ジブリ作品の音楽はすごく重要な役割

──プリシラさんはライブでジブリの主題歌を日本語で歌うほどジブリ好きを公言しています。また村松さんもジブリのカバー曲を多数収録したアルバム「brew」をリリースしているのですが、そもそもお2人が最初に観たジブリ作品はなんだったのでしょうか？

プリシラ　私は「ハウルの動く城」です。もともとアニメ映画は好きだったんですけど、今まで観たものとはまったく違うというか、ビジュアル的にも“マジカル”なストーリーも、あともちろん音楽も含めて大好きになりました。

村松　僕は小学校5、6年の頃に「となりのトトロ」を観て、そこからジブリ作品を追いかけるようになったんです。プリシラと違って、僕はアニメをあんまり観ない子供で。「ドラえもん」だけは観てましたが（笑）。

──当時から楽器に夢中な少年時代だったのでしょうか？

村松　確かに当時からピアノをやっていましたね。アニメだけじゃなくてマンガもあまり読まない、ちょっと変わった子供だったのかな。そんな僕でもトトロはすごく共感を得て。そこからいろんなジブリ作品を観るようになったんです。

──ということはジブリファン歴は相当長いですね。

村松　そうですね。25年近いかもしれません（笑）。

──先ほどプリシラさんは「映画の主題歌を歌えて夢が叶った」とおっしゃってましたが、お2人が仕事としてジブリの音楽を意識し始めたきっかけはいつでしょうか？

プリシラ　ライブでのカバーは大好きだったのでただ楽しくてやっていたんですけど、叶わなかったら切なくなってしまうから、仕事にしたいとか夢として掲げないようにしていたんです。

──今回主題歌のお話をいただいてどうでしたか？

プリシラ　依頼のメールをもらったときは、予想もしたことのないことだったので本当にビックリして。近くにいた夫に「何か悪いことでもあったの？」と心配されるくらいでした。

──村松さんはこれまでにいろいろな映画の音楽を手がけていますが、ジブリの作品は意識していましたか？

村松　ジブリの映画音楽って映像と一体化していて、すごく音楽が重要な役割をしていると思っていたんです。いつかこういう作品に自分も映画音楽家として携われたらな、と思ってこれまでやってました。

──村松さんの手がける劇伴は実写のドラマや映画が多くて、アニメはあまりないですよね。

村松　そうですね。お話をいただいたことはあったんですけど、やっぱり僕が少年時代からアニメを観ていなかったからか、なかなか踏み出せなくて。でも僕、ジブリの作品はアニメ作品だと思ってないんですよ。もう別枠にあるというか、カテゴリとして違うところにあって。それでやってみたいなって思ってました。

音の世界も一緒に楽しんでもらいたい

──最後に映画「思い出のマーニー」の見どころを教えてください。

プリシラ　ぜひ本当に多くの方に観ていただきたい映画です。きっと12歳の少女だけでなく、大人の皆さんもみんなが共感できるはずだから。人間なら誰でも1人きりになった気持ちになって、迷うことってあると思うんです。監督がおっしゃってたようにこの映画が皆さんの友達になってくれればいいなって思います。

村松　映画の原作はイギリスの児童文学なんですが、米林監督が手がけたことによって、すごく現代に生きてる子どもたちに響く映画になったと思います。核家族で、両親が共働きだったりして孤独に生きているお子さんって、すごくたくさん日本にいると思うんです。それから、監督が描く世界っていうのは感性が本当に繊細で。もう冒頭から終わりまで、描かれている絵も世界も素晴らしいので、その辺をぜひ観ていただければと思います。プリシラが作った音の世界もすごく繊細だし、僕も各シーンの音楽をがんばって作っているので、そういう音の世界も一緒に楽しんでもらいたいですね。