ナタリー PowerPush - May'n×kz(livetune)
相思相愛コラボの裏側+アルバム解説
チャレンジの多い2013年を経て「NEW WORLD」へ
──ここからはMay'nさんにアルバム「NEW WORLD」についてお聞きします。オリジナルアルバムはけっこう久しぶりですよね。
はい。2年ぶりの作品となります。
──とは言えその間、初のワールドツアー(「May'n WORLD TOUR 2012 "ROCK YOUR BEATS"」)やアコースティックツアー(「May'n Acoustic Tour 2013 "Hang jam"」)があったり、CDシングルのみならず配信シングルのリリースもあったりと活発だったから、あまり間が空いた印象はないですね。
自分の作品を届けるのはシングルアルバム問わずうれしいことなので、「やっとアルバムだー」みたいな気持ちは実はそんなになかったんです。でもライブのMCでニューアルバムを出すことを報告したら、そのときの反応がすごくて! その後も「アルバム待ってました!」という声をいっぱいいただきました。
──期待が高まったところに「NEW WORLD」ですからね(笑)。期待せざるを得ないというか。どういうアルバムにしようという構想はすぐに浮かびましたか?
まずは2年ぶりということで、これまでに起こった出来事を振り返ってみたんですけど……特に2013年はたくさんのチャレンジをさせていただいた1年だったなという実感があります。日本武道館公演(2013年3月「May'n Special Concert 2013 "MIC-A-MANIA" at 日本武道館」)ではたくさんのコーラスの方、ストリングスの方に入っていただいたり、アコースティックツアーでは逆にシンプルな音に挑戦してみたり。音楽を届ける上で大事なことは何かをすごく考えた1年だったし、ライブを通してチャレンジすることができた1年でした。このアルバムは2014年の最初に出る作品ですし、2013年内に制作する作品ということで「チャレンジ」というテーマがすぐに浮かびました。
──ライブで得るものはやはり大きいんですね。
はい。アルバムは毎回ライブからのインスピレーションで生まれた作品ばかりです。みんなの楽しんでくれている姿を見て「こういうノリをしてくれるということは、こういう楽曲が好きなのかな」とか、あるいは自分の中で「こんなに曲があるけど、こういうタイプの曲はなかったな」って気付いたり。常にライブを妄想しながら制作に挑んでいます。
自分自身が知らない自分にたくさん出会えた
──クレジットを見てまず目を引いたのが、2曲に参加しているJazztronik・野崎良太さんの名前でした。今回が初共演ですよね?
初めてです。私、Jazztronikさんの音楽は中学生の頃から聴いていたので、まさかご一緒できるなんて思ってもいませんでした。
──野崎さんや矢野博康さん、Naoki-Tさんといった新たなクリエイターと組んだ楽曲は、まさにチャレンジというテーマがよく伝わる、新機軸の音楽になりましたね。全体のイメージが見えてから、実際に楽曲として形にするまでの工程は苦労しましたか?
今回は特に苦労しました。2年ぶりということで、すでに皆さんに聴いていただいているシングルなどの既存曲もたくさんありましたし、それぞれがすごくカラーの強い作品だったので、1枚のアルバムとして聴いたときにどうすればうまく混ざり合うのかすごく考えました。アルバムのリード曲になりうる曲がいくつもあるからこそ、録り下ろしの新曲ではけっこう冒険していいのかなと思ったんです。そうしたほうが、いろいろなカラーが揃った印象の強い楽曲たちのバランスを取ってくれるんじゃないかなって。だからこそJazztronikさんにもこのタイミングでお声がけすることができましたし、ここまで新しいクリエイターさんと一緒に作ったアルバムは初めてです。
──まさに「NEW WORLD」。
「NEW WORLD」というタイトル通り、自分自身が知らない自分にたくさん出会えた作品になりましたし、アルバム発売後のライブでも、きっと今までとは違った新たな世界に出会えるんじゃないかと期待しています。
感覚的には2年ぐらい
──新機軸という点では、矢野さんが作詞・作曲・編曲を手がけた「わたしのしるし」はまさに今までになかった、新しいMay'n像だと思います。
本当にそう思います。ここまでポップで切ないナンバーはなかったです。この「わたしのしるし」と「あの日の歌」は、歌詞の面でも今までになかったものでした。私の曲で過去を感じさせるものって今までなかったんですけど、それは過去のことなんて振り返っているヒマはない!っていう私の性格も大きいんです。でもデビュー10周年が近付いた今、過去を振り返る大切さをこの曲たちが教えてくれたような気がします。振り返るタイミングだからこそ、こういう歌詞を矢野さんも真名(杏樹)さんも書いてくださったんだなって。
──May'nさんのように全力で駆け抜けてきた人でも、やはり10周年というのは大きな節目なんですね。
感覚的には2年ぐらいです(笑)。いつまでもフレッシュな気持ちなんですけど……と言っている時点で少し大人になったんだなと思います(笑)。でも本当にあっという間でしたし、まだまだだなあと思うところがほとんどなんですけど、振り返ってみると成長した部分は少しだけど感じることができます。
──「わたしのしるし」の「歪んだ現実にはぐれないように 歌に変えよう それが私のしるし」というフレーズは、歌に賭けて10年突っ走ってきた今のMay'nさんが歌うからこそ響くんだなあと。矢野さんいいこと言うなあと思いました(笑)。
アハハハ(笑)。私が思っていることをなんでこんなにわかっちゃったんだろう、と驚くような歌詞にしてくださいました。たぶん私自身が書いても、ここまで素直になれないと思うんです。こうなりたいと思う自分の思いを素晴らしい形で歌詞にしてくださったので、すごく背中を押されます。
──レコーディングで特に苦労した曲はありますか?
レコーディングに苦労したわけではないのですが、Jazztronikさんの「MOONWALKER」は未知の要素が多い楽曲です。これからライブでどう表現していくのか。みんなで振り付けを合わせて盛り上がるようなライブナンバーを今まで多く作ってきましたが、この曲はもうちょっと大人な、肩でリズムを取る感じというか。私のイメージで言うと、クラブでお酒を飲みながら聴いているみたいなイメージです(笑)。そういう曲にもチャレンジしたかったんです。
──確かにライブでの反応が楽しみです。イントロだけ聴いてもこれがMay'nさんの曲だとは思わないですよね(笑)。
(笑)。いつもと違う感じで楽しんでもらえると思います。
- ニューシングル「今日に恋色」/ 2014年1月29日発売 / FlyingDog
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1890円 / VTZL-74
- 通常盤 [CD] / 1365円 / VTCL-35170
CD収録曲
- 今日に恋色
- Soliste~ソリスト
- Dear YES><NO
初回限定盤DVD収録内容
- 「今日に恋色」Music Video
- ニューアルバム「NEW WORLD」/ 2014年1月29日発売 / FlyingDog
- DVD付き限定盤 / [CD+DVD] / 3570円 / VTZL-75
- ライブCD付き限定盤 / [CD2枚組] / 3360円 / VTZL-76
- 通常盤 [CD] / 3045円 / VTCL-60360
CD収録曲
- Lose My Illusions
- Chase the world
- Mr. Super Future Star
- わたしのしるし
- 決意の朝
- あの日の歌
- IN THE AIR
- Run Real Run
- アオゾラ
- ViViD
- MOONWALKER
- ROCK YOUR BEATS
DVD付き限定盤 DVD収録内容
- 「Lose My Illusions」Music Video
- 「Chase the world」Music Video
- 「Mr.Super Future Star」Music Video
- 「Run Real Run」Music Video
- 「ViViD」Music Video
ライブCD付き限定盤 ライブCD収録内容
LIVE CD~from May’n Hall Tour 2013
「LIVE!CAVE!DIVE!」
- DOLCE
- My Lovely Thing
- Giant Step
- ナンバーワン!
- Brain Diver
May'n(めいん)
1989年10月21日、愛知県名古屋市生まれ。幼い頃から歌手を目指し、中学生のときに「ホリプロタレントスカウトキャラバン」に合格しデビューのきっかけをつかむ。2008年1月1日に本名から「May'n」へと改名し、同年4月より放送されたアニメ「マクロスF」で作中に登場する歌姫シェリル・ノームの歌声を担当。「シェリル・ノーム starring May'n」名義によるシングル「ダイアモンド クレバス / 射手座☆午後九時 Don't be late」が大ヒットを記録した。2010年1月には初となる日本武道館単独コンサートを開催。同年3月には初のアジアツアーを大成功に収めた。2014年1月にはテレビアニメ「いなり、こんこん、恋いろは。」のオープニングテーマとして書き下ろされたニューシングル「今日に恋色」と通算4枚目のフルアルバム「NEW WORLD」を同時リリース。2月からは2015年のデビュー10周年に向け、日本全国47都道府県ツアーを含む世界規模のツアー「May’n Road to 10th Anniversary Japan & World Tour 2014-2015『dots and lines』」が行われる。
livetune(らいぶちゅーん)
音楽プロデューサーのkzによるユニット。2007年9月、ボーカロイド「初音ミク」を使用して制作したオリジナル楽曲「Packaged」を動画サイトに投稿し一躍注目を浴びる。2008年8月にアルバム「Re:package」でデビューしたのち、さまざまなアーティストの楽曲の作詞、作曲、リミックスなどを手がける人気クリエイターとして活動する。2011年12月に「Google Chrome “あなたのウェブを、はじめよう。”キャンペーン」のCMソングとしてlivetune名義の新曲「Tell Your World」を制作。YouTubeで公開されたCM映像は1週間で100万再生回数を超え、大きな話題を集める。2013年3月には初音ミクのボーカロイド楽曲のベストアルバム「Re:Dial」を発表し、同年6月にはFukase(SEKAI NO OWARI)をボーカリストに起用したシングル「Take Your Way」をリリース。2014年3月にはlivetune adding Yuuki Ozaki(from Galileo Galilei)名義によるニューシングル「FLAT」を発表する。