ポタリ|今も昔もずっと前向き“元気が出るロックバンド”

全員参加で広がった曲作りの可能性

──個性の異なる4人ですが、それぞれはソングライティングにどう関わっているんでしょう?

奈津美 誰かが持ってきた曲の種を各自がアレンジしたフレーズで広げるとか、バンドとしての基本的な作り方があったんですけど、今はごちゃごちゃになってきてますね。各曲のクレジット通り、ポタリとして4人一緒になって作り上げているというか。

内田愛子(B)

愛子 そうだね。ポタリになったばかりの頃は、ナツが持ってきたメロディにエミがコードを付けるという作り方が基本だったけど、今ではエミがメロディを作ることもあるし、私やナスカワが歌詞や曲を書くこともあります。リリースやライブを重ねていく中で自然とそういうスタイルになっていったんだけど、今回の「ポタリの3」ではそれがより顕著になったような気がします。

詠美 全員が曲を作っているところは明らかに過去のポタリとは違うところですね。あと作り方に関しても、パソコンを使えるようになったのは大きいなって。

愛子 スタジオに入る前にイメージを確認できるからね。

──プリプロ作業をパソコンで行えるようになったってことですか?

奈津美 そうです。それによって曲の振り幅が今まで以上に広がったと思うんですよね。パソコン上でイメージしていても、実際にスタジオで演奏してみるとまた違ったノリが生まれて、それが新鮮に感じられるんです。

詠美 逆にスタジオでイチから作る楽しさを改めて感じることもできるし。両方できるようになったからこその面白みを感じながら今回は制作できたんじゃないかなって。

アルバムのテーマはずばり“生活”

──新作「ポタリの3」はポタリらしいとっつきやすいカラフルさはそのままに、バンドとしての格段の進化を感じさせてくれる仕上がりだなと感じました。聞いたところによると、かなりタイトなスケジュールで制作されたそうですが。

奈津美 2018年8月の頭から初めて、10月末に録り終わったから3カ月くらいですね。今回はシングル曲が1曲だけしかなかったので、ほかの11曲を新たに作ったという意味では、かなりギュっとした制作だったと思います。

茄子川 作り方としては1曲1曲に集中して向き合っていく感じだったんですけど、その中でポタリが日頃思っていることを曲にしていけたらいいよねという話になって。それがアルバム全体の方向性になっていきました。

奈津美 そう。今回のアルバムのテーマは“生活”なんです。メンバーそれぞれが日常の中で思ったことを歌詞に落とし込んでいるので、聴いてくれる人の生活に滑り込んで、日常的に聴いてもらえるものになったんじゃないかなって思います。

──アルバムのオープニングを飾るのはリード曲の「途切れた呼吸」。悩みや迷いを抱えるすべての人のテーマソングになり得る曲だなと思いました。

奈津美 ああ、うれしいです! 歌詞は私が書きました。自分がちょっと悩んで立ち止まってしまうときって、過去をうらやましく思ってしまいがちなんです。でも過去を振り返ったところで、結局はそれ以上の自分は出てこないわけで。だったら自分が歩んできた過去もひっくるめて未来に向かって歩き出す決意をしたほうがいいんじゃないかなって。世の中にはきっと同じような気持ちの人がいるはずなので、この曲を歌うことで一緒に前を向けたらいいなと思って書きました。

愛子 私はこの曲のレコーディングが今までで一番楽しかったんですよ。ドラムと一緒に録ったんですけど、いつもならライブで初めて知るような感覚……例えば「今、ドカンと来たな」「今、呼吸がバッチリ合ったな」みたいなことをスタジオで感じることができました。

茄子川 タイトなスケジュールの中、この曲は練習も時間をかけてキッチリできたしね。ほかの曲ももちろん自信のある仕上がりではあるんですけど、この曲はいつにも増してしっかり満足いくレコーディングができたと思います。

──エミさんはどうでした?

中西詠美(G)

詠美 ポタリはギターが1本のバンドなので、今までは音源であっても音を重ねすぎるのがあまり好きじゃなかったんです。でもこの曲はギターを派手にしたいイメージがあったから、一緒にアレンジをしてくれた江口亮(la la larks)さんとフレーズを出し合って、それを弾きまくったんです。全精力を使い切る感じで(笑)。この曲が象徴的ですけど、今回のアルバムではCDをCDだと割り切ったレコーディングをした曲が多いんですよね。

──つまりライブでの再現性に縛られないクリエイトができたと。

茄子川 そう。言ったら12曲目の「遠い君」もそうですし。この曲ではドラムとベースは何もせず、その代わりにピアノが入っているんですよ。今までやってこなかったアレンジだけど、アイデアが出たときにみんなで「いいじゃん!」と素直に言える楽曲になりました。結果的にすごくいい仕上がりになったし。

愛子 今まで以上に、枠にとらわれずに曲を作れたんだと思いますね。今回、「あじさい」とか「永遠」とか「遠い君」とか、ミディアムテンポの曲で全体の流れにアクセントを付けるアレンジもがんばったかも。今まではテンポを落とすと全部似通った曲になっちゃいそうだったので、けっこう苦手だったんですけど。

奈津美 「あじさい」はアイコが持ってきてくれた曲で。今までにない雰囲気で、すごくいいんですよ。

愛子 全体のバランスを考えてとか、バンドに貢献するようなことは一切考えてなかったんだけどね。自分が作りたいものを作っただけだから(笑)。

──「永遠」もすごく素敵な曲ですよね。幸せなラブバラードです。

奈津美 私は幸せな歌詞を書くのがとにかく苦手なんですけど、この曲では深い愛をどうしても書きたくて。でも、恋愛を想像して書いた歌詞に対してメンバーから何度もダメ出しをくらったので、最終的には一番そばにいるメンバーのことを思いながら書いたんです。そうしたら意外とスーッといいものが書けたっていう。

愛子 うん。前作の「ポタリの2」(2018年1月発表の2ndアルバム)では、バンドをこれからもずっと続けていくという私たちの決意をしっかり提示できたと思っています。そのうえで今回はナツがメンバーのことを思って「永遠」の歌詞を書いてくれたことが私はすごくうれしかったんですよね。

茄子川(Dr)

茄子川 結果的にラブソングでなくなったっていうことなんだけどね(笑)。

奈津美 確かにそうなっちゃうか。じゃ大きな愛のバラードってことにします(笑)。愛について書きました!

──あと5曲目に収録されているロックチューン「限りなく赤」。めちゃくちゃカッコよかったです。

詠美 「限りなく赤」はアルバムの中で一番尺が短くて、一番テンポが速いんです。レコーディングでは勢いのままにできれば一発で録りたいなと思い、実際に一発で録り切りました。それがすごく気持ちよかった(笑)。

奈津美 「一発録りやったった!」みたいな充実感があったね。アルバムの中ではライブが一番想像できる曲だと思います。

ライブに向けて作った楽曲の披露に期待

──本作の楽曲が果たしてライブでどう再現されていくのかが気になるところですが、2月15日にはツアーがスタートします。ツアー前半は対バン編となっていますね。

鈴木奈津美(Vo)

奈津美 ポタリは長い活動期間の中で、どんな場所に行っても、どんな人たちの中に放り込まれても常に本気で戦ってきたんですよ。その中で仲間になってくれた、それこそジャンルを問わないいろんな方々と今回また一緒にライブできる。それがとにかくうれしいです。

──そして3月には東名阪でのワンマン編もあります。

愛子 アルバムの収録曲はライブで演奏したくて作った曲たちなんです。だからそれをどう再現していくのかも含め、楽しみでしかないです。

詠美 ポタリはこれだけ本気なんだぜってところを音でしっかり伝えていけたらいいなって思ってます!

茄子川 いつも来てくれている人はもちろん、初めて観に来てくれた人たちにも「すげえ楽しいじゃん!」と思ってもらいたいです。1本1本のライブで力を出し切る覚悟で臨むので、必然的にいいライブになると思ってます(笑)。

ポタリ
ポタリ「ポタリの3」
2019年2月6日発売 / TREASURISE RECORDS
ポタリ「ポタリの3」

[CD] 2500円
TRISE-0031

Amazon.co.jp

収録曲
  1. 途切れた呼吸
  2. bestie
  3. それでも
  4. あじさい
  5. 限りなく赤
  6. 君のままで
  7. MONSTER(Album ver.)
  8. ランダムウォーク
  9. 永遠
  10. サタデーナイト
  11. LIFE
  12. 遠い君

ツアー情報

ポタリ「ポタリing TOUR 2019 ~あなたのbestie“参”上!~」
  • 2019年2月15日(金) 神奈川県 横浜BAYSIS
    <出演者> ポタリ / littleneem
  • 2019年2月17日(日) 富山県 Soul Power
    <出演者> ポタリ / マチカドラマ / シルエ / the cells / HORIZIC / ある生き物の記録
  • 2019年2月23日(土) 福島県 LIVE STAGE PEAK ACTION
    <出演者> ポタリ / TENDER TEMPER / THE GREENBACK / Holograph / Chronograph / チロル / ポピ(オープニングアクト)
  • 2019年2月24日(日) 宮城県 FLYING SON
    <出演者> ポタリ / QoN / A11yourDays / ヨワノツキ / aurelia / BruteRocks
  • 2019年2月25日(月) 新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
    <出演者> ポタリ / QoN / A11yourDays / useless human being / Sound Sleep / Monstera
  • 2019年3月3日(日) 静岡県 Shizuoka UMBER
    <出演者> ポタリ / リアクション ザ ブッタ / unblock / Bray me
  • 2019年3月5日(火) 広島県 広島セカンド・クラッチ
    <出演者> ポタリ / ゆるふわリムーブ / The ラストボーイズ / Alia / RAIL(E)RUSH
  • 2019年3月6日(水) 福岡県 Queblick
    <出演者> ポタリ / 彼女 IN THE DISPLAY / ZOO THE ANNUAL PASSPORT / ミズニウキクサ / みきなつみ
  • 2019年3月7日(木) 山口県 LIVE rise SHUNAN
    <出演者> ポタリ / EARNIE FROGs / THREE OUT / こえだ / ZOO THE ANNUAL PASSPORT
ポタリ東名阪ワンマンツアー2019
  • 2019年3月16日(土)東京都 TSUTAYA O-Crest
  • 2019年3月23日(土)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
  • 2019年3月30日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
ポタリ
ポタリ
愛知県を拠点とするガールズロックバンド。2007年に結成され、数回のメンバーチェンジを経て、2012年以降は鈴木奈津美(Vo)、中西詠美(G)、内田愛子(B)、茄子川(Dr)の4人で活動している。明るくキャッチーなメロディと、女子の共感を生むリアルで日常的な歌詞、元気でフレンドリーなメンバーのキャラクターが持ち味。2012年にサンデーフォークプロモーションによる東海地区限定オーディション「TANK! the AUDITION」で優勝したほか、2016年にはJ:COM主催の「MUSIC GOLD RUSHコンテスト」でグランプリを獲得するなど、着実に知名度を上げていく。2019年2月に3rdフルアルバム「ポタリの3」をリリース。同月より対バンツアー「ポタリing TOUR 2019 ~あなたのbestie“参”上!」を行い、3月には東名阪ワンマンツアーを開催する。