「キングオブコント2009」東京準決勝レポート
2009年9月1日 19:56 1
昨日8月31日、東京・赤坂BLITZで「キングオブコント2009」の東京準決勝戦が行われた。
山本吉貴による小気味よいMCのもと計48組が次々に登場。当日の台風で飛行機が運航せず
出場者のネタは下記の通り。
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子供が一人ぼっちで鬼ごっこをしていると、狂言師が一緒に遊ぼうと近寄ってくるが……。いちいち動作の遅い狂言師と、イライラする子供のやりとりが見どころとなっていた。
●劇団イワサキマサオ
サンドウィッチを万引きした男とそれを追いかける店員のおばさんのコント。万引き犯の口調が昔の黒澤映画風になっていて、徐々におばさんの口調まで古くさい言い回しになっていく。
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東京の準決勝で最初に会場が沸いたのがこのコンビ。内容は、企業の面接官と入社志望者との最終面接。面接官が「膝を曲げずに椅子に座ってください」「今の気持ちを8文字で言い表してください」などと無茶ぶりし、それに見事に応えていく志望者のやりとりが会場の笑いを誘った。
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「キモひげ危機一髪」という「黒ひげ危機一髪」を等身大バージョンにしたネタ。間違った穴に刀を刺すと、キモひげが飛び出して“おしりにもんまり”をすると説明するが、果たして“おしりにもんまり”とは……!?
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8年間離ればなれで暮らしていた父親と子供が喫茶店で偶然の再会を果たすが、その喫茶店を経営するおじいさんが、実は父親の父親だったことが判明。偶然の再会が二重に重なり、混乱する3人の小気味よいやりとりが印象的な彼らの代表作。
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童話「桃太郎」をリズムネタで表現。一度聴いたら忘れられない「♪どんぶらこっこ、てぇーれー。♪どんぶらこっこ、てぇーれー」のリズムに合わせて巨大な桃が流れてくるが、おばあさんの力では持ち帰ることができず……。昨年決勝戦に進出した新進気鋭コンビの次なる一手で、会場のウケも大きかった。
●ビーグル38
老人2人によるお笑いコンビが公園で一般人にネタを見てもらうというコント。ボソボソとしゃべる老人のセリフをもう一人の老人が通訳する「あらびき団」などでもおなじみのネタを本来のメンバーの3人で演じた。
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教習所を舞台にしたコント。生徒は登場するなりカーステレオの音量を全開にしてPUFFYの「渚にまつわるエトセトラ」を大熱唱。そんなやっかいな生徒を前に教官は……。
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病院の院長をカラオケで接待する2人の営業マン。気持ちよさそうにアン・ルイスの「あゝ無情」を歌う院長に合いの手を入れる2人だが……。テレビでもおなじみのネタだが会場は大きく沸き、笑いながら拍手する観客も。
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洋服屋で試着する客と店員のコント。客が求めているのは逮捕されたときに頭の上からかぶせるための洋服だが、それにツッコみもせず「それでしたら……」と、次々に提案する店員。Wボケのかけあいが見どころだった。
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授業中に“『もののけ姫』ごっこ”に興じる男子生徒と女子生徒。その遊びに代理教師が巻き込まれていくが……。
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医者と父親が深刻そうに語り合っている。その内容は「娘さんの病名は……ブスです」というもの。女性客が多い会場で大きく勝負に出たザ・パンチだが、爆発はならず。
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床屋の店員2人が次に来た客を笑わせようと企むが、たまたまやってきたのは暴力団風の怖い男。店員2人は、それでもなお笑わせにかかる。
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プロ野球選手が入院中の少年のところに見舞いにやってきた。「ホームランを打ったら手術を受けると手紙に書いてあったけど、俺には無理や」と、正直に話すが、少年は聞き入れず……。
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修学旅行の夜、2人の男子生徒が女子部屋を訪ねようと廊下を歩いていると、生活指導の教師に遭遇。教師はかたくなに女子部屋に行かせまいとするが、その真の理由とは……。
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教室で大便を漏らしてしまった生徒と、それをいち早く見つけた友人。漏らした生徒は最初のうちはごまかしていたが、すぐにごまかしが効かなくなり、最後には開き直って好きな子に告白までしようと試みる。最初から最後まで下ネタ1本で通したが、会場は引くことなく大きな笑いで包まれていた。
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銀行強盗と銀行員2人のコント。銀行強盗のナイフを奪った2人は、さっきまで怯えていた態度を豹変させて反撃に出るが、今度は強盗がピストルを取り出して……。
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同じ房でつながれたさくらんぼの男と女。自分の頭が一カ所虫に食われてしまったことを気に病み、別れようと言い出す女に対して、男は優しさを見せるが……。笑わせてホロリとさせて驚かせるという、4分間の中に喜怒哀楽のさまざまな感情が詰め込まれたコントだった。
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「自分の彼女が浮気をしているのではないか」と、友人に相談を持ちかける男。ところが、彼女の浮気相手が友人だったことが判明し……。アンジャッシュ得意の勘違いネタを4分間の構成でコンパクトに表現。
●はんにゃ
童謡「ゆかいな牧場」のメロディーに合わせて“あったら嫌なこと”を歌い合う「イヤイヤヨゲーム」。
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古くからの代表作「コンビニ強盗」。臆病すぎる店長と何事にも動じない店員のいるコンビニに強盗がやってきた。ナイフをちらつかせる強盗は、必要以上にビビリまくる店長と、涼しい顔で応対する店員を前に「ちょうどいいのはいねーのか!」とキレて……。3者3様のキャラが見事にハマり、会場も爆発。
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息子を誘拐された父親が身代金を持って犯人に指示された場所に到着。その場所にはホームレスのおじさんがいて、父親に話しかけてくる。実はそのホームレスは扮装した警官であることが判明し……。
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墓参りをしている若い男のもとに、遠くから「ワシの娘を返せ!」と怒鳴り込んできた中年。いきなり若い男の顔面を殴るが、すぐに人違いであることがわかり……。舞台を大きく使ったコントで会場も沸いていた。
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つい数秒前のことを忘れてしまう“メモ魔”の不動産屋と、住まいを探しに来た客のネタ。前半にメモしたキーワードが徐々に混乱を招く引き金になっていく。男性客の笑い声が目立った。
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椅子に縛り付けられた男と、その男のこめかみにピストルを向けるもう一人の男。縛り付けられた男が不意に発した「冥土の土産に……」の言葉に「“冥土の土産”ってどういう意味だ?」と2人して悩みはじめ、その謎を解く課程で徐々に友情が芽生えていくというネタ。ストーリー構成や演技力が観客の心をつかみ、最後には大きな拍手も。
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「我慢できない症候群」にかかった少年とその母親が、医者の診断を受けるというコント。ある曲を医者が口ずさむと、少年は合いの手を入れるのを我慢できず、先走って声を出してしまう。ここでも会場は大きく揺れるほどの爆笑が。
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ボクシングの勝者インタビューネタ。何をしゃべっても甲高い声になってしまうボクサーと、それをおちょくるインタビュアーの駆け引きが笑いを誘っていた。
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振り込め詐欺の電話をかけている男が、電話先の男から返り討ちに遭って右往左往するネタ。意外な展開が繰り広げられる時事ネタ風コントに観客も釘付けに。
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美容院を舞台にした、美容師と客のオーソドックスなコント。彼らが敬愛するバカルディの名作「美容室」を彷彿とさせながらも、サンドウィッチマンらしいダークな笑いが随所に表れた完成度の高い1本。この日の会場で上位に入るほど大きな笑いを獲得していた。
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演技が大好きな3人が次々に設定を変えながら、いろいろな役柄を演じていく。寸劇の合間のブリッジで、3人が全力ではしゃぐ姿が爆笑を呼んでいた。
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遊園地のアトラクションにいるツアーコンダクターと客のネタ。魔物を倒す「ミステリーツアー」に出かけるコンダクターと客だが、ノリノリなのはコンダクターだけで……。
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ある番組で家族と感動の再会を果たした男と、番組司会者のやりとりをコントに。再会を果たした男は、喜びと感謝の気持ちを曲にして届けようとするが、彼が歌う曲はデスメタルばかりで、次々に司会者からダメ出しされる。
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古くからの代表作「喫茶店」。間が悪い上にバカ丁寧な反応を示すウェイターと、そんなウェイターに翻弄される客のやりとりは王道感漂うものだった。
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この日唯一スクリーンを使ったコントを展開したCOWCOW。犯人を追い詰めた警察が逐一ブログを更新して、逮捕するまでを実況中継するというもの。演技と同時進行でスクリーン上にブログの画面が映るという新機軸のコントで、観客の反応も上々だった。
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ワインソムリエが客のオーダーに応じたワインを用意する。1つ1つの味を寸劇で表現するのだが、客はしっくりこない顔を浮かべ……。
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思いやりのある野球部の顧問と、その優しさを素直に受け止められない不器用な生徒のやりとりをコントに。口をふさいだまま大声で思いを伝えようとする、チャンカワイのおなじみの流れも取り入れられていた。
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漂白剤を入れすぎてシャツを台無しにした男が、その苛立ちを犬にぶつけていたところ、犬の飼い主が現れて……。
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1本角を持つバケモノと、バケモノを飼い慣らしている心優しい主人のコント。3万円のお小遣いをもらい、主人とともに原宿にジーパンを買いに来たバケモノ。ところがバケモノは、目的地の近くで「やっぱりジーパンはいらない」と言い出す。その理由を主人が問いただすと……。笑いながらも心温まるピースらしさ全開のネタだった。
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文化祭の出し物でジャパニーズ・レゲエを披露しようとする学生2人。そのうちの1人が、ストリートでジャパニーズ・レゲエをやっている親戚のお兄さんを呼び寄せるが……。得意の歌ネタで今年も決勝進出を目指したロバートだが、東京準決勝で唯一のタイムオーバーとなってしまった。
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共通の好きな女の子がいる親友同士のコント。ネタ本編もウケていたが、大事なセリフを亘が噛んでしまったことによる笑いのほうが大きかったのが印象に残ってしまった。
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取調室での刑事と容疑者のネタ。取調中に刑事がカツ丼を電話で注文するが、その要領の悪さに苛立ちを隠しきれない容疑者。最初無口だった容疑者が徐々にヒートアップしていく様が圧巻で、会場も沸きに沸いた。
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自転車が故障して困っている人のもとにやってきた修理屋のブルース・リー。自転車は無事に直ったものの、なぜかブルース・リーが必死の形相で追いかけてきて……。
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右も左もわからない新入りのレスラーが、ケガで試合に出られないマスクマンの代理役に抜擢されるというネタ。
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CDショップにやってきた客と店員のネタ。ある曲のCDを探すためにうろ覚えの歌を店員に口ずさむ客。店員は「こういう曲ですか?」と、その歌を歌い出すが……。予想外の展開で進んでいくコントで会場も爆笑の渦に。
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寿司屋のオーナーと従業員が「しりとり」で勝負するネタ。一度セリフが飛んだら修復するのが難しそうなコントを見事に演じきったジャルジャル。4分間の中に何度も山場が訪れ、客席も大きく沸いた。
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激安賃貸料のマンションに引っ越してきた男の部屋に幽霊が現れる。ところがその幽霊は偶然にも家主と同級生で……。
●THE GEESE
アメリカかぶれの日本人がニューヨークで強盗に遭うネタ。日本人が英語を話すたびに発音の間違いを1つ1つ指摘され、徐々に英会話スクールに発展していく。途中、音響のミスで大オチの音が出てしまうというアクシデントに見舞われたのが不運だった。
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回転率を上げたいファミレスの従業員と新入りのアルバイトのやりとりをコントに。
既報の通り、東京準決勝から決勝に進出したのは東京03、インパルス、しずる、サンドウィッチマン、ロッチ、ジャルジャルの6組となった。決勝での彼らの活躍に期待しよう。
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