「RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2017」特集|Red Bull Studios Tokyo訪問から紐解く レッドブルと音楽カルチャーの密接な関係

レッドブルとユースカルチャー

レッドブルでは若いアーティストを支援する音楽学校「Red Bull Music Academy」を展開している。これは1998年のドイツ・ベルリンで初開催して以来、20年にわたって各国で行われている、レッドブルにとっては音楽プロジェクトの元祖と呼べるイベントだ。「『レッドブルと言えばスポーツ』というイメージを持たれている方が多いかもしれませんが、そもそもスポーツ、音楽というジャンルできっぱり棲み分けているわけじゃないんです。レッドブルが目的としているのは、スケートボードやDJカルチャーといったさまざまなユースカルチャーに溶け込んで、そのシーンの成長と一緒にブランドを成長させるということ。『誰も手を出さないところだからこそやってみたい』、そんな精神が根付いているんです」と立川氏は語る。

その考えは、約1カ月にわたり東京各所を賑わせてきたイベント「RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2017」においても変わらない。「単純に集客だけを目標にするのではなく、我々がシンパシーを感じるアーティストと一緒にひねりを効かせたライブやワークショップをやってみる。一見冗談のようなことでも、本気で取り組む姿勢と言うか……そこから生まれてくるものがレッドブルらしさなんだと思います。このスタジオもそうですが、やるならとことんやる。その取り組み方がハンパじゃないんです」。

「RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2017」開催期間中、東京・渋谷では大きな街頭広告が街を行き交う人々の目を奪った。

新たな音楽の楽しみ方を発見する

立川氏はさらにこう続ける。「『RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2017』は結果的に、とてもバランスの取れたイベントになったと思います。レッドブルらしいコアなライブから、これまで挑戦してこなかったマスに向けたポップな取り組みまで幅広くラインナップできたことで、僕たち自身も新たな音楽の楽しみ方を発見できました。特に東京・ベルサール渋谷ガーデンで行ったライブイベント「SOUND JUNCTION 渋谷音楽交差点」については、音楽ジャンルやカルチャー、世代をもミックスさせるというコンセプトがうまく形になったなと思います(参照:KICK、水カン、ヤスタカ、Nulbarichの熱演交差した「SOUND JUNCTION」に加山雄三も)」。

「SOUND JUNCTION 渋谷音楽交差点」より、加山雄三とコムアイ(水曜日のカンパネラ)。(Photo by Yusuke Kashiwazaki/Red Bull Content Pool)

これからのレッドブル、これからの音楽カルチャー

では、レッドブルと音楽カルチャーの関係はこれからどんな方向へと進んでいくのか? 立川氏からはこんな答えが返ってきた。「ブランドの規模も大きくなってきたことで、レッドブルが取り上げる音楽ジャンルの幅も広がってきました。そして今回、日本ではついに国内の音楽だけにフォーカスしたイベントを初開催することができた。『RED BULL MUSIC FESTIVAL』は来年以降も続いていきますし、世界各国にもこの動きが広がっていく予定です。今後も音楽カルチャーの中でレッドブルの存在感をさらに高められるように、さまざまな企画を考えていきます。やれるかどうかよりも、『面白そうだから』という理由で夢のような企画が実現することもありますから」。

レッドブルが取り組んできた主な音楽イベント

近年レッドブルが取り組んできたイベントの中から、特に印象深かったものを立川氏に紹介してもらった。

2014年「Red Bull Music Academy Tokyo」

レッドブルの音楽プロジェクトの原点であり、Red Bull Studios Tokyoが生まれたきっかけでもあるイベントです。開催期間中は東京・渋谷のスクランブル交差点に現れた街頭広告も大きな反響を呼びました。イベントの一環として新宿のカラオケ館を貸し切って行われたイベント「ロスト・イン・カラオケ」は、海外チームが「映画『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年公開、ソフィア・コッポラ監督)のカラオケシーンを再現したい」と冗談半分に提案した企画が実現したもの。このイベントは好評を博し、2年連続での開催となりました。

2015年に行われた「ロスト・イン・カラオケ」の様子。(Photo by Yukitaka Amemiya/Red Bull Content Pool)

2015年「Ryuichi Sakamoto × Wing Shya Photo Exhibition」

坂本龍一さんが手がけた映画「母と暮らせば」の劇伴の作曲はRed Bull Studios Tokyoで行われました。レコーディング中、我々は香港の写真家ウィン・シャに作曲風景を記録してもらうことに。制作後には坂本さんご本人が使用したピアノを置いて、レコーディング時とほぼ同じ状況を再現したスタジオで写真展を開催しました。また2017年には同スタジオにて、Hi-STANDARDのレコーディング現場を追ったドキュメンタリー写真展を行いました。

「Ryuichi Sakamoto × Wing Shya Photo Exhibition」ビジュアル

2015年 「Red Bull 3Style World Final」

DJの世界大会イベント「Red Bull 3Style」の世界決勝の舞台となったのは東京。東京都内のクラブで毎日DJバトルが繰り広げられました。またこの期間、DJキューバートによるInvisibl Skratch PiklzがRed Bull Studios Tokyoを訪れ音源を制作していきました。翌年2016年はブレイクダンスの世界大会「Red Bull BC One」のワールドファイナルも日本で開催されるなど、ここ数年は国内で大きなイベントが続いています。

DJ SHINTARO(Photo by Jason Halayko/Red Bull Content Pool)

2017年 「Red Bull TV "Live Music Festivals"」

近年レッドブルが力を入れて取り組んでいるのがインターネットテレビ局の「Red Bull TV」です。今年はアメリカの音楽フェス「Lollapalooza 2017」やイギリスで開催されたGorillaz主催のフェスティバル「Damon Dayz Festival」など、世界各国の8つの音楽フェスティバルの生配信を行いました。いずれは日本のフェスの配信も行いたいですね。

「Lollapalooza 2017」の様子。(Photo by Jeremy Deputat/Red Bull Content Pool)
RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2017

2017年10月22日(日)~11月17日(金)