ナタリー PowerPush - ゆゆ式

アニメ「ゆゆ式」キャラソンアルバム発売記念 声優メールインタビュー&楽曲関係者11人座談会

「相川さんの画像を見ながら曲を書きました!」

──さっき亜沙さんはまさに声優さんやキャラクターありき、と言ってましたけど、実際のところ、津田美波さんという声優さんと、櫟井唯というキャラクターのどちらをイメージして曲を書いてました?

亜沙

亜沙 その2択で言うなら完全にキャラクターですね。普段のボカロ曲だと今回の「friends」のような歌詞は書かないし、メロディやアレンジもずいぶん変えてるんですけど、もし津田さんに書くとなったら、それはまたボカロ曲とも「friends」とも違うアプローチになったはずですから。今回に関しては「キャラクターのためにはこうしたほうがいいだろうな」っていう作り方をしてましたね。

デP 僕も完全に相川(千穂)さんというキャラクターのために書きました。というのも、まず「ゆゆ式」のマンガを買ってきて、それをPDF化した上で相川さんの登場ページだけを抜き出したんですよ。で「Cubase」(シーケンスソフト)を立ち上げるじゃないですか。そしたら、そのウインドウの横に相川さんが登場するエピソードだけを並べてみて。

一同 あはははは(笑)。

デP 幸か不幸か……というか、相川さんにとっては不幸なんですけど(笑)、そんなにたくさん登場するキャラクターではないので、PDFを全部並べられるんですよ。それを並べた状態で「よし!」と曲を書き始めましたから。だから普段の僕の作風だったら、もっと胸というものにアプローチする内容になっていたはずなんですけど……。

YM デPの普段通りのボカロ曲だとね(笑)。

デP でも相川さんの画像を開いている横で胸のことはさすがに書けない(笑)。確かに一瞬だけ胸のことも歌ってはいるんだけど、あくまで一瞬だけ。基本的には避けつつ、でも胸のことも一瞬歌っておけば、僕の作品を知ってくれている人は「ああ、デPの曲だな」ってわかってくれるだろう、と。

作品すべてを1人のキャラクターに歌わせる

──164さんは?

164 声優さんでした。もちろん岡野(佳)っていうキャラクターも踏まえた上で、なんですけど「この方はどんな声を出せるんだろう?」ということで、岡野の声を担当なさった潘めぐみさんのほかの出演作品やインターネットラジオの番組なんかを調べてみたんですよ。「ああこういう声を出す人なんだ」って。

──なぜ声優さんにフォーカスを?

mitsu

164 「せーのっ!」のシングルの取材(参照:アニメ「ゆゆ式」楽曲関係者10名による座談会)のときにお話したリミックスの方針と一緒なんですけど、ほかのクリエイターさんも岡野のキャラソンを作ることがわかっていたので、これは僕はキャラクターから外れてもいいだろう、と(笑)。で、潘さんの地声って岡野の声を当てているときよりも、もっとかわいらしかったんですよ。だから、もうちょっと女の子っぽい声で歌ってもらってもいいかな、と。

ヘリP 僕は164さんよりももうちょっとキャラクター寄りというか、両方かも(笑)。松本(頼子)先生というキャラクターと、堀江(由衣)さんの両方をイメージしてましたね。そうすることによって作風や手法が変わったわけではないんだけど、イメージを頭に置いておけばいつもとは別のアイデアも出てくるはずだとは思っていたので。

YM あとは声優さんとキャラクターの2択じゃなくて、作品全体を見渡すっていう選択もありますよね。僕は今回そういう作り方をしてみました。特に詞に関しては岡野っていうキャラクターではなくて「ゆゆ式」という作品のことを描いてみたつもりです。

──Another Infinityさんは?

ST キャラですね。まず僕らが(「ゆゆ式」のイメージソング)「セツナイロ」を書いた時点ではアニメが始まっていない段階で。「これからアニメどうなっていくんだろう?」っていう状態だったこともあって「何気ない日常っていうのが実はキラキラしているんだよ」っていう、比較的大きなテーマを表現した部分があったんですけど、もう1曲の「トキドキまにまに」を作り始めたときにはもうアニメが始まっていたので、表現する内容がもっと具体的になったというか。作品上でのそのキャラのだいたいの役割や声を把握した上で制作することができたので、よりキャラの特徴が出るようなコーラスワークだったり、そういうことは考えましたね。

Ryu☆ オレ、完全に「以下同文」でいいや(笑)。まったくもってスタトラさんのおっしゃる通りです。

アニメが始まったら「Affection」が切ない曲になった

Mayumi Morinaga

──アニメのオープニング曲「せーのっ!」を手がけたふわりPさんや、エンディングテーマ「Affection」に携わったMorinagaさん、mitsuさんももちろんアニメ本編をご覧になってますよね?

Mayumi Morinaga(以下Morinaga) もちろん。

──映像が乗ったことで自分の楽曲の聞こえ方や印象って変わりました?

Morinaga 変わりましたね。第1話って入学式のシーンから始まって、そのあとふわふわとストーリーが進んでいくじゃないですか。でも「Affection」が流れてきたら、そのふわふわした物語が終わっちゃうんですよね。だからホントは明るい曲のはずなのに、アニメの本編のあとに流れてくるとちょっと切なく聞こえたんですよ。

mitsu 確かに。最初は「アニメになった!」って喜んでたんですけど、だんだん「アニメに終わってほしくないから『Affection』は聴きたくない!」って感じになっていったというか(笑)。

キャラクターソングアルバム「いちげんめ!」 / 2013年7月17日発売 / EXIT TUNES
初回限定盤[CD+DVD] 2500円 / QWCE-00287
通常盤[CD] / 2000円 / QWCE-00294
「ゆゆ式」

高校で情報処理部に所属する野々原ゆずこ(CV:大久保瑠美)、櫟井唯(CV:津田美波)、日向縁(CV:種田梨沙)の女子3人の日常を描いたアニメ。インターネットを使って気になることを調べ、出てきた情報をもとに3人がトークを繰り広げる。アニメーションを制作するのは「東京マグニチュード8.0」のキネマシトラス。監督は「CODE:BREAKER」のかおり、キャラクターデザインは「コードギアス 反逆のルルーシュ」の田畑壽之、シリーズ構成は「もやしもん」の高橋ナツコが務める。