音楽ナタリー PowerPush - カメレオ

いざ47都道府県行脚へ!ツアー前に放つ入魂の「デビルくん」

4月から初の47都道府県ツアーに乗り出すカメレオが、ニューシングル「デビルくん」を発表した。表題曲はカメレオにとって新境地とも言えるEDMテイストのナンバーで、結成4年目を迎えたバンドが新しいフェーズに入ったことをうかがわせる1曲だ。

ナタリー初登場となる今回は、「デビルくん」の制作秘話や、来る47都道府県ツアーに向けての思いをメンバー5人に語ってもらった。

取材・文 / 武市尚子

“業界初”って付けたくて

──2015年は、1月にリリースされた“5人ボーカル曲”を集めたベストアルバム「5 BEST」からのスタートでしたが、5人がボーカルをとるスタイルはカメレオにとって強い武器ですよね。

Kouichi(B) そうですね。やっぱりカメレオは当初からある“変幻自在” のコンセプトは変わらずに普通のバンドではないというか、なんか変わったことをやりたがるバンドだし、“5人ボーカル曲”は武器の1つですね。「5 BEST」をリリースする話が出てきたときに47都道府県ツアーをやることも決まっていたし、ツアーを楽しんでもらうための“おさらい盤”として、これまでに発表した“5人ボーカル曲”を1枚のアルバムにまとめようと思ったんです。今では入手できない作品からの曲もあるし、全国の皆さんに自分たちの歴史を知ってもらってからツアーを回ったらより楽しくなるかなと。

HIKARU.(Vo)

──なるほど。「5 BEST」とツアーがつながっているんですね。さて今回リリースされるニューシングル「デビルくん」も、曲の中盤から5人がボーカルをとる流れになってます。

HIKARU.(Vo) そうなんです。曲の途中から全員が歌うっていうアイデアは昔からあったんですけど、なかなかタイミングが合わなかったんです。でも、シングルの選曲会をしたときに、この曲でやってみようってことになったんです。

Takashi(G) 最初は「5 BEST」を出したばっかりだし、そことは真逆の硬派なバンドサウンドで攻めていこうって話だったんですけど、作り始めたらやっぱり普通じゃ終われないっしょ!ってことになり(笑)。

Daisuke(G) 「デビルくん」の原曲を最初に聴いたときから、5人ボーカルの展開がハマるなって思いましたね。

Takeshi(Dr) ほかにこういうことやっているバンドもいないだろうから“業界初”を訴えるという戦略も含めて(笑)。

HIKARU. そう。“業界初”って付けたかったんです(笑)。

──サウンドは四つ打ちのEDMで、作曲はTakashiくん、作詞はKouichiくんですね。どうしてEDMをやろうと思ったんですか?

Kouichi 去年、知り合いの人にクラブに連れて行ってもらったんですよ。今まで興味がなくて行ったことがなかったんですけど、けっこう面白くて。そのときに、この空気感をバンドに持ち込めたら面白そうだなって思ったのがきっかけですね。それでTakashiに「クラブがイメージできるような曲作ってよ」ってお願いしたんです。

Takashi 僕もまったくクラブとかに興味がなかったので、そこから奮闘する日々が続きましたね。まずは “EDMの雰囲気”をイメージしながら構成していったんです。それで土台を作ってから、バンドサウンドをそこに足していったという流れでしたね。クラブの雰囲気を追求するには、ドラムを打ち込みにして人間っぽさをなくしてしまったほうが空気感は出しやすいんでしょうけど、そうしてしまうとTakeshiくんのよさが失われてしまうし、バンドである意味もなくなってしまうと思ったので、生音を残しながらクラブサウンドに落とし込んでいきました。

Takeshi レコーディングではいつも通りに叩いて、あとからTakashiが四つ打ちの部分を打ち込みで重ねてくれたので、機械っぽさと生のドラムが重なって音が厚くなっているんです。

──上モノのギターへのこだわりはどうですか? ロックギターっぽいアプローチは避けているように感じましたが。

Takashi そうなんです。メインフレーズはシンセにして、なるべくギターは抑えめにしましたね。いわゆるギタリストっぽいフレーズを入れてしまうと、シンセとケンカしてしまうと思ったので、あえて入れないようにしたんです。

Daisuke 構成もシンプルにしたんだよね。

Takashi そういうところで機械っぽさを出したというか。Kouichiの欲しかったクラブ感を出すようにしたんです。

イメージは「笑ゥせぇるすまん」

──HIKARU.くんは歌い方に関して意識したところはありましたか?

HIKARU. 今回、Kouichiから歌い方に関して、「(歌詞の中の)デビルくんになりきってくれ」っていうリクエストがあったんです。あとアニソンみたいな感じの雰囲気が欲しいって言われたので、アニソンと言えば影山ヒロノブさんということで、影山さん的な歌い方を意識して歌ったんですが、Kouichi的には「笑ゥせぇるすまん」の喪黒福造になりきってほしいと思っていたみたいで……。

──歌詞が悪魔のセールスマンを主人公にした、ブラックな雰囲気の内容ですもんね。

Kouichi(B)

Kouichi そうなんですよ。僕は「笑ゥせぇるすまん」がすごく好きなので、あの世界観を歌詞で出したかったんです。だからちょっとクセのある歌が欲しかったというか。

HIKARU. 喪黒福造にはなりきれませんでしたが、台詞的な歌詞だったので語りかけるようなイメージで、歌詞が伝わるようにいつもよりもちょっとクセ強めに歌いましたね。ボーカルも、ボコーダーを強くかければクラブミュージックっぽさが増したと思うんですけど、やりすぎちゃうとカメレオがこの曲をやる意味がなくなってしまうと思ったのでそこは極力避けるようにしましたね。アクセントとしては少し使いましたけど。

──あくまでもバンドサウンドとの融合というこだわりがあったんですね。歌詞は「デビルくん」なのに、最終的に敵なのか味方なのかわからないまま終わる内容が面白かったです。

Kouichi そこがポイントなんです! 聴いた人それぞれで解釈してもらいたいなと思ったので、オチはつけませんでした。それと「デビルくん」っていう曲だったら色は黒をイメージすると思うんですけど、PVで僕らは白いスーツを着てて。白って天使っぽいイメージじゃないですか。観た人に「あれ?」って思わせたくて。キアヌ・リーブスが出演していた「コンスタンティン」っていう映画で、悪魔が真っ白なスーツを着ててそれが印象的だったんですよね。世間とは真逆のイメージを描くのも面白いなと思ったんです。

ニューシングル「デビルくん」2015年4月1日発売 / DANGER CRUE RECORDS
初回生産限定盤 [CD+DVD] / 1620円 / DCCL-183~184
通常盤 [CD] / 1296円 / DCCL-185
初回生産限定盤CD収録曲
  1. デビルくん
  2. Thanks 2014
初回生産限定盤DVD収録内容
  1. デビルくんMusic video
  2. デビルくんMusic videoメイキング
通常盤CD収録曲
  1. デビルくん
  2. Thanks 2014
  3. 結末の見えない映画のように
  4. カメトーク
カメレオ

HIKARU.(Vo)、Daisuke(G)、Takashi(G)、Kouichi(B)、Takeshi(Dr)からなるヴィジュアル系バンド。2012年1月より活動をスタートさせ、同年3月に1stシングル「捏造ピエロ」を、6月に1stミニアルバム「新宿」を発表する。それぞれのパートは決まっているものの、5人全員がボーカルをとる楽曲を発表したり、ライブでもダンスパフォーマンスをしたりと枠にとらわれない形で活動中。2015年1月には5人ボーカル曲のみをまとめた異色のベストアルバム「5 BEST」をリリースした。同年4月にシングル「デビルくん」を発表し、同月よりバンド初の47都道府県ツアーを開催する。