音楽ナタリー Power Push - 東城陽奏

フレッシュな17歳アニソンシンガーが描く未来

今、この瞬間に戸惑っている?

──当たり前ですけど、現役女子校生の東城さんは翌朝学校がありますからそんなに夜更かしできませんしね。

東城陽奏

そうですね。平日は学校に行って、授業が終わったら歌の練習をしたりブログを書いたりして、土日に今日のような取材やお仕事を入れてもらう感じです。

──未知なことだらけだと思われますが、戸惑いはありませんか?

戸惑い……今、ナウですね(笑)。

──このインタビュー? 戸惑わせてました?

半分冗談ですけど、緊張はしてます。まだインタビューは2回目なので。

──半分は本気なんですね(笑)。プロの歌手としてデビューするにあたって、ほかに何か感じたことはありますか?

印象に残ってるのは、それこそナタリーさんのようなニュースサイトで「東城陽奏」「デビュー」っていう文字を初めて見たときに「おおおおお!」ってなりました。「本当なんだ!」って(笑)。

アニメに寄り添いつつ、自分の気持ちも歌に乗せて

──ちょっと話が逸れましたが、この表題曲の「Misty」もカップリング曲の「想い出の宝箱」も、共に非常に大人っぽいバラードですね。正直、「17歳の新人アニソンシンガー」という先入観からもっとキャピキャピした感じをイメージしていたのですが、情感の込められた力強い歌唱に驚かされました。

ありがとうございます!

──初めてデモ音源を聴かれたとき、どのような印象を持たれました?

まず表題曲の「Misty」は、最初にメロディだけ聴いたときは穏やかで温かい感じの曲だなって思ったんです。でも歌詞を見たら、「奇異太郎少年の妖怪絵日記」の原作コミックを読んだときに感じたことが思い出されたというか、原作とリンクしてるんだなって。そこはアニメではまだ描かれていない(取材日は第7話放送時点)部分なんですけど。

──そうなんですか? 僕は原作未読でして、歌詞だけ読むと別れの歌、もっと言えば悲恋の歌なのかなって思ってしまったのですが。

確かにそう読み取れる歌詞なんですけど、「奇異太郎少年の妖怪絵日記」には、「狐面の女」っていう、人間の女性に化けた妖狐が出てくるんですね。で、この妖狐に対する奇異太郎の気持ちが、「Misty」の詞で表現されています。それは恋心とはちょっと違うものなんですけど。

──奇異太郎がなんらかの、どちらかといえば切ない感情を妖狐に抱いている?

そうですね。なので、歌うときは半分は奇異太郎の気持ちになって、もう半分は東城陽奏としての経験や感情を歌に乗せようと。やはりアニメのエンディングテーマなので作品の世界観に寄り添いつつ、でも自分の個性もちゃんと出していきたいなと思って。

──デビュー曲からそのへんのバランスを心得てらっしゃる。

あと「奇異太郎少年の妖怪絵日記」の原作は、原作者の影山理一さんのサイトなどでも読めるんですよ。(参照:モルモル亭)だから未読の方は、読後に「Misty」の歌詞の捉え方が変わって面白いかもしれません。

──そして原作のプロモーションも忘れない(笑)。

面白いのでぜひ!(笑)

正しいビブラートのかけ方を教わった初レコーディング

──先ほど、半分は奇異太郎の気持ちで、半分は東城陽奏として歌ったとおっしゃいましたが、レコーディングはいかがでした? スタジオに入るところから何もかも初めての経験ですよね?

そうですね。歌い方をディレクションしていただくのも初めてだったんですが、「こうするともっと情感が入っているように聞こえるよ」とか、丁寧に教えていただいて、何もかもが新鮮でした。

──さっきも言いましたけど、めちゃめちゃ情感込められてますよね。レコーディング当時16歳とは思えないくらい。そのディレクションというのは、具体的には?

東城陽奏

例えば、私はビブラートをたくさんかけがちなんですが、声を伸ばすパート全部にかけるのではなく、かけるポイントを絞ってメリハリを付けたほうが効果的だとか。

──ビブラートをかけがちっていうのは、狙って? それとも自然に?

自然とですね。クセというほどではないですけど、歌は自己流だったのでずっとそういう歌い方をしていて。

──じゃあ、レコーディングで歌い方を矯正されたという言い方もできると思いますが、大変ではなかったですか?

苦戦したところではありますが、指摘されるということも含めて新鮮で楽しかったです。

デビューシングル「Misty」/ 2016年11月30日発売 / 1404円 / AQUA ARIS / AQAR-0012
「Misty」
収録曲
  1. Misty
    [作詞:Reom / 作曲:U-NO / 編曲:Kanki、U-NO]
  2. 想い出の宝箱
    [作詞:Reom / 作曲:U-NO / 編曲:Kanki、U-NO]
  3. Misty(Instrumental)
  4. 想い出の宝箱(Instrumental)
  5. Misty(-TV ver.-)

ライブ情報

LEVELS Night vol.1
2016年12月9日(金)東京都 新宿 RUIDO K4
<出演者>
逢瀬アキラ / 紫苑雪 / 東城陽奏 / 福山沙織 / MISAKI(Confetti Smile)
東城陽奏(トウジョウハルカ)
東城陽奏

女性アーティスト。幼少の頃より歌手を目指し、2016年10月に放送がスタートしたテレビアニメ「奇異太郎 少年の妖怪絵日記」のエンディングテーマ「Misty」を担当し16歳でデビューを果たした。11月に同曲を表題曲とした1stシングルをリリースした。