U&piaミニアルバム「Utopia」特集|関わってくれるすべての人を幸せに 異色の完全セルフプロデュースダンス&ボーカルグループ誕生

5人組ダンス&ボーカルグループ・U&pia(ユーエンピー)が初のフィジカル盤となるミニアルバム「Utopia」をリリースした。U&piaはメンバー兼プロデューサーを務める荒ん。を筆頭に、コンセプトデザインから楽曲制作、振付、衣装、マネジメント業務に至るまでをすべて自分たちのみで担うという異色の完全セルフプロデュース集団だ。このグループがどう生まれ、何を目指し、どのような思いで日々の活動に向き合っているのか、5人に話を聞いた。

取材・文 / ナカニシキュウ撮影 / 中原幸

スタートアップ企業みたいな感じで

──まず、このグループがどういう経緯で始まったのかというお話から聞かせてください。

荒ん。 僕たちはもともと別の事務所に所属していたんですけども、楽曲制作や衣装、振付など、すべてを自分たちの手で手がけるグループをやりたくなって、僕が1年前に独立したんです。そのときに付いてきてくれたメンバーと新しく立ち上げたのが、このU&piaになります。なので今は主に自主制作でやっておりまして、マネジメント業務まで含めた全部をメンバーが兼務しています。スタートアップ企業みたいな感じでアーティスト活動をしていけるようなグループ、というのを理想に作りました。

荒ん。

荒ん。

──なるほど。始まり方からしてかなり野心的なグループなんですね。

荒ん。 ちなみに「U&pia」というグループ名は“ユートピア”をもじったもので、「U」は「あなた」、つまりファンの子たちを表していて。ユートピアって“探しても見つからない理想郷”みたいに皮肉的な意味でも使われがちな言葉ですけど、それをみんなと一緒に作り出していきたい、僕たちがみんなのユートピアになれるような活動をしていきたい、という思いを込めています。「U&pia」と書いて「ユーエンピー」という、ちょっと読みづらい名前なんですけど(笑)、そんな5人組ダンス&ボーカルグループでございます。

──メンバーが裏方業務も兼ねているとのことですが、それぞれ具体的にどんな仕事を担当しているんですか?

荒ん。 まず、SAIZENにはマネージャー業務を主にやってもらっています。U&pia最年長の韓国籍メンバーで、演者としての担当はラップリーダーなんですが、裏ではスケジュール管理や他社さんとのメール連絡などを担当してくれています。すごく信頼の置けるメンバーでございます。

SAIZEN 最年長としてグループにいるからには頼れる最年長でありたいな、という思いも理想としては持っているんですけども、堅苦しい存在ではなく、みんなに愛される最年長でいたいと心がけております。Yeah。

TAIGA 「Yeah」まで書いてくださいね。

──事務的な作業や人との連絡などはもともと得意なタイプなんですか?

SAIZEN そうですね。基本的に人が好きなので、コミュニケーション能力は高いと思います。

SAIZEN

SAIZEN

──アーティストさんってそういう仕事が苦手なイメージも強いですけど……。

荒ん。 そうなんですよ、だからこそSAIZENの存在がすごくありがたい。僕たちが緊張してあまりコミュニケーションが取れなくなっちゃうような場面でも彼は常ににこやかで、グループの第一印象をよくしてくれます。

SAIZEN つまり、ビジュアル担当ということでよろしいですか?

廣田蓮 いじわる担当?

SAIZEN いじわるじゃない(笑)。ビジュアル!

荒ん。 次に蓮ですが、演者としてはリードボーカルを担当していまして、裏では主にクリエイティブな部分を担ってくれています。「Utopia」のアルバムジャケットも彼がデザイナーさんとやり取りして作っていたりとか。今回のミニアルバムでは作詞作曲に挑戦していて。あとはYouTubeやTikTokの編集だったり、そういうところを率先してやってくれるメンバーですね。

TAIGA そうですね、蓮はビジュアル担当です。

 全員それ言う流れにしようとしてる?

TAIGA まあね。

 僕は昔からもの作りが好きで、こだわってやっちゃうんですよ。例えば小学校の図工の時間で粘土を使うときとか、けっこう気合いが入っちゃうタイプでした。

TAIGA アーティスト気質というかね。

 裏方の業務って、ぶっちゃけお金を出して人に頼めばやってもらえることではあるんですけど、それをあえて自分たちでやることにすごく意味があるなと感じてやっていますね。

廣田蓮

廣田蓮

TAIGA 裏方の大変さもわかるしね。

荒ん。 そしてTAIGAの担当は、ここまでの感じでだいたいわかると思いますけど、とにかくムードメーカー。演者としてはダンスリーダーなんですけども……。

TAIGA ビジュアル担当です。

荒ん。 違う。

TAIGA 違ったかー。

荒ん。 こうやって常に場を和ませてくれますし、人とコミュニケーションを取ることが好きなタイプなので、SNS周りの運用は彼に任せています。あとはダンスリーダーとして、今回の新曲では振付も担当してくれていて。うるさいこと以外は非常にありがたい存在ですね。

TAIGA あと、ライブの照明とかVJとかの演出面でも……。

 それ、絶対に言いたいんだ?(笑)

TAIGA 大事なことなんでね!

 根っからのエンタテイナーだもんね。この職業にはすごく向いているタイプだと思います。

TAIGA と言っても、生まれついてのお調子者キャラというわけではないですよ。子供の頃はすごく誠実な少年だったと思います。ずっと主人公のような存在として生きてきました。

SAIZEN てことは、お調子者じゃん。

TAIGA ふふふ(笑)。

TAIGA

TAIGA

まさかここまで自分たちでやることになるとは

荒ん。 で、最年少のSEIYAはリードダンサー兼サブラッパーなんですけども、裏での役割は“最年少”ということのみです。本当にこの5人だけですべてをやっているので、普段からグループLINEがすごい勢いで回るんですけども、SEIYAだけはそこに3日間くらいまったく現れないこともあったり。

TAIGA 「生きてるかな?」って心配になるときもあるんですよ。

荒ん。 そういったところを最年少のかわいさでカバーしてくれています。

 まあ、グループ全員がしっかりしてても気持ち悪いしね。ただ、今まではその役割1本でやってきたんですけど、なんと今回の楽曲でついに……衣装をSEIYAが手がけてくれました!

一同 わー!(拍手)

 2割くらいSEIYAがやったんだっけ?

SEIYA 全部やったわ!

荒ん。 試しに作ってみてもらったら、これがめちゃくちゃカッコよくて。

SEIYA 自分でも満足しています。

TAIGA 今日のSEIYAはいつもより多めにしゃべっております。いつもはオブジェなんで。

SAIZEN 癒しのオブジェなんで。

SEIYA おい。

SEIYA

SEIYA

──そこは「マスコット」という言い方のほうがいいのでは?

TAIGA あ、そうですね! マスコットです。

SEIYA そういう自分の立ち位置に納得はしてるんですけども、本当に裏の役割で言うなら、お金の管理をさせてもらったりもしていて。特に数字に強いわけでもないんですけど、根っからの貧乏性ではあるので(笑)、自分のお金もグループのお金もしっかり管理しなきゃという気持ちは強いです。

荒ん。 最年少ではあるんですが、ある意味では彼が一番堅実なんですよ。

 貯金大好きだもんね。

SEIYA 確かに(笑)。貯金は大好きです。

荒ん。 そういう、普通ならやらなくていいような裏の業務を、みんなが楽しんでやってくれているのがありがたいなと。重責に堪えかねて精神を病むようなこともなく「もっとこうしていかなきゃ!」と前向きに考えてくれるメンバーばかりなので、本当にいいメンバーに恵まれたなという気持ちでいますね。

TAIGA ブーブー文句言いながらやってます。

SEIYA 言うは言うよね(笑)。

 やらされている感じじゃないからね。自分たちが届けたいもののためなんで。

TAIGA そうだね。やりたいことをやらせてもらってるんで。

──気兼ねなく文句を言える環境だからこそ、ストレスにならずに済んでいる面もありそうですね。

 それは僕が教えたんですよ。「言わないとダメだよ」って。

TAIGA 彼が一番ストレスを感じやすいタイプなんで(笑)。

荒ん。 基本的にプロデューサーの僕に決定権はあるんですけど、ワンマン的に「お前はこれをやれ」みたいな感じでやりたいわけではないので。みんなで意見を出し合ったうえで、最終的に決めるのが僕の役割というだけで。

TAIGA イヤなことはイヤって言うしね。「これをやる意味が僕たちはわからない」って。それをちゃんと聞いてもくれるんで。

SEIYA ありがたいです。

U&pia

U&pia

──裏方の仕事をメンバー自らが担うことによって、グループの運営が皆さんにとって他人事ではなくなりますよね。普通、グループでやっていると1人くらいは他人事感のあるメンバーがいたりするものかなと思いますけど。

SAIZEN そうですね、責任感も生まれますし。

荒ん。 それは本当にすごく大きくて。アーティスト友達と話してると、けっこう事務所に対する文句をブーブー言っているのを耳にすることもあるんですけど、「いや、でも事務所も大変なんだよ」って。それはやってみてわかることですね。

TAIGA 独立したときは、まさかここまで自分たちでやることになるとは思ってなかったですけどね。