まるでコンサート会場で聴いているような響き
──綱川さんには、事前に「このイヤホンで聴きたい楽曲」としてジャック・ジョンソンの「Better Together」、Role Modelの「play the part」などを挙げていただきました。それぞれ綱川さんにとってどういう意味を持つ楽曲なんでしょうか。
会社を立ち上げる前、世界中を1人で旅していた時期があったんですけど、その旅のお供にいつも聴いていたのがジャック・ジョンソンです。「Better Together」はその思い出が詰まった1曲ですね。Role Modelについては、出張でサンフランシスコへ行ったときにふらっと入ったお店でたまたま演奏していたのが出会いで、そこですっかりハマってしまって。そのときの1曲目が確か「play the part」で、それ以来私の定番出張ソングになっています。
──どちらも、旅の思い出とともにある大事な曲なんですね。実際にこの2曲を「WF-1000XM5」で聴いていただきましたが、率直にいかがでしたか?
演奏が終わったときの音の消え入り方で特に強く感じたんですけど、まるでコンサート会場で聴いているような響きに感動しました。今まで私が使ってきたどんなイヤホンでも拾えていなかった音なんですよね。それを「臨場感」という言葉でまとめてしまうのも大雑把な気がするんですけども……。
──すごく高い音やすごく低い音をこのイヤホンは表現できるので、おそらくそこに宿るリアリティを感じられたというお話なのかなと想像します。
そうですね。
──音以外の、使い勝手の部分で何か気になったことはありますか?
お借りした「M4」に比べて、こちらの「M5」はサイズが小さくなっているのでより装着しやすかったですね。これは喜ばれるユーザーさんがすごく多いポイントなんじゃないかなと思います。
──デザインについてはいかがですか?
かわいくなりましたよね。全体の丸みが増して、コンパクトな印象になったと思います。重さもちょっと違いますよね? 軽くなったことで、充電ケースから取り出しやすくなったような感じもします。
綱川明美にとってプロとは
──今回の特集では「プロが選んだイヤホン」というテーマを掲げておりまして、最後に綱川さんが考える「プロ」の定義を伺えたらと思います。綱川さんはどういう人のことをプロと呼びますか?
特定の領域に関して誰よりも面白い、深い知識を持っている人。誰かに何かを話したときに「ワオ!」という反応をさせられるような人がプロだと、私は考えています。
──ただ単に多くのことを知っているだけではなく、その面白さを知っている人?
そうですね。なおかつ、それをちゃんと伝えられる人。何か今までになかったような考え方であったりものの見方であったり、何か新鮮な気付きを与えてくれる人ですね。
──それはご自身でも「そうあろう」と意識していることですか?
実行できているかは別として、意識はしています。AIチャットボットに関しては誰よりも詳しいんじゃないかなと自負していますし、政府機関をはじめいろいろなお客さんに向けてチャットボットの仕組みや利点についてお話しする機会が多いんですけども、そういった際に相手の方が「ワオ!」とならないことはあまりないですね。
──先ほどチャットボットのお話も出ましたが、綱川さんのいる業界は日進月歩で、日々めまぐるしく状況が変わっていっているのではないかと思います。そういう業界ならではの苦労や、逆にやりがいはどんなところに感じていますか?
苦労で言うと、やはり皆さんが技術にばかり目が行ってしまいがちなところですね。大事なのは、データの質と量なんですよ。どんなに高度なAI技術があっても、間違ったトレーニングデータを入れてしまっては正しく成長しません。だから「データのほうがより大事なんだよ」ということを絶えずお伝えしているんですけど、それがなかなか伝わらないもどかしさは感じますね。
──確かに、目新しいのは技術のほうですしね。どうしてもそっちが目立ってしまうのはわかる気がします。
例えるなら、技術が料理人だとしたらデータは食材なんです。どんなにいいシェフがいても、材料がなければ何も調理できないですよね。だから両方が必要なんですが、そういう本質的な部分をしっかり理解したうえでAI全体の取り組みを捉えてくださる方が、まだまだ少ないのかなと思っています。
──では、やりがいは?
やはりエンドユーザーの方から「ありがとう」とか「とても助かりました」という声をいただけることですね。それはBtoCサービスならではのものだと思いますし、それを感じるのが一番好きな時間です。
──そうした日々の中で、質の高い仕事をするために意識していることは何かありますか?
最近とても大事にしているのはですね、スリーピーソング。赤ちゃんに聴かせる子守歌のようなものを子供と一緒に聴いてそのまま寝落ちすると、次の日のパフォーマンスがすごく上がるんです。以前まではスマホを操作しながら寝落ちしたりもしていたんですけど、それは一切やめました。部屋を真っ暗にして、音楽だけがそこにある状態で精神を鎮めてから眠ると、すごくいいんですよ。
──つまり、シンプルに「人間らしい生活をすることが大切」ということですね。
そうですね、人間らしくなりました(笑)。
ソニー「WF-1000XM5」
世界最高のノイズキャンセリング(※1)を搭載した完全ワイヤレスイヤホン。LDACコーデックに対応しており、ハイレゾ音質(※2)も高音質に再生できるだけでなく、あらゆる圧縮音源がイヤホン側でハイレゾ級(※3)にアップスケーリングされる。ソニー史上最高クラスの通話品質(※4)を誇り、音や人の声が気になる環境下でも正確かつクリアに集音するため快適な通話が可能。装着性と機能性を兼ね備えつつ、極限まで小型化したボディも特徴で、マルチポイント接続にも対応しているので仕事の現場でもプライベートでも活躍できる。
※1 左右独立型ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン市場において。2023年4月10日時点。ソニー調べ。電子情報技術産業協会(JEITA)基準に則る。
※2 ハイレゾワイヤレス。ハイレゾコンテンツをLDACコーデックで最大転送速度990kbpsで伝送する場合。「Headphones Connect」アプリから操作が必要です。
※3 DSEE Extreme ON時にCDやMP3などの圧縮音源をSBC / AAC / LDACのコーデックでBluetooth再生する際、最大96kHz / 24bitまで拡張(再生機器の仕様によっては圧縮音源をLDACで伝送する場合でもDSEE Extremeが無効になる場合があります)。
※4 ソニー完全ワイヤレス史上最高通話品質。2023年7月25日時点。ソニー調べ。
プロフィール
綱川明美(ツナガワアケミ)
高校卒業後に渡米し、カリフォルニア大学ロサンゼルス校に進学。大学卒業後は豪系投資銀行にて機関投資家向け日本株のリサーチセールスに従事する。フィデリティ・インターナショナルでの機関投資家向け金融商品の開発を経て、2015年に株式会社ビースポークを設立。「ガイドブックを超える体験」をコンセプトに、AIを活用したソリューション「Bebot(ビーボット)」を展開している。観光案内、子育て、総合案内窓口、防災対応などで開発したチャットボットが利用されている。