新潟を拠点に活動するアイドルグループ・RYUTistが5月15日にニューシングル「青空シグナル」を発表した。表題曲を手がけたのは、今回が初タッグとなるTWEEDEES。清浦夏実(Vo)が作詞を、沖井礼二(B)が作編曲を担当し、これまでのRYUTistにはなかったスピード感あふれる楽曲を作り出した。また清浦はインドネシアのポップバンド・Ikkubaruが提供したカップリング曲「無重力ファンタジア」でも作詞を手がけている。
音楽ナタリーでは今作の発売を記念して、RYUTistとTWEEDEESによる初対談をセッティング。楽曲制作時のエピソードから人生相談まで広く語り合ってもらった。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 曽我美芽
RYUTistの歌声はうまくアレンジされたオーケストラ
──清浦さんは今日がRYUTistの皆さんと初対面だとか。
清浦夏実(TWEEDEES) はい。アイドルの方とお会いする機会はめったにないので、新鮮です。まぶしい(笑)。
沖井礼二(TWEEDEES) 僕はレコーディングのときにお会いして。3月だったかな。お話をもらってから皆さんの動向はTwitterなどで確認していたんですよ。
佐藤乃々子(RYUTist) チェックしてくださってたんですか? うれしいです。
沖井 SNSなどでチェックしてたんだけど、情報解禁までは匂わせてもいけないからフォローもできなくて。やっとおおっぴらに言えるようになってうれしいです(笑)。
──RYUTistとTWEEDEESは、つながり的にも音楽的にもそれほど遠くない関係ではあると思うんですけど、組み合わせとしては意外だったし、音を聴いたときもやはり意外でした。ここまでビートが強くて速い曲は今までなかったと思いますが、RYUTistの皆さんは「青空シグナル」を初めて耳にしたときどう思いましたか?
宇野友恵(RYUTist) すごくカッコいい曲で、本当に私たちが歌っていいのかなって思いました。
横山実郁(RYUTist) イントロを聴いた瞬間に「おおおっ!」って。
佐藤 清浦さんに仮歌を歌っていただいているのがぜいたくで、このままTWEEDEESさんの曲として出していただいたほうがいいんじゃないかと思いました(笑)。自分たちで歌うのが最初は想像できなかったです。
沖井 TWEEDEESの2人で作ってはいるものの、RYUTistが歌うことを考えて作ったので、清浦の仮歌を録るときは「(RYUTistに)寄せてね」と伝えたんだけど、作曲者としてはどうしても「違うなあ」と思うんですよ。なのでレコーディングで4人の歌声を録って、ようやく魂が入ったと言うか。
──沖井さんは4人の歌声にどういう印象を持ちましたか?
沖井 4人とも歌が上手なんだけど、それぞれ声のキャラが違っていて。それが混ざったとき、周波数的にそれぞれが補われた状態にあるんですよ。うまくアレンジされたオーケストラみたいな。本人たちがどのぐらい意識しているのかわからないけど、それがすごいなと思いました。
──そのあたりのバランスは皆さん考えてるんですか?
五十嵐夢羽(RYUTist) みんなそれぞれに歌っているので、特に意識していないです。
沖井 歌のパート分けは僕は一切タッチしなかったんですけど、RYUTistはメンバーでどこを歌うか話し合って決めるんですよね。つまり、誰がどんな声でどんなメロディに合ってるか、意識するまでもなく把握していると思うんです。今この人たち嘘ついてますよ(笑)。
宇野 いやいやいや(笑)。
高いハードル
──RYUTistの皆さんにとっては、やはり「青空シグナル」は今までと違う、新しい要素に挑戦するような思いがあるのでしょうか。
佐藤 今までのRYUTistになかった曲調だし、リズムを取るのがすごく難しいです。
清浦 うんうん。沖井さんの曲はリズムを取るのが難しいんです、本当に……。
佐藤 あははは(笑)。そこが挑戦ではあるんですけど、みんなでバッチリ歌えるようになったら、RYUTistも一歩ステップアップできると思うんです。
沖井 「柳都芸妓」(2017年8月にリリースされたRYUTistの最新アルバム)は、実はリリース前にとある方から「沖井くん、これ本当にヤバいから聴いてみてよ」と聴かせていただいたんですけど、楽曲のクオリティもさることながら、それ以上に4人の歌のうまさにびっくりしたんです。そもそもうまくなきゃあんな曲は歌えない。そのあと、今回のお話をいただいたときは「この人たちになら手加減なしに書けるな」とまず思いました。難しいとおっしゃいますけど、あなたたちが難しくさせたんですから(笑)。
清浦 これまでの楽曲のクオリティがあったからこそ投げられた球だと思う。
沖井 うん。だから最初は僕、少し尻込みしてたんですよ(笑)。これだけの楽曲がそろっている人たちだから「今回のシングルしょぼかったな」って言われたらどうしようって。
清浦 高いハードルでしたよね。我々にとっても。
沖井 手加減なしと言ったけど、そうでもしないと勝てないんですよ。
清浦 私はレコーディングに立ち会えなかったから、あとで沖井さんに「どうでした」って聞いたら「いやあ、音楽的な現場だったんだよ」って。それが第一声でした。
沖井 スタッフの皆さんの音楽に対する取り組み方も素晴らしいし、あなた方もそうだから、こちらも信用してズバッといけるところがあって。コーラス録りとか、あの大変な数をがんばってくれたでしょ。あれをやらせてくれるのは、現場の皆さんとメンバーの音楽への真面目な向き合い方があるからこそなんですよ。
──手加減なしに作った結果“100%沖井節”と言える楽曲になっていますけど、沖井節にも数パターンありますよね。RYUTistの音楽性から考えて、もう少しテンポを落としたシャッフルビートの沖井節を想像していたので「えっ、こっち!?」という驚きが正直ありました。
沖井 最初にプロデューサーさんとお話したとき、僕ももう少し遅めの雅な感じをイメージしていたんだけれども「いや、速いほうで」とおっしゃって(笑)。でも今回一緒にスタジオに入ったことで皆さんの特徴がわかったので「あ、だったらこれもできる、あれもできる」と別パターンの妄想が今はもう頭の中にモヤモヤしているところ。
RYUTist えー!
──早くも次の楽曲の構想が。
清浦 私も同じように意外だったんですよ。RYUTistの清らかで奥ゆかしくて雅な感じと、この若者の焦燥感みたいな感じが結びつかなくて(笑)。この焦燥感はRYUTistのイメージと真逆にあるような気がしたから、歌詞ではそれを結び付けるよう調整しました。王道の青春ソングにしようと。
──清浦さんはさらにIkkubaruが書き下ろしたカップリング曲「無重力ファンタジア」でも作詞を手がけています。
清浦 「青空シグナル」は苦労したんですけど、「無重力ファンタジア」はそれを踏まえての作詞だったので、書き上げるのはすごく早かったです。「青空シグナル」があったからこそ別のアプローチができたんですよ。
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ゆらゆらする乙女心を柳に込めて
- RYUTist「青空シグナル」
- 2018年5月15日発売 / PENGUIN DISC
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[CD] 1080円
PGDC-0007
- 収録曲
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- 青空シグナル[作詞:清浦夏実 / 作・編曲:沖井礼二]
- 無重力ファンタジア[作詞:清浦夏実 / 作・編曲:ikkubaru]
- 青空シグナル(Minus RYUTist)
- 無重力ファンタジア(Minus RYUTist)
- RYUTist HOME LIVE
~7th Anniversary Live~ -
- 2018年8月18日(土)新潟県 NIIGATA LOTS
- RYUTist(リューティスト)
- 新潟県新潟市在住の佐藤乃々子、宇野友恵、五十嵐夢羽、横山実郁からなる4人組アイドルグループ。2011年5月の結成以来、新潟を拠点に精力的な活動を行っている。結成当初は5人で活動していたが、2012年11月に木村優里が卒業。2016年4月には大石若奈の卒業を受け、それまでソロで活動していた横山が加入し、現在の4人体制となった。2012年4月にデビューシングル「RYUTist! ~新しいHOME~」を発表。以降も自主レーベルよりコンスタントに作品を発表し、2015年8月には1stアルバム「RYUTist HOME LIVE」、2016年8月には2ndアルバム「日本海夕日ライン」をリリースした。2017年8月にタワーレコード内のレーベル・PENGUIN DISCより3rdアルバム「柳都芸妓」を発売。2018年1月にはPENGUIN DISCのレーベルメイトであるハコイリ♡ムスメとのコラボユニット・柳♡箱として、シングル「ともだち」を発表した。同年5月にはニューシングル「青空シグナル」をリリース。8月には地元新潟のライブハウス・NIIGATA LOTSで結成7周年を記念したワンマンライブ「RYUTist HOME LIVE ~7th Anniversary Live~」を行う。
- TWEEDEES(トゥイーディーズ)
- シンガー清浦夏実と作曲家・音楽プロデューサー沖井礼二によるバンド。2015年1月にバンド結成を発表し、同時にオリジナル楽曲「KLING! KLANG!!」を配信限定シングルとしてリリースした。同年2月には東京・Future SEVENにて初ライブ「TWEEDEES Premium Show」を行い、3月に1stアルバム「The Sound Sounds.」を発表。その後は自主企画イベントや音楽フェスなどへの出演を重ねる。11月には初のシングル「Winter's Day e.p.」をアナログ7inchで発表。同時に1stアルバム「The Sound Sounds.」のアナログ盤も発売された。2016年7月に2ndアルバム「The Second Time Around」、2017年6月にミニアルバム「a la mode」をリリース。沖井は作・編曲、清浦は作詞で、RYUTistや星野みちる、尾崎由香といった外部アーティストへの楽曲提供も積極的に行っている。