12月から連続で放送しています。マユリカのお二人は手錠で共同生活というコンセプトだったのですが、ハードだった「エバース漫才記」とどちらがいいですか?
佐々木:マジで(手錠生活は)嫌ですね。
町田:漫才記のほうがいいです(笑)。
──「エバース漫才記」がもしレギュラー番組になったら?
町田:レギュラーはやばいな。1本だったらね。3が異常なだけで。
佐々木:「M-1」とか(優勝して)終わったら、ありかも。1日2つくらいロケして。賞レースを気にしなくてよくなれば。
町田:1カ月に1回?
佐々木:うーん……多いか?
──エバースの冠番組は「このしゃぶしゃぶ、エバースしますか?」(Lemino)、「エバースの知らぬが冠」(テレビ朝日)に続いてこれで3つ目です。
町田:2人だけでやらせてもらってるのはデカいですね。
──「エバース漫才記」ではロケをしている姿も、漫才も見せられる。
佐々木:本当にそうですね。ゲストに来てもらって回すとかはまったくできないので、そういう意味では向いてる企画ではあります。
町田:しんどさ以外は最高ですね(笑)。
エバース漫才記
映画・チャンネルNECO 2025年2月21日(金)22:25~23:55
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