アマダシンスケ(FOMARE)×キヨサク(MONGOL800)|憧れ続けたフロントマンとの初対談

FOMAREが6月12日に1stフルアルバム「FORCE」をリリースした。

新曲のみの全10曲で構成された今回のフルアルバムは、レゲエ要素を含んだ「One Day」やキャリア初となるピアノ導入曲「赤と青」をはじめ、バンドの新たなモードが詰め込まれた作品となっている。

音楽ナタリーでは「FORCE」のリリースを記念して、アマダシンスケ(B, Vo)がバンドを始めるきっかけになったというMONGOL800のキヨサク(Vo, B)との対談をセッティングした。MONGOL800のファンを公言しているアマダにモンパチ愛を語ってもらうと共に、ソングライターでありベースボーカリストという共通点を持ち、映画「小さな恋のうた」では共演もした2人に、出会いやお互いの印象、「FORCE」について聞いた。

取材・文 / 酒匂里奈 撮影 / 後藤壮太郎

モンパチを初めて聴いたのは「プロポーズ大作戦」

──2016年にFOMAREのTwitter公式アカウントで投稿されていましたが、アマダさんにとってMONGOL800は“バンドを始めるきっかけであり夢”だそうですね。

アマダシンスケ(FOMARE) はい。初めてちゃんと挨拶したのがその投稿をしたタイミングで、G-FREAK FACTORY主催の「山人音楽祭'16」のときですね。

キヨサク(MONGOL800) そっか。あれが最初か。

アマダ そうですね。G-FREAK FACTORYの茂木(洋晃)さんに「紹介してほしいです……」ってお願いして楽屋に連れて行ってもらって、「めっちゃ好きです!ファンです」とキヨサクさんたちに伝えました。

──キヨサクさんはFOMAREにどんな印象を抱きましたか?

キヨサク ずっと自分たちがルーキーのイメージでいたんですけど、最近は「モンパチコピーしてました!」って挨拶に来てくれる人たちが増えてきて。その中でもFOMAREはとびきり若いなという印象でしたね。今いくつ?

アマダ 22歳です。次23になる年です。

キヨサク ということは「山人音楽祭」のときは19、20歳か。あのときは「山人音楽祭」に出演してた?

アマダ えっと、前夜祭にアコースティック編成で出てました。

キヨサク なるほど。アコースティックだったんだ。

──アマダさんはいつ頃からMONGOL800を聴き始めたんですか?

アマダシンスケ(FOMARE)

アマダ お兄ちゃんみたいな従兄弟がいて、その人がモンパチ世代だったんです。その人が聴いていたというのと、「プロポーズ大作戦」(2007年に放送されたテレビドラマ)で「小さな恋のうた」が流れていて。そのとき俺は小学5年生とかだったんですけど、「やべえ、この曲歌ってるのモンパチって言うんだ」ってなったのが最初ですね。

──ちなみにMONGOL800で一番好きな曲は?

アマダ 今日ちょうどそれを考えてたんですけど、「百々」(2004年発売の3rdフルアルバム)に入ってる「Rainy day」が大好きです。ライブDVDでは観たことあるんですけど……ライブで聴きたいです!

キヨサク 「Rainy day」は「MONGOL800 全国PARTY!! ~百々2004~」のときと、あと何回かくらいしかやってないね。

アマダ 一生ライブでやらないなって曲とかあります?

キヨサク あるかもしれない。やれてない曲も多いから。

アマダ 「MESSAGE」(2001年発売の2ndフルアルバム)の「Song for you」はやらないんですか?

キヨサク 最近やってないね。こないだはホールでひさびさにやってみるかってことで「Melody」(「MESSAGE」収録曲)はやったかな。「Song for you」も、やったほうがいいとは思うんですけどね。

アマダ 絶対ブチ上がる人超多いっすよ! 「ウオーッ」って!

キヨサク あの曲……テンポ早いんだよね(笑)。クリック使ってないから。

アマダ えっ、レコーディングのときですか?

キヨサク そうそう。「GO ON AS YOU ARE」(1999年発売の1stフルアルバム)と「MESSAGE」はクリック使ってない。

アマダ そうなんですか!?

キヨサク だから「小さな恋のうた」とか、ライブよりCDのほうがテンポが速いんだよね。それがカラオケに入ってるから、カラオケも速い(笑)。

アマダ なんでクリック使わなかったんですか?

キヨサク なんでだろう。使ってなかったね。「百々」からは使ってたりしてるけど。

──アマダさんは弾き語りやバンドで「小さな恋のうた」をカバーされたこともありますよね。

アマダ 弾き語りでたまに歌ってますね。FOMAREでは一度だけ、「爆裂ロンリネス2017」(2017年12月に神奈川・F.A.D YOKOHAMAで開催されたライブイベント)のときにカバーしました。そのときは1バンド1曲ずつ“初期衝動的コピー”というテーマでコピー曲をやると決まっていて、俺らは「小さな恋のうた」を選びました。俺はキヨサクさんになった気持ちで、たぶんカマタ(リョウガ[G, Cho])は儀間(崇)さんになった気持ちで演奏しましたね。カマタは緊張しすぎて歌詞飛んじゃってて(笑)。

キヨサク あの曲は自分のキーもわかってないときに作ったから、わりとめちゃくちゃなんですよね。最初は低くてサビは高かったり(笑)。

左からアマダシンスケ(FOMARE)、キヨサク(MONGOL800)。

彼女から歌詞について指摘されるのは“あるある”

──現在上映されている映画「小さな恋のうた」では、お二人共カメオ出演されていました。

アマダ 漁師のキヨサクさん……(笑)。

キヨサク 最初はFOMAREが出演するのを知らなくて。あとから周りの人に「FOMAREの子も出てたよ」って言われて気付きました。

アマダ そうだったんですね。撮影はめっちゃ緊張しました。映画に出ることになるなんて考えたこともなかったし、現場にスタッフの人が多すぎて「ミュージックビデオのときの何倍もいるじゃん」と思いました(笑)。もちろん映画も観て、最高でした。

──どのあたりが最高でしたか?

アマダ やっぱキヨサクさんが漁師のところじゃないですか。違和感ない!(笑)

キヨサク 脚本の時点で設定が漁師になってましたからね。しかも最初はセリフがなかったんですけど、いざ現場に行ったら「ちょっとこの言葉言ってもらっていいですか」と監督にムチャぶりされて。テイク3くらいまでやりました(笑)。

アマダ そうなんですか! ちなみに(高里)悟さんはどこに出てました?

キヨサク 悟はね、ライブハウスのシーンに出てた。一番セリフがあって、役者風なしゃべりしてましたね。

──キヨサクさんは楽曲「小さな恋のうた」をはじめとした多くのラブソングを手がけていて、同じくアマダさんもラブソングを作られています。お二人はラブソングを作るときのこだわりはありますか?

キヨサク(MONGOL800)

キヨサク んー、なんだろう。今だから言えるけど、「若いうちに作っとけ」っていうのは思いますね。歌詞にリアリティを出すのって難しいじゃないですか。あまりにも具体的な描写があるラブソングだとちょっとね……嫁さんや彼女に怒られるから。

アマダ 確かに。それあるあるです。めっちゃわかる。

キヨサク FOMAREはわりと具体的な歌詞じゃない? 大丈夫?(笑)

アマダ けっこう具体的ですけど、自分が納得できたらいいかなって(笑)。

──「あれ、この歌詞は私のこと?」みたいに言われたことあります?

アマダ ありますね(笑)。

キヨサク というのもあって(笑)、自分は「GO ON AS YOU ARE」や「MESSAGE」を作ってたときは“僕”や“君”という言葉は使ってないんですよね。あまり一人称を使わないでしゃべろうとする沖縄の人のくせみたいなのがあるからかもしれない。だからそのときは“あなた”っていう言葉が自分の中で一番しっくりきていた。結果論かもしれないけど「あなたに」や「小さな恋のうた」は、聴く人によってはどのシチュエーションでも入り込める曲になったんじゃないかな。

──FOMAREさんの楽曲には“僕”や“君”という言葉が登場する回数が多いですよね。

アマダ そうですね。何か伝えたいことを歌詞にするというよりは、日記みたいな感覚で自分に起こった出来事や自分のしたいことを、自分が納得できるように書いているのが俺らの歌詞になってます。実はラブソングに対してのこだわりはそんなにないんですよ。自分で「これはラブソング」と思って書いた曲も少ないです。自然とラブソングっぽくなっていったような感じです。