The Taupeがニューアルバム「サイケデリックシネマ」を2月20日にリリースする。
昨年11月にコドモメンタルINC.に移籍し、音源のリリースやイベント出演など精力的な活動を繰り広げているThe Taupe。今作「サイケデリックシネマ」は、かわもトゆうき(Vo, G)が考えた架空の映画10作品の主題歌を集めたコンセプトアルバムとして制作された。音楽ナタリー初登場となる今回のインタビューでは、移籍の経緯などバンドのバイオグラフィに触れつつ、最新作の制作エピソードなどを語ってもらった。
取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 関上貴也
普通の音楽だと物足りない
──バンドのキャッチコピーに「妖怪」という言葉を使ってますよね。なぜ妖怪なんですか?
かわもトゆうき(Vo, G) ライブを観に来てくれたお客さんが「The Taupeって妖怪みたいだ」と言ってくれたことがありまして。妖怪って言われて、なんか嫌な気がしなかったんですよね。ライブって非日常の空間だし、僕らが表現したい音楽もどちらかというと非現実的な空気感をまとっているものが多くて。
しょーへい先生(Dr) 人間離れしたパフォーマンスをしたいと思っていたし、ちょっとおかしい音楽を鳴らしている自覚もあったので、自分たちでも「妖怪」という言葉を使うようになったんです。
──確かにThe Taupeの音楽にはJ-POP的なアプローチから逸脱している印象があります。AメロやBメロ、サビのような概念に縛られていない構成の曲が多いですよね。
かわもト もともと僕のルーツは子供の頃に車の中で流れていたオフコースなので、自分の中にJ-POP的な要素があるとは思ってるんです。ただ学生時代に上京してきたタイミングでRadioheadを入り口に洋楽を聴くようになり、だんだん変拍子を多用した音楽とか、変な音が入ってる音楽を聴くようになって……なんだか普通の音楽だと物足りなくなっちゃったんですよね。
ニール・パティ パティ パティ(G) その影響からか、かわもトさんが作る音源は特殊な曲が多くて。僕はエフェクターをいろいろ使うのが好きなので、変な曲に合う、変な音を探すのが楽しいんです(笑)。曲を聴いたときの第一印象を大事にしながら「今まで使ったことなかったけど、この音が鳴ったら面白いかも」みたいなことを考えてます。
おのてらえみ(B, Vo) 特殊な曲を平凡にしたくない一心でベースラインは考えてます(笑)。デモ聴いてコードをまず覚えるんですけど、あんまりコードを意識しすぎると普通のベースラインになっちゃうので、なるべく歌うようなベースを付けたくて。
かわもト 僕の感覚が多分ズレているんですけど、僕自身はすごくキャッチーでポップだと思って曲を作っても、全然ポップじゃないって言われることが多いんですよ(笑)。
しょーへい先生 ゆうくん(かわもト)が作るデモにはドラムもベースもギターも入ってるんですけど、けっこう自由にやらせてくれるんです。「もう全部変えていいよ」みたいに言ってくれるので、僕らは僕らで燃えるというか。
──特殊な曲に見合ったアレンジを考えて演奏するって技術が必要なことだと思うんです。バンドの音源を聴いて、それぞれのメンバーの演奏力の高さも感じました。
かわもト うん。みんなのアレンジはけっこう楽しみにしてるんですよ。もちろん僕らはまだまだこれからのバンドだけど、みんな技術はあるんだと思う。
おのてら え? 本当に?
パティ あんまりこういうことを面と向かって言い合ったことはないので、なんだか照れますね(笑)。
カナダでの出会い
──The Taupeは昨年11月にコドモメンタルよりミニアルバム「NEO TOKYO帝国」をリリースしました。どういうきっかけでコドモメンタルに所属することになったんでしょうか?
かわもト コドモメンタルの人たちとはちょっと特殊な出会いをしたんですよね。カナダで毎年行われているイベント「Next Music from TOKYO」に呼んでもらったとき、同じイベントにコドモメンタル所属のゆくえしれずつれづれが出てたんです。僕、正直に言うとそれまではアイドルというものに対するイメージがあまりよくなくて。なんと言うか、チャラついてるイメージだったんですけど、つれづれのライブを観たらその価値観が180°変わったんです。メチャクチャカッコいいし、むしろバンドに近いライブをやる人たちだった。
しょーへい先生 ちょうどその頃、僕らもレーベルを探していたタイミングだったんです。その後イベントに誘ってもらったりするうちに「もしよかったら一緒にやらないか?」と言ってもらえまして。
──いろんなレーベルが選択肢にある中で、コドモメンタルに移籍する決め手となった要因はなんですか?
かわもト 社長の熱意ですね。音楽を本当に愛していると思ったし、アイドルであれバンドであれ、本気でアーティストと向き合ってるのが伝わってきて。コドモメンタルってアイドルのレーベルのイメージがあるかもしれないけど、そういうのは関係なく、こういう人と一緒に音楽を作っていきたいなと思ったんです。
──The Taupeは「Next Music from TOKYO」に2年連続で出演しているんですよね?
かわもト あんまりほかのバンドではないそうなんですけど、なんだか気に入ってもらえたみたいで(笑)。
──海外でライブをやってみて何か手応えを感じましたか?
かわもト すごくよかったです。オーディエンスの反応が日本と全然違うんですよ。初めて聴く音楽を楽しもうとする姿勢が違って、簡単な言葉で言えばノリがすごくいい。
パティ 物販に行列ができて、握手やサインを求められて、そのときはなんだかスターになった気分でした(笑)。
──「Next Music from TOKYO」は日本人アーティストが複数出るイベントですが、The Taupeはその中でも特に人気があるということですか?
おのてら 特に人気あるよね?(笑)
パティ うん(笑)。
──それはなぜだと思いますか?
かわもト 楽曲とパフォーマンスかなと。僕らの曲は日本語が多いけど、特に日本語に意味があるわけでもないから、言葉の響きだけで楽しんでもらえると思うし、ライブはけっこう動き回ってお客さんのところにダイブしてもみくちゃになることも多いので(笑)。そういう激しいパフォーマンスが海外の方にウケたんだと思います。
しょーへい先生 言葉がわからなくても動きとかで伝わるものがあるんだってことを、海外に行って学びました。
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The Taupeが作る映画館
- The Taupe「サイケデリックシネマ」
- 2019年2月20日発売 / コドモメンタルINC.
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[CD] 2000円
CMI-0051
- 収録曲
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- ピグロンX
- ヴァンパイアウォーク
- FICTION
- HADO-KEN
- テンプテーションNO.5
- 鬼ヶ島
- テー・ヤングの賛歌
- パパラッチパパ
- メタルバーガー
- ビバリーヒルズシネマ倶楽部
ツアー情報
- The Taupe「サイケデリックXツアー」
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- 2019年4月7日(日)東京都 下北沢Daisy Bar
- 2019年4月14日(日)大阪府 新神楽
- 2019年4月29日(月・祝)千葉県 千葉LOOK
- 2019年5月5日(日・祝)東京都 新宿Motion
- 2019年5月11日(土)愛知県 CLUB Zion
- 2019年5月12日(日)京都府 GROWLY
- 2019年5月25日(土)東京都 Shibuya Milkyway
- The Taupe(トープ)
- かわもトゆうき(Vo, G)、おのてらえみ(B, Vo)、ニール・パティ パティ パティ(G)、しょーへい先生(Dr)の4人からなるロックバンド。2014年1月に結成し、2015年4月に初のCD作品となる1stミニアルバム「バンッではありません」をリリースした。2016年7月には「FUJI ROCK FESTIVAL'16」にROOKIE A GO-GO枠で初出演を果たす。2018年10月よりコドモメンタルINC.に所属し、11月にミニアルバム「NEO TOKYO帝国」をリリース。2019年2月には2ndフルアルバム「サイケデリックシネマ」を発表する。