MONGOL800×WANIMAインタビュー|愛の詰まった再タッグ作「愛彌々2」 (3/3)

「かなさんどー」は気持ちのいいレゲエにしたかった

──続いてWANIMAからMONGOL800への提供曲についても聞かせてください。沖縄の方言で「愛しているよ」「好きだよ」を意味する言葉を冠した「かなさんどー」は、ほろ苦いラブソングになっていますね。

KENTA 沖縄でのレコーディング中に、サッシさんから「沖縄の方言で“かなさんどー”って言葉があるよ」と教えてもらって、そこからこの言葉について調べていったんです。キヨサクさんは“かなさんどー”って歌いたくないだろうなとは思ったんですけど(笑)、それでもサッシさんからもらった言葉をキヨサクさんの声で歌ってもらいたかったから、大事に作らせていただきました。

高里 KENTAから「なんかいい言葉ある?」と聞かれて。よくキヨサクが使う言葉がいくつかあるんですけど、その中から「愛しいと書いて“かなしい”っていう読み方するよ」と教えてあげたんですよ。それをいつの間にか使ってたから、俺もあとからびっくりしたけど(笑)。

──WANIMAは「愛彌々」でもMONGOL800に「てぃんがーら」というラブソングを提供していましたが、MONGOL800にはラブソングを歌ってほしいという思いがあるんでしょうか?

KENTA キヨサクさんの声でラブソングを歌われたら誰も勝てないでしょ! あとは「愛彌々」のテーマが愛なので、いろんな愛を歌っていいんじゃないかなって。

MONGOL800×WANIMA(Photo by Tetsuo Kashiwada)

MONGOL800×WANIMA(Photo by Tetsuo Kashiwada)

──キヨサクさん、高里さんはこの曲を受け取ってみてどんなことを感じましたか?

キヨサク 遠慮なくいろんなメロディを1曲に詰め込む感じはWANIMAらしいなと思いました。どんどん違う景色が見えるような構成で面白い。1曲の中に5曲分ぐらいのメロディが入っているから、演奏していても飽きないというか。最初のコーラスとかは、たぶんWANIMAのアプローチではなさそうだけどね。

高里 テンポ感とかも、うちらのことを考えてくれているんだなと感じたし、おかげで自然にアレンジできました。レコーディングも全然時間かからなかったし、すごく楽しくできた。受け取ったときは「これ演奏できるかな?」って一瞬思ったんだけど、いざやると大丈夫でした。

KENTA サッシさんはいつもそうですよね。やる前は「できるかな?」と言っていたりするけど、やり始めてしまえばすぐできる。

高里 あんまり下準備しない人なので(笑)。そのわりには心配するんですよね。でも楽しかったですよ。コーラスもいっぱい入れさせてもらってね。

KENTA サッシさんは歌がうまいからみんなにもっとそれを知ってほしいんですよね。

高里 ははは。自分はキヨサクの声に絡むのが好きでずっとコーラスをやってるからね。「かなさんどー」でもうまくキヨサクの声とハマったと思います。

FUJI ディレイの感じとかもめちゃくちゃいいですよね。

キヨサク ね、大音量で聴きたい。たぶんこの曲、アコースティックでやってもめちゃくちゃカッコいい。

KENTA やってほしい! 最高やと思いますよ。

キヨサク お互いにいろいろ試しながら、遊びながら作れて、面白いよね。相乗効果でいいものが作れたと思うし、自分たちの次の作品への創作意欲にもつながってる。

──今後2組が生み出す楽曲も楽しみです。「かなさんどー」はリラックス感のある気持ちのいいサウンドになっていますが、アレンジやミックスに関してはどういうイメージで進めていったんでしょうか?

キヨサク Kuboty、Seasir、Nariがいる今のモンパチのライブでこの曲をやれるんだったら、気持ちのいいレゲエにしたいと思いました。ジャマイカにいる知り合いの日本人が、ボブ・マーリーがいるタフ・ゴングってスタジオでミックスエンジニアとして働いていて。「愛彌々2」にちょっと違うエッセンスを加えられたらな、聴きやすいぐらいのダブにしてもらいたいなと思って彼に投げました。あと、歌詞の話をするとちょっと熊本弁っぽいとこも入ってるよね。「かなさんどー後悔せんよう」とか、KENTAの口語っぽいというか。

高里 韻も踏んでるね。

キヨサク 熊本のしゃべり方のかわいらしい部分と、沖縄の方言が自然にマッチしていて。「てぃんがーら」も「かなさんどー」も、WANIMAバージョンで聴いてみたいですね。なかなかWANIMAの曲では出さない甘酸っぱいところとか、落ち着いた感じの曲だろうし。

「愛彌々3」はハワイで

──今後お互いの提供曲をセルフカバーしたらファンの方々が喜びそうですよね。前作で言うと、MONGOL800が「LAST PARADISE」をセルフカバーしていますし。ちなみにWANIMAは「てぃんがーら」を演奏されたことは……?

KENTA 弾き語りで1回だけやりましたね。

キヨサク マジ? あとで映像資料もらおう。「ラスパラ」は、当時の俺ら自身が今一番やりたいモードの曲というか、アウトプットしたい曲を渡そうと思っていて。その曲がWANIMA節になったことで、「じゃあうちらはこういうふうにやろう」というのが明確になって、自分たちの曲としてセルフカバーできましたね。

──なるほど。改めて2組はルーツや根っこの部分が近くて、「愛彌々2」も無理なく自然に制作されたものなんだろうなと思いました。

キヨサク もちろん生みの苦しみはあるかもしれないけど、それ以外はスムーズというか、なんの引っかかりもなくできましたね。「こう来たか、じゃあこう返そう」と遊ぶ感じで進められて。

KENTA 俺はこの2組でそういうやりとりをするのを楽しみにして作っています。みんなで制作して、ライブできることが「愛彌々」を生み出す原動力というか。

キヨサク じゃあ引き続き「愛彌々3」も。

高里 「愛彌々3」は熊本ですかね。

KENTA 熊本レコーディング。あと島というくくりならハワイとかもいいですよね!

キヨサク 行きたいだけだろ(笑)。

FUJI これに関しては行きたいだけですね。

高里 俺らも行きたいよな。

FUJI ハワイREC、いいですね。

キヨサク 急にテンポが落ちて、スローな感じになったりしてね。現地でハワイアンレゲエ、ジャワイアンレゲエを鳴らしたら絶対に気持ちいいと思う。みんなハワイに行きたすぎて、半年後くらいに「愛彌々3」ができてたりしてね(笑)。

MONGOL800×WANIMA(Photo by Tetsuo Kashiwada)

MONGOL800×WANIMA(Photo by Tetsuo Kashiwada)

プロフィール

MONGOL800(モンゴルハッピャク)

1998年夏にキヨサク(Vo, B)と高里悟(Dr)によって結成された、沖縄県出身で同県在住のバンド。通称モンパチ。自然体の言葉や平和を願うメッセージが込められた楽曲が共感を呼び、幅広い世代から支持を得ている。作品のリリースやツアーの開催、大型フェスへの出演などの勢力的な活動のかたわら、世代やジャンルを超えたアーティストへの楽曲提供やコラボレーションも行っている。2009年より沖縄にて主催フェスを開催している。2023年に結成25周年を迎え、オリジナルアルバム「LAST PARADISE」およびトリビュートアルバム「800TIRIBUTE -champloo is the BEST!!2-」を発売した。2024年9月にはWANIMAとのスプリット音源「愛彌々2」をリリース。同年11月には沖縄・宜野湾マリーナ・トロピカルビーチ特設場で主催フェス「What a Wonderful World!!」を開催する。

WANIMA(ワニマ)

東京都在住熊本県出身のKENTA(Vo, B)、KO-SHIN(G, Cho)、FUJI(Dr, Cho)の3人からなるロックバンド。2010年に結成された。2014年10月に1stミニアルバム「Can Not Behaved!!」をリリース。2017年12月に「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たし、2018年1月にはメジャー1stアルバム「Everybody!!」を発表。2022年より熊本・熊本県農業公園カントリーパークで主催フェス「WANIMA presents 1CHANCE FESTIVAL」を開催している。2023年10月に3rdフルアルバム「Catch Up」を発売。2024年1月にアコースティック作品「1Time」を配信リリースし、3月にこの作品のアナログレコード盤をリリースした。8月に森永製菓によるキャンペーン「その全力にさしいれを。学校にinゼリー」のテーマソング「Rolling Days」を配信リリース。9月にはMONGOL800とのスプリット音源「愛彌々2」をリリースした。11月に東京・有明アリーナと兵庫・ワールド記念ホールで、ツアー「Catch Up TOUR -1Time 1Chance-」のファイナル公演「Catch Up TOUR Final 2022-2024」を行う。