Little Glee Monster|5人が結ぶ絆の物語

Little Glee Monsterのミニアルバム「re-union」がリリースされた。

「re-union」は昨年12月に休養に入った芹奈が復帰を果たすまでの半年間に彼女たちが感じた不安や葛藤、希望と喜びが表現された作品。4人で行った全国アリーナツアー「Little Glee Monster Arena Tour 2021 "Dearest"」の最終日に歌われた「君といれば」、5人で歌唱して完成形となった「君といれば -complete ver.-」、芹奈が「休養中に何度も助けられて、勇気づけられた」というフォークトロニカの「REUNION」など5つのトラックが収められている。新章の幕開けを感じる「re-union」に込めた思いをMAYUとmanakaの2人に聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ

芹奈パートを歌うプレッシャー

──まず、芹奈さんの休養に伴い4人だけで行ったアリーナツアー(「Little Glee Monster Arena Tour 2021 "Dearest"」)の感想から聞かせてください。

manaka みんなで力を合わせてやり切ったという感じだったんですけど、とりあえず完走できてよかったなと思いましたし、今度は5人でさいたまスーパーアリーナのステージに立てるようにがんばろうという前向きな目標もできたツアーになりましたね。

MAYU 「走り抜けたな」という感覚でした。2021年の年が明けてから急遽、4人でやるって決まったんですよ。コロナ禍でもあるし、最初はツアー自体を中止にしたほうがいいんじゃないかという話も出て。でも、結果的には、あのステージに立ったことで、6月末から回っている全国ホールツアーで、5人でライブができるうれしさを強く感じることができているし、manakaが言ってくれたように、5人でアリーナツアーができる日が来たらいいなという思いですね。

──芹奈さんがいないことで歌い分けも変わっていましたが、特にベスト盤(1月発売「GRADATI∞N」)に新曲として収録された「VIVA」のMAYUさんの落ちサビが印象に残っています。本来は芹奈さんが担当していたパートですよね。

MAYU ありがとうございます(笑)。最初、芹奈の部分を振り分けられたときに、「私、歌えないです」と言ったんですよ。でも、そこを歌えたら自分自身も成長できるなとも思い直して。私たち5人で「VIVA」をステージで歌ったことがなかったので、芹奈がライブで歌ったらこんな感じなのかも?と想像しながら歌ってましたね。

manaka 4人で歌うためにパートを振り直すのは大変な部分も大きかったですね。ハモりを変える以前に、違うメンバーのパートを自分が歌うというプレッシャーもあったので、けっこうメンタル的にも鍛えられたなっていうのが、自分にとって一番成長につながったと思います。

MAYU ホンマそうやな。

manaka ハモリにすごく苦労していたデビュー当時の頃を思い出すような期間でした。

「え? おるやん!」芹奈と半年ぶりの再会

──最終公演のさいたまスーパーアリーナでは、新曲「君といれば」を4人バージョンで初披露しました(参照:埼玉と縁の深いリトグリが憧れのSSAでツアーファイナル、希望に満ちた新曲パフォーマンス)。

MAYU 今のこのコロナ禍で、なかなか会いたい人に会えなくて孤独を感じる皆さんはもちろん、4人で半年間くらい活動した私たちにとっても響く曲になっていて。「君といれば」と「REUNION」はつながっているんですけど、「君といれば」は4人から芹奈に向けた曲になっているので、ツアーの締めくくりとして皆さんの前で歌えたことは、とても大きな意味があったと思っています。その後、ライブや音源でやっと5人のバージョンを皆さんにお届けできているので、より大きなうれしさがありますね。

──ツアーファイナルでは「君といれば」の歌唱前に「この曲は未完成で、5人で歌ったときに完成形になる」とかれんさんがおっしゃっていました。

manaka そうですね。やっと5人でこの曲を完成させることができたのがうれしいです。MVも4人が芹奈を思う気持ちが詰め込まれた内容になっていて。最後のほうでは休養中の芹奈とひさびさに再会するシーンもあって、当事者ではあるんですが「すごいMVだな」って感動したのを覚えています。

──一連のストーリーになっていますよね。4人バージョンの「君といれば」から「REUNION」、そして、5人での「君といれば」という3部作で。初夏に行われた「REUNION」のMV撮影では、ひさしぶりに芹奈さんと再会を果たしたんですよね。

manaka そうです。12月に4人でやることになってからずっと芹奈に会えてなくて。来るとは知らされてなかったんですよ。MVの撮影前に「REUNION」のロケ地を見に行くという話でロケバスを降りたら、MAYUが「芹奈!」って叫んだんです。みんな、「え? おるやん!」ってびっくりしちゃいました。

アサヒ

MAYU あははは。到着して、周りに咲いている花を見たアサヒが「この花、吸うとおいしいよ」とか言い出して。「え? その花吸ってる人、見たことないけど」って、楽屋のようにわちゃわちゃ話しながら歩いてたら、芹奈を見つけたんです。「芹奈!」って、すごい高い声が出たのを覚えてますね。

──(笑)。どんな心境でした?

MAYU 連絡はとってはいたんですけど、直接会えたのは半年ぶりだったんですね。だから……ホントに「うれしい」しかなかったです。やっと5人そろったというか、いつもの日常が戻ってきた、みたいな。

manaka それだけ会わない期間があったのも、結成してから初めてだったから。どんな気持ちになるのかなっていう不安もちょっとあったんですけど、会った瞬間に、すごく自然に「やっぱり5人やな」と感じたんですよ。そんな短期間では私たちの関係性が崩れることはないんだなっていう再確認にもなりましたね。

芹奈の思いを受け取った4人

──その感動の再会が「君といれば」のMVに収められていて、次の日に芹奈さんの復帰作「REUNION」のMVを撮ったんですよね。

manaka そうですね。

MAYU 最初、芹奈が1曲まるまる歌った音源を4人で聴いて。そこで芹奈の歌声をひさしぶりに聴いたので、芹奈の歌声が聴けてうれしいなと純粋に感じました。

manaka やっと戻ってくるんだっていう喜びが込み上げましたね。うれしさしかなかった。

MAYU うん。しかも、今までのリトグリにはなかった新しい世界観がある曲になっていて。芹奈は曲に合わせて大胆に歌唱方法を変えられるのが魅力でもあると思ってるんですね。リトグリに今までなかった曲やのに、その曲にスッと溶け込めるのも芹奈のすごさやなと改めて思いましたね。

──歌詞は4人から芹奈さんに向けた、「君といれば」に対する芹奈さんからの返事のようになっています。

manaka

manaka そうですね。芹奈が休養中に聴いて勇気をもらっていたという高井息吹さんに書いていただきたいとリクエストして、実現したのがこの曲で。芹奈から私たち4人に対する気持ちを汲み取って書いてくださったので、ライブで歌っているときでも、休養中にこういうことを思っていたんだなと感じられました。

MAYU 実際、芹奈は自分が休養中に4人に対して思っていたことを高井さんに伝えて、歌詞やMVにしてもらったと言っていて。芹奈からのまっすぐなメッセージが伝わってくるし、リトグリとしての新しい魅力を伝えられる曲だなと思います。

──どんなメッセージが伝わってきたのでしょうか。特にグッときたのは?

manaka 全編通して芹奈からの気持ちが伝わるんですけど、特に「正解なんて君ひとりで導き出せなくていい 遠回りして 見た景色を交換しようよ」というフレーズからは、芹奈が私たち4人のことを思ってくれているのが伝わってきました。私たちもそう言われて安心するし、芹奈と同じことを思ってる。1人で抱え込まなくていい、私たち5人で不安を分け合って背負っていくものっていっぱいあるなと感じました。

MAYU メッセージとは違うけど、最初のところも好きですね。芹奈がメインで歌ってて、ハモリで1人ずつ入っていく。この曲が始まってすぐに、ひさびさに5人の声の重なりが聴けるのは、自分で歌っていても毎回「いいな」と思います。

MAYUの母も涙

──MVでは「あれから ずっとずっと 見つめていたんだよ」のところでmanakaさんが芹奈さんと見つめ合って、手を取っていますよね。

manaka そうですね。あのシーンだけじゃなく、MVには全体的に芹奈のアイデアが反映されているんですけど、すごいグッとくるというか。リトグリに対する芹奈の強い思いを感じましたね。

MAYU 1人ひとりのシーンが多く、最後の大サビでやっと5人がそろう構成になっています。完成した映像を観て自分でも鳥肌が立ったし、私の母も「5人が並んだ場面を観た瞬間に泣いちゃった」と言ってました(笑)。ホントに素敵なMVになったなと思ってます。

──先ほど「今までになかった曲」とお話がありましたが、これまでにない静謐なフォークトロニカになっていますよね。アレンジは新進気鋭の音楽家として注目を浴びている君島大空さんが手がけています。多重コーラスはリトグリらしさがありますが、再集結の曲で新たなサウンドに挑戦することに抵抗はなかったですか?

manaka リトグリらしさも残しつつ、いろんな音楽にチャレンジできるグループでありたいというのはずっと思っていますね。それに私、君島さんがめっちゃ好きなんですよ。高井さんが君島さんとの関わりが濃い方なので、編曲という形で携わってくれて、私は特に喜びを感じながらレコーディングに臨みました。

MAYU

MAYU この曲は歌だけど、歌声というより言葉が最初に届く曲なのかなと思います。芹奈の気持ちに4人の気持ちが重なっていく。聴いてくださってる方は、私たちの言葉をまっすぐ、ずっしりと受け止めてくれるんじゃないかな。

──この曲のタイトル「REUNION」という言葉にはどういう思いが込められていますか?

manaka ここからまた、新たな私たち5人で道を進んでいくという意思が込められてるなと思います。芹奈も芹奈で強くなった期間だと思うんですけど、私たちも芹奈を思いながら、リトグリというこの場所を守れるように過ごした時間があって。そんな私たちが再び集まって、これからもっともっと、5人で力強く進んでいこうという気持ちも、このタイトルに込められています。私たちのこれからにとって、とても大切な曲になるんじゃないかなと確信していますね。

MAYU ホントに、さらに強くたくましくなったと思うし、5人の絆もさらに深くなった。また、私たち自身、温かく優しくもなったと思うんですけど、この半年間で蓄えたパワーを、歌に変えられたらなという思いですね。

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やっと5人で歌えた