音楽ナタリー Power Push - サンドクロック
対照的な2人が織りなす“日常のファンタジー”
性格も音楽性もボーカルのスタイルもまったく異なる2人のシンガーソングライター、永田佳之(Vo, G)と滝田周(Vo, Key)によるユニット・サンドクロック。2015年6月にミニアルバム「EPOCH」でメジャーデビューを果たした彼らから2ndミニアルバム「LIFE IS FANTASY」が届けられた。ソウルミュージックのエッセンスを感じさせる滝田の作詞作曲によるポップチューン「君はファンタジー」、「どんな状況であっても走り続けよう」という意思をエモーショナルに歌った永田作詞作曲の「ウサギもカメも」など6曲が収録された本作は、前作以上に2人の個性の違いが明確に示された作品となった。
今回ナタリーでは、永田と滝田にインタビューを実施。メジャーデビュー以降の意識の変化、本作「LIFE IS FANTASY」の制作プロセスとそこから改めて見えてきた2人の関係性などについて聞いた。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 佐藤類
大きい会場でも「しっかりつかめてる」という感覚はあった
──メジャーデビューから約5カ月が経ちましたが、状況の変化をどんなふうに感じてますか?
滝田 とにかくアッという間でしたね。リリース以降はキャンペーンなどで全国を回らせてもらって、夏はフェスに出て、その間にレコーディングも始まって。毎日、目の前にあることを全力でやって、気付いたら11月になってました。
永田 早かったですね。「まだ半年しか経ってないんだ?」という感じです。
──今年の夏は「NUMBER SHOT 2015」をはじめとする大型フェスにも出演しました。それも新しい体験ですよね?
滝田 目の前に広がるたくさんのオーディエンスを見て「ホントに現実なのかな? CGじゃないの?」みたいな感じでしたね、最初は。もちろん現実だったんですけど(笑)。
永田 ハハハハハ(笑)。
滝田 緊張もありましたね。こっちは2人でステージに出て、お客さんは何千倍もいるわけじゃないですか。「1人ひとりにちゃんと届いてるのかな?」とも思ったし……。
──サンドクロックのスタイルとしては、しっかりと歌を届けることが大事ですからね。
滝田 そうですね。ライブハウスだったらお客さんとの距離も近いし、1人ひとりの顔も見えるので、歌が届いてるかどうかすぐにわかるんですけど、大きいフェスになると後ろのほうの人の顔はわからないし、そのぶん、もっともっとエネルギーが必要だなって。そこはがんばらないといけないなって思いましたね。
永田 まあ、大きい会場であっても「しっかりつかめてる」という感覚はありましたけどね。僕はあんまり緊張しないというか、1万人くらいのお客さんの前でも「どうも!」くらいの感じで出ていけるので。それは周りのスタッフの方にも褒められました(笑)。いい意味で力んでないというか。
滝田 気張ってない感じでね。
「ちゃんとやらないと」っていう固定観念はよくないと思う
──そこにも2人の違いが出てますね。制作も今まで通り、まずは1人ずつ曲を書くところから始めたんでしょうか?
滝田 はい、そこはまったく変わらず。アルバムのテーマを決めて「こういう曲を集めよう」とかではなくて、それぞれがやりたいことを勝手にやって、それをみんなで聴きながら「これはいいね」という感じでバランスよく入れていく感じなので。
──自然とその時期のモードが出てきそうですね。
永田 そうですね。2人とも実体験とか自分が感じたことを膨らませて曲にすることが多いんですよ。どっちも自分の中から引っ張り出してくるタイプというか。最近はずっと同じものを見ていて、同じような経験をしているから、曲を作っても「1人は社会に中指を立てるような曲ばかりで、もう1人は肩を組んで楽しくやろうという曲が多い」みたいな分かれ方はしないんですよね。
──なるほど。「どんな曲を書いてる?」みたいな打ち合わせもしないんですか?
滝田 しないですね。
永田 スタッフさんと同じタイミングでお互いの曲を聴きます(笑)。
滝田 以前は曲出しをする前に、まず2人で聴いたりしてたんですけどね。
永田 それもやらなくなったね(笑)。
滝田 2人だけで聴いて「これはよくないよ」ってモメるよりも、まずは作った曲を全部聴いてもらって、みんなで判断したほうがいいなって。自分たちが「そんなによくない」と思ってる曲の中にも、周りの人が「いい」って言う曲があるかもしれないし。
永田 「今回はこの曲が残るだろうな」というのはわかりますけどね。
滝田 永田の曲はわかりやすいんですよ。「これは力が入ってる」「こっちは適当に作ったな」というのがハッキリしてるので。力を入れてない曲は、みんなも半笑いで聴いてるんで。
永田 (笑)。僕は曲を作るのが遅くて、滝田の3分の1くらいのスピードなんです。1曲にガーッと力を入れると、時間が足りなくなってしまうんですよね。
──力を入れてなくても、いい反応が返ってくる曲もありそうですけどね。
永田 “盆栽”(インディーズ時代のミニアルバム「LOG」に収録された「80歳になったら盆栽を極める」)はそうですね。サッと書いたんですけど、みんなも「いい」って言ってくれて。マグレです(笑)。
滝田 永田はけっこう適当に歌詞を乗せられるタイプなんですよね。僕はそれが恥ずかしくてできないので……。
永田 失礼やな。俺も適当にやってるわけじゃないけど(笑)。
滝田 (笑)。でも、それはいいところだと思うんですよね。僕は「人に聴かせるんだから、ちゃんとやらないと」っていう固定観念があって、それはよくないと思ってるので。
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収録曲
- 君はファンタジー
- あの娘は今日もホントB型
- コバルトブルーの空の下
- ドラセナ -Dying and rising
- Blue!
- ウサギもカメも
ライブ情報
- サンドクロック Release One-Man Live「LIFE IS FANTASY」
- 2015年12月10日(木)東京都 渋谷duo MUSIC EXCHANGE
- 2015年12月11日(金)大阪府 Janusdining
- 2015年12月13日(日)福岡県 Gate's 7 (※ソールドアウト)
- サンドクロック Special LUNCH Live
- 2015年12月13日(日)福岡県 Gate's 7
OPEN 14:00 / START 14:30
- サンドクロック「LIFE IS FANTSY」リリースイベント
- 2015年11月7日(土)
神奈川県 湘南T-SITE 蔦屋書店 1号館2階 湘南ラウンジ
START 13:00 - 2015年11月8日(日)
東京都 タワーレコード渋谷店4F イベントスペース
START 18:00 - 2015年11月14日(土)
愛知県 イオンモール木曽川 1F ノースコート
START 13:00 - 2015年11月14日(土)
愛知県 タワーレコード名古屋近鉄パッセ店 店内イベントスペース
START 17:00 - 2015年11月15日(日)
兵庫県 HMV三宮VIVRE 店内イベントスペース
START 13:00 - 2015年11月15日(日)
兵庫県 イオンモール伊丹昆陽 1F 緑の広場
START 16:30 - 2015年11月23日(月・祝)
宮城県 タワーレコード仙台パルコ店 店内イベントスペース
START 16:00 - 2015年11月29日(日)
福岡県 タワーレコード福岡パルコ店 店内イベントスペース
START 12:00 - 2015年11月29日(日)
福岡県 キャナルシティ博多店 店内イベントスペース
START 16:00
サンドクロック
それぞれソロのシンガーソングライターとして活動していた滝田周(Vo, Key)と永田佳之(Vo, G)が、ライブで共演したことをきっかけに2011年5月に結成したアコースティックデュオ。「ひっくり返すたびに入れ代わり、混ざり合う砂時計」というユニット名の由来の通り、音楽的なルーツもアーティストとしてのタイプもまったく違う2人が互いの個性をぶつけあっている。2012年に島村楽器主催の音楽コンテスト「HOTLINE2012」で全国グランプリを獲得。当初は神奈川・伊勢佐木町でストリートライブを中心に活動していたが、2013年5月よりメインの活動場所を都内のライブハウスにチェンジする。2014年12月に初の全国流通作品「LOG」を発表。2015年6月にメジャーデビュー作となるミニアルバム「EPOCH」、11月に2枚目のミニアルバム「LIFE IS FANTASY」をリリースした。