「M-1グランプリ2009」1回戦レポート
2009年9月21日 10:00 1
今年も「M-1グランプリ」の季節がやってきた。今回、お笑いナタリーでは、9月19日に開催された東京で8回目となる1回戦の模様をレポート。長く熱い戦いのほんの1部となるが、その雰囲気だけでもお伝えできれば幸いだ。
年々盛り上がりを増す「M-1グランプリ」。今年の1回戦は、東京・大阪・仙台・札幌・名古屋・広島・福岡にて、計39回予定されている(9月21日現在)。ここ数年でネタ番組も増え、お笑い芸人がさまざまなところで活躍することも当たり前のようになってきたが、漫才と世間とのシンクロ率はどうなっているのだろうか。
この日の出演者は約150組、うちアマチュアは約80組。MCは功力
約120名収容の会場は、シルバーウィーク初日にもかかわらず8割ほど埋まっていた。観客側にもM-1観戦常連者が増えてきたのか、張りつめた緊張感はなく落ち着いた温かい雰囲気。だが、出場者にとっては何度舞台を重ねても緊張するのがM-1グランプリ。アマチュアでなくとも、声が小さい、マイクから遠い、ネタ中の距離感が不自然など、冷静さを失っているような場面も多々見られた。
ただ、ネタそのものは、漫才としての形や制限時間の2分に収めるということが当たり前のようにできるコンビがほとんど。M-1開催当初、プロはまだしもアマチュア参加者は、時間制限内に終わらない、逆に異様に早くネタが終わる、声が出ないということもしばしばだった。しかし、芸人のフリートーク番組などを最近多く目にするためか、ネタを忘れたときの言葉や、やり過ごし方を身につけてきたアマチュアも多く、その分1回戦でありながら、ネタの見応えは増していた。M-1そのものの浸透率はかなり高いようで、見る側・出る側ともに、イベントを作り上げる気持ちが1つになっているようだ。
この日の結果は、33組が2回戦に進出。そのうちアマチュアは4組と、やはりプロとの境界線は大きかった。NSC東京校の講師をつとめる水野しげゆき氏の総評は「MCの2人は、1回戦敗退」とのこと。敗退してしまった出場者たちからも笑いが起こり、会場は爆笑のうちに幕を閉じた。
出場者インタビュー
●イケメン親子(NSC東京ジュニア)
中学3年生の肉球と父親のコンビ。M-1出場は今年で3回目となる。肉球は、NSC東京ジュニアコース所属。「R-1ぐらんぷり2006」では2回戦まで進んだこともある。今回の出来を尋ねると、「微妙」との答え。家で母親がネタを見てくれるそうだが、「駄作だね」「何で私が付き合わされるの?」と言われるらしく、2人を厳しく育てているよう。1回戦敗退。
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NSC東京7期生コンビ。富山(右)は、オックスフォード大学で博士号をとり、現在輸入コンサルタントの会社を経営する社長芸人。子供も3人いる。相方の安井(左)は、パンツ芸を得意としていたが、最近石川遼選手をイメージしたコーディネートにイメージチェンジしたそう。芸歴8年目になるも、M-1の舞台はかなり緊張したとか。滞りないネタの運びで、会場のウケも良かったが1回戦敗退。
●あらいぐま(アマチュア)
高校で同じ演劇部に所属していた2人。それぞれ別の大学に進学したが、お笑いをやりたい気持ちを捨てきれず、今年初挑戦。感想は「本番直前にネタを忘れてしまったが、ちゃんとできた」とのこと。声を荒げる場面でマイクをつかむパフォーマンスなどは初舞台とは思えない身のこなし。2回戦進出。
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2人の所属事務所が違うという珍しいコンビ。こうもとはさまざまな番組でその名を轟かせた芸達者。今年「R-1ぐらんぷり2009」では準決勝まで勝ち進んだ。ひじきは「M-1グランプリ2007」で女芸人のお~くぼ~(現カシスプリン)とコンビを組んで参戦。2人の見かけをものともしない恋愛ドラマの熱演が大いにウケて、3回戦まで進出していた。今年は、ひじきのネタを元にし、こうもとがツッコむテンポのよい漫才を披露したが、辛くも1回戦敗退。
●ピンクブリーフ(アマチュア)
慶應大学お笑いサークル「O-keis」所属のコンビ。サークルといえど活動はかなり本格的で、大学生を中心としたさまざまなお笑いライブに出演している。コンビを組んで1年弱、この日の出来は70点くらいだそう。1回戦敗退。
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- オートバックスM-1グランプリ2009公式サイト
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お笑いナタリー @owarai_natalie
「M-1グランプリ2009」1回戦レポート http://natalie.mu/owarai/news/show/id/21485