ナタリー PowerPush - HONDALADY

1年ぶり新作抱えてナタリー初登場! 万年若手バンドがネクストドアを蹴破る

歌詞で言いたいことなんて2~3個しかない

──前作「CASSETTABLE」まで3部作的な括りがありましたが、今回の「SNEAKER MON AMOUR」で何か新しいことにチャレンジしようとか、そういったイメージは事前にありましたか?

マル サウンドについては、例えば「Escape (from KIX)」でいえばドラムンベースだったり、あとダブステップ的なノリだったりをHONDAなりに料理してやろうというのはありましたね。で、意外と作ってる側的には“3部作の次に出す違うもの”ってイメージではなくて、地続きな部分があって。

──歌詞についてはどうですか?

マル 歌詞を書いているのはほとんど僕なんですけど、世の中の作詞家の方と比べると全然スキルが足りなくてですね、言いたいことなんて2~3個しかないんですよ(笑)。言いたいことをいっぱい持っているアーティストはたくさんいると思うんだけど、僕にはそれができなくて。結局言いたいことは10年ぐらい前から変わってないのかなと思いつつ、レコーディングの歌入れの直前に歌詞をひねり出してるような感じです。

インタビュー写真

Die 「こいつらまた同じこと言ってるよ、がんばってんなぁ」ってね(笑)。

マル 30過ぎて何やってんだみたいな話ですけど、これしかできないからしょうがないんですよ。楽しくなかったらとっくに辞めてるって。

──アルバムを聴いたときに、まず1曲目「ハレルヤ」にガツンとやられて。ゴスペルっぽさが強くて、ちょっとHAPPY MONDAYSのような90年代のマッドチェスターシーンを彷彿とさせて、リズム的にも大きいノリで。でもそういう新しい要素はいろいろ入っているんだけど芯の部分はブレてないように感じました。

マル 「ハレルヤ」ってやっぱり、僕らの世代はもうHAPPY MONDAYSしか思い浮かばない感じなんですけど……。

Die 僕はそれ知らないです。あははは!(笑) マッドチェスターも通ってないし。

マル 「ハレルヤ」は一番最後に書いた曲なんです。それ以外の7曲を並べてみて通して聴いたときに、「なんか……幸せになれないね、僕たち」という気分になってしまって。それで、みんなが幸せになれる曲が書きたいと思って作ったんですよ。僕らのレパートリーの中でも、今後重要なポジションの1曲になってくんじゃないかなという気がします。

Die 今まで速いBPMで盛り上げたりしてたんですけど、「ハレルヤ」はミドルテンポなのに盛り上がれる、うちらとしてはちょっと新しいタイプ。この曲ではハモンドオルガンをフィーチャーしていて、僕は昔から大好きだったんだけど今までなかなか使う機会がなくて。今回この曲でガッツリ使えたんでうれしかったですね。

「Dieちゃんは人の結婚式で何歌うのかな」と思って

──今回Dieさんがメインで1曲(「B.A.D. (Big Adventure of Die)」)歌ってますが、なぜこのタイミングで歌おうと思ったんですか?

Die あれこそもう白塗り(征露丸X/Dieがボーカルとして参加するナゴム系トリビュートバンドのこと)の成果みたいな(笑)。

マル なんとなくDieちゃんのリード曲が欲しいなと思ったんですよ。

Die マルの中だけで(笑)。

マル 僕の中だけで“Dieのテーマ”というのが欲しかったんです。なぜかというと、友達にちょっと有名なバンドのベーシストがいて、結婚式に誘われるとボーカリストじゃないから歌える曲がないのに「お前(自分のバンドの)あのヒット曲歌えよ!」と言われると。そういう話を聞いて、「じゃあDieちゃんは人の結婚式で何歌うのかな」と思って。

一同 あははは!(爆笑)

インタビュー写真

マル じゃあDieちゃんのリード曲があったらいいんじゃないかって。親心じゃないですけど友達思いの気持ちから書こうと思って、「Dieちゃんは何が好きだったっけ? あ、THE PRODIGYだ! じゃあTHE PRODIGYのオケを完コピしよう!」というところから始めたんです。で、だんだんレコーディングを進めていくうちに「あっ、そういえばこの人は征露丸Xの人だった」って思い出して。「もっと声出せるよ! 何うまく歌おうとしてるんだよ!」という感じで録り始めたら、ああいう形になったんです。だから彼には友達の結婚式でこれを歌ってほしいなと。

Die ということは、この曲をみんなの知ってる曲にしきゃいけないですね(笑)。

マル この曲、仮タイトルが「Dieのテーマ」なんですね。今後ライブをやっていくと半年後には、DieちゃんはTHE PRODIGYのキース(・フリント)みたいな格好をしてるはずなんです。逆モヒカンで皮ジャンスタイルになっていればいいなと。

Die こちらは失笑というか(笑)。

──でも征露丸Xの活動がHONDALADYにいいフィードバックを与えているんじゃないですか?

Die 与えてると思いますよ。真面目な話、前よりも声が出るようになったし。

──そう考えると、外での活動もHONDALADYにとって必要不可欠なのかもしれませんね。

マル 曲も課外活動もひとつひとつを取り上げればブレブレなんだけど、トータルで見ると“ブレてることに関してブレてない”んです。この2人でずっとやってるからトータル的なまとまりが出てるというのはあるかもしれないですね。

新しいものを覚えることが楽しくなってきて

──ゲストボーカルに宍戸留美さんを迎えています。2005年のアルバム「TVTB」以来かと思いますが、今回のコラボ曲はずっと一緒に活動してきたみたいにしっくりくる仕上がりですね。

マル 以前共演させてもらったときは、僕らもあまり彼女のパーソナルな部分はよく知らなかったんです。その共演をきっかけに仲良くなったおかげで、今回は馴染んだというか、より自然なものになってると思います。

──今回マルさんは「フリースタイラー」でブルースハープも吹いてますが、エレクトロな形態でブルースハープって意外ですよね?

マル 最初は使い慣れた機材でソロを弾いたんだけど、なんだか違うと思って。あるとき急に「フォーク的なカラーも出るし、ブルースハープがいいんじゃないか?」と気づいて、それからは夕暮れどきの河原でプープープープー練習して今に至る感じです。

Die ダンスバンドには、なかなかいないよね(笑)。

マル 新しいものを覚えることが、ひと山越えて楽しくなってきて。Dieちゃんのボーカルじゃないけど、じゃあ俺はブルースハープがんばるわ、みたいなね。ひとつひとつステップを上り、次は和太鼓叩いてるかもしれないし。

Die ……間違ってると思う、それ(笑)。

ニューアルバム「SNEAKER MON AMOUR」 / 2010年3月17日発売 / 1995円(税込) / CITRON RECORDINGS / DDCH-2317

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CD収録曲
  1. ハレルヤ
  2. 花月雪星宙
  3. Escape (from KIX)
  4. B.A.D. (Big Adventure of Die)
  5. Forest Zunta
  6. なまけ虫
  7. フリースタイラー
  8. Escape (from CDG)
HONDALADY presents “MODELROOM #6 ~瞬足モナムール~”
("SNEAKER MON AMOUR" release party)

HONDALADY presents “MODELROOM #6 ~瞬足モナムール~”

2010/04/03(SAT) 高円寺HIGH
OPEN/START 17:30
ADV/DOOR ¥2,500/¥3,000
[ACT]
HONDALADY with 邂逅の日(ゲスト:宍戸留美)/ YMCK / peach (from OSAKA) / ゲッカンプロボーラー / Cutie Pai
[DJ]
dj8bit
[お問い合わせ・チケット予約]
info@hondalady.net

前売予約してくださった方全員に、ホンダレディリミックスワーク集「SNEAKER ONCE MORE」をプレゼント!

※当日、瞬足持参・着用の方は同伴者含めて入場料金が半額になります。受付にて瞬足をご提示の上、スタッフに“瞬足割希望”とお伝えください。

HONDALADY(ほんだれでぃ)

マル(Vo)とDie(TB-303)の2人によるテクノロックユニット。1996年にマルを中心に結成され、2002年から現在のメンバー構成となる。高揚感溢れるメロディライン、現代の四畳半フォークを彷彿させる独特なリリックの世界観、無駄に暑苦しいライブパフォーマンスが特徴。不定期開催の企画ライブイベント「MODELROOM」では、ライブハウス/クラブシーンで活躍する数々のアーティストとの競演に加え、アルバムでコラボレートしたMAGUMI(LÄ-PPISCH)、宍戸留美、森若香織などをゲストに迎えパフォーマンスを行っている。また、ジャケットなどアートワークのほとんどはDie主宰のブランド「Ketchup Arts」が担当。HONDALADYの活動以外にも、メンバーそれぞれによるDJ活動や他アーティストへの楽曲提供、リミックス、サウンドプロデュース、ゲーム音楽への楽曲提供も多数手がけている。