音楽ナタリー PowerPush - 華原朋美

“生き様”見せた9年ぶりツアー WOWOW放送直前インタビュー

「つらい」って言うステージはもう終わり

──華原さんが思う今回のライブの見どころはどういうところでしょうか?

私の生身を感じてもらいたいですね(笑)。今回のライブでは私の人間味みたいな部分を伝えたかったんです。嘘偽りというか、特に自分を飾るっていうことを一切したくなかった。生きていれば誰しも隠していきたい出来事っていうのがあるじゃないですか。私にはそういう隠したいこととか、やり直したいと思うようなことがたくさんあるから、それを素直に吐き出すと、こんなに楽になれるんだっていうことをステージ上で見せられればと思っているんです。みんながそうやってさらけ出せるわけじゃないけど、お客さんも一緒になって抱えているものを一緒に流して、清算して帰れるような、そういうライブにしたくて。今回のオンエアも、日常の中で発散ができない人たちにぜひ観てもらいたいですね。

華原朋美

──ライブはカバーアルバムの収録曲中心のセットリストでしたが、最初の曲が「save your dream」で、最後の曲が「I'm proud」。どちらも華原さんのオリジナル曲ですが、なぜ最初と最後にこの2曲を持ってきたんでしょうか?

去年の単独ライブは復帰直後ということもあって、ちょっと重い空気の中で始まるステージだったんです。それはそれでいいことだったし、その空気感に合った曲をライブの1曲目で歌っていました。ただ今年はとにかく花が咲くような、パッと明るい曲から始まって、明るく終わるステージにしようって考えていたんです。だから最初の曲は静かな曲より「save your dream」みたいな曲のほうが合うかなって思って。

──カバーかオリジナルかは関係なく、復帰2年目の華原さんにとってライブのスタートにふさわしい曲が「save your dream」だったわけですね。

そうですね。実はこの曲を最初に歌うのは「私がただつらいって言うステージはもうおしまいだよ」「今はもう明るいし、楽しいよ」っていうメッセージでもあるんです。もちろんライブの中では「つらいときもあったよ」っていう部分もちゃんと見せようと思っています。ただ最後はやっぱり笑って「また来年ね」「じゃあね、バイバイ」って言えるようなステージにしたかったから「みんなも知ってる『I'm proud』で終わろうよ」って流れにしました。

死んじゃうまでサービス精神を忘れない

──華原さんにとって今年は2枚のカバーアルバムリリース、アルバムのプロモーション活動、ツアー開催、夏フェス出演など、本当に多忙な1年だったと思います。今年1年を振り返ってどうでしたか?

今年はとにかくツアーを成功させたいっていう一心でした。私生活ではきちんと自炊をして、規則正しい生活を欠かさなかったですね。本当に自分の体を大事に考えてよくやったって自分で思ってます(笑)。振り返ってみると泣いたりすることもあったんですけれども、それは悲しくて泣くばかりじゃなくて、うれしくて泣くこともあったし。そうやってツアーを回っていく中で「やっぱり歌うのが大好き」って思える自分を再発見できたのが一番よかったです。過去には悲しいこともあったけど、それがあるから今があるんだって思えた1年でした。

華原朋美

──去年は単独ライブをして、今年は9年ぶりのツアーを開催しました。活動復帰後、毎年スケールアップした活動を見せていますが、来年の展開はどうなるんでしょうか?

実は来年、華原朋美のデビュー20周年なんです。20周年といってもほとんど休んでたんですけどね(笑)。休んでばっかりだったけど、ここまで来れたことを皆さんに感謝をしつつ、もう一度ツアーができたらいいかな。ツアーでカバー曲をたくさん歌って、改めて歌うことの喜びを皆さんに伝えられたらいいと思ってます。とにかく考えているのは“歌手・華原朋美”をきちんと伝えていくべきだなってことで。歌手って本当に楽しいし、私にとっては人生=歌手なんですよ。ただ淡々と歌うんじゃなくて、きちんと自分で経験したことを、歌の形で皆さんに届けたいというか。歌うことで素直になれて自分のためにもなるし、みんなが喜んでくれて、共感してくれるのがうれしいんです。

──今年1年を振り返ってみても、活動の軸にあるのはあくまで“歌手・華原朋美”なんだと感じました。

本当にスタッフさんや周りの方々には“歌手・華原朋美”っていう部分を育てていただいた年でした。私自身はとにかく与えられた仕事を淡々と終わらせないようにしようってことばかりを考えていたんです。今日のインタビューもそうですけど、テレビでバラエティ番組に出るときとかも、私は何十倍にも返してその仕事をやるっていうのがテーマなんです。

──お話を伺っていて、華原さんのライブや活動の根本にはお客さんやスタッフなど周りの人へのサービス精神があるように思いました。

そうなんです。サービス精神がなくなったら誰も興味を持ってくれないんじゃないかなって不安なのもあるんですけど(笑)。本当にそういう気持ちを大事にしていこうと思っていて。やっぱりみんなに喜んでもらいたくて歌手をやってるわけですから、この先もずーっと、死んじゃうまでサービス精神を忘れずにやっていきたいですね。

WOWOWライブ「TOMOMI KAHARA CONCERT TOUR 2014 ~MEMORIES~」
2014年11月30日(日)21:00~
2014年12月25日(木)19:00~(リピート放送)
番組公式サイト
華原朋美(カハラトモミ)

1995年「keep yourself alive」でデビュー。以後「I BELIEVE」「I'm proud」などヒット曲をリリース。歌手活動以外にもCM、ドラマ、バラエティ等で活躍するも2007年に活動を休止する。そして2012年12月、5年ぶりに芸能活動を再開。2013年4月に7年ぶりの新曲、ミュージカル「レ・ミゼラブル」の劇中歌「夢やぶれて- I DREAMED A DREAM -」をリリースした。2014年には「MEMORIES -Kahara Covers-」「MEMORIES 2 -Kahara All Time Covers-」の2作のカバーアルバムをリリースし、同年9月からは9年ぶりとなる全国ツアー「TOMOMI KAHARA CONCERT TOUR 2014~MEMORIES~」を開催した。