毎日リピートするぐらいお気に入りの曲
──英語を発音するような歌い方は、なめらかな曲調にぴったりだと思いました。おかもとさんは完成した「sayonara diver」を聴いて、どういう感想を持ちましたか?
おかもと WONさんが歌うことで、完全にWONさんの曲になっていてすごいなと思いましたし、過去にWONさんが発表してきた楽曲とのギャップもしっかり出ているなと感じました。あと、自分が「ここは心の隙間に、キュッと入るフレーズが欲しいな」と考えながら作ったメロディラインに、しっかりとドキッとする言葉が乗っていたので、そこの意思疎通が取れたことがめっちゃうれしかったですね。
──具体的にはどのフレーズですか?
おかもと 「わたしは 我儘なの」ですね。ここでわがままって言っちゃうんだって(笑)。それまでの歌詞の流れ的には俯瞰しているというか、ちょっと冷めた子なのかなと思っていたんですけど、ここで自分を出して一気に回収する構成にドキッとしました。
WON 自分もこのフレーズは大好きなので、そう言っていただけてめちゃくちゃうれしいです!
おかもと やった!(笑) あと、Bメロの「人が歩いていく」のところは跳ねるように切って歌ってほしかったんですけど、言葉とメロディのマッチングによってちゃんと歩いている感じが出ていてうれしかったです。そういう意味でも、毎日リピートするぐらい何度も聴いちゃうお気に入りの曲になりました。
WON おお、うれしい!
おかもと 自分が歌う分にはいいけど人が歌うとなると難しいかな、と思うような曲を私は特に気にせずに作ることが多くて。でも、WONさんは全部ちゃんと自分なりに消化して歌ってくださるんです。WONさんの歌を聴くことで「ここはこういうニュアンスで歌うラインになるんだ」とか、新たに気付かされることも多かったですし、もしまた一緒に曲を作る機会があったら、今度はこうしたいなというアイデアも浮かんできました。
WON リズムが跳ねる感じで、歩いているように歌うというのも、実はおかもとさんからいただいたアドバイスだったんです。そうやって作曲した方の考えをいただいたのは今回が初めてで、新しい気付きを得られたことは個人的にも大きな収穫でした。
──この曲の反響が今から楽しみですね。
WON 本当に。インスタのストーリーズにバンバン上げてほしいです。それこそ、ちょっとエモめな写真と一緒に。
おかもと TikTokにも合いそう。夏の夜に映えそうですよね。
WON わかります。バンバン使って、みんなの日常の中に刻み込んでほしいです。
おかもと 1人ひとりが口ずさんでいたら、最終的に大合唱になっている。そんなイメージの曲になるんじゃないかな。
WON うんうん。いいですね!
せんとくんでR&Bを歌いたい
──せっかくお二人がそろった貴重な機会なので、この際に聞いてみたいこと、気になっていることをお互いにぶつけてみませんか?
WON じゃあ、私から……おかもとさんの、お顔が非常にタイプでして(笑)。
おかもと あははは!
WON YouTubeの映像とかご本人のお写真を拝見させていただいて、ルックスがめちゃくちゃかわいらしいなと思っておりました。でもこれ、質問でもなんでもなくて、ただ伝えたかったことですよね(笑)。
おかもと ありがとうございます(笑)。アーティストの方からそう言われたのは初めてだったので、めっちゃうれしいです。じゃあ、私からも質問。私、WONさんに関して気になることが多すぎて、人柄もわからない状態だったので、やっと今日「こういう方なんだ!」と知れたんです。WONさんはイラストを通してどんなマインドで活動しているんですか?
WON けっこう強気なマインドかもしれません。歌詞ではそれを隠しきれていないと思います(笑)。
──おかもとさんがもし覆面で活動するとしたら、どんなビジュアルイメージを作りますか?
おかもと 私、せんとくんが大好きなので、せんとくんでいきたいです(笑)。
WON あははは!
おかもと せんとくんになりたくて。せんとくんのビジュアルでR&Bを歌ってみたいです(笑)。
WON いいなー。エイプリルフールにYouTubeで公開してみたらどうですか?
おかもと ハロウィンでもいいかも。
WON せんとくんのコスプレをして?
おかもと 露出が多そうだなあ(笑)。
マイクを持たないほうの手
WON 私からも質問です。私はライブ経験が非常に少ないんですけど、おかもとさんは普段MCってどういうふうにやられているんですか?
おかもと 私は面白い方向に寄せちゃうことが多いです。最初はしっかりした世界観を作ってみたいなと思って、クールにやったりもしたんですけど、自分のキャラじゃなさすぎて(笑)。その結果、「もうそのままでいいや!」と普段しゃべっている感じと変わらなくなりました。
WON 私、あまりにも素で話したら、きっとトークショーみたいになっちゃうかもしれないと思っていて。
おかもと フレンズの場合は1公演に3回くらいMCパートがあって。最初の2回は、例えば卵の栄養素について話したりするんですけど(笑)、最後のMCではそのときに思っていることを伝えたりします。その一方で、ソロのときはMCは少なめかもしれない。1人でしゃべり始めたら、本当にトークショーみたいになっちゃうので。
WON なるほど。あと、歌っているときの動きってけっこう意識していますか?
おかもと めちゃくちゃ意識してますね。私は左手でマイクを持つので、右手の所在がわからなくなる問題があるじゃないですか。
WON ありますね(笑)。
おかもと もともとベーシストで、楽器を持って歌うことに慣れていたから余計にわからなくて。なので、「みんな右手をどうしているんだろう?」ってほかのボーカリストのライブ映像を観て参考にしました。あと、昔ダンスもやっていたので、自分の曲にいい感じにノることも意識していたら、自然と右手も馴染んできたんですよ。
WON じゃあ、私も今からダンスを習おうかな(笑)。
おかもと WONさんのスタイルだったらライブでいろんな表現ができそうだから、本当に役立つと思いますよ。
寝て歌う、水中で歌う
──「sayonara diver」をライブで表現するとなると、どういう感じになるんでしょうね?
WON いっそ寝転んで歌っちゃうとか。
おかもと おお、いいですね。
WON 聴かせるというよりは、1人で歌っているところを見せるぐらいのスタンスがちょうどいいのかな。なので、まず寝て歌えるように練習してみます(笑)。
おかもと 水槽とか、水の中で歌ってみても面白そうですよね(笑)。
WON どうしよう、何も聞こえないかもしれない(笑)。そのときは、ぜひおかもとさんをゲストでお呼びしますので!
おかもと いいんですか? じゃあ、一緒に歌おうかな(笑)。
──(笑)。先ほど、おかもとさんが「次にコラボするときのヒントが見えた」という話をしていましたが、具体的にどんなことに挑戦してみたいですか?
おかもと 歌詞先行で1曲作ってみたくて。最初から歌詞が全部できていなくても、例えば単語をいくつかピックアップして、そこからお互いにコミュニケーションを図る中で生まれる楽曲というのも、面白そうじゃないですか。
WON それは新しい視点ですね。かなり面白そうなので、ぜひいつか実現させましょう!
おかもと ぜひぜひ!
プロフィール
WON(ウォン)
切なさと力強さを併せ持った歌声を武器とする女性シンガー。2021年3月に1stシングル「日記」でトイズファクトリー内のレーベル・VIAよりメジャーデビューを果たした。2022年6月、家庭教師のトライのテレビCM「シンガーハイジ篇」にハイジ役で出演し、ナレーションと歌唱を担当。2023年1月よりフジテレビ系「ザ・ノンフィクション」のテーマソング「サンサーラ」を歌い、注目を浴びる。2023年8月にはおかもとえみが作編曲した「sayonara diver」を配信リリース。
おかもとえみ
東京都板橋区出身のシンガー、ソングライター、ベーシスト。ソロシンガーとして活動する傍ら、フレンズのメインボーカルを務める。2014年からソロ活動を本格的に始め、2021年8月に1stフルアルバム「gappy」をリリースした。作家としても活躍し、さかいゆう、Sexy Zone、TEAM SHACHI、M!LK、FRONTIER BACKYARDらに歌詞を提供。block.fm「おかもとえみのピーチクパーチク」のDJも務める。2023年8月に配信リリースされたWONの新曲「sayonara diver」で作編曲を手がけている。
おかもとえみ/えみそん (@okp_emi) | Twitter