U-zhaan 青葉市子 みんなで一緒に作るフェス「FUJI & SUN '21」

5月15、16日に静岡・富士山こどもの国でキャンプインフェス「FUJI & SUN '21」が開催される。“富士山と学び 富士山と生きる”をコンセプトにした同フェスは、2019年にスタート。昨年はコロナ禍により中止となったが、2年ぶり2回目の開催となる今年は2日間で28組のアーティストが出演し、1日目はくるり、2日目は森山直太朗がヘッドライナーを務める。

音楽ナタリーでは「FUJI & SUN '21」に出演するU-zhaanと青葉市子にインタビュー。両者の交流やライブに対するスタンス、「FUJI & SUN '21」への期待を語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 笹原清明

「FUJI & SUN '19」の様子。(撮影:中野修也)
「FUJI & SUN '21」

2019年に静岡・富士山こどもの国で初開催されたキャンプフェス。富士山を望む自然豊かなロケーションで音楽、トークショー、冒険家たちが提案するアクティビティなどさまざまなエンタテインメントが体験できる。

  • 2021年5月15日(土) 静岡県 富士山こどもの国 OPEN 9:00 / START 10:30 / CLOSE 20:00 <出演者> ∈Y∋(DJ) / 青葉市子 / 悪魔の沼(DJ) / 折坂悠太 / 君島大空 / Kotsu(DJ) / くるり / 寺尾紗穂 / nutsman(DJ) / VIDEOTAPEMUSIC(DJ SET) / Mars89(DJ) / 民謡クルセイダーズ / Ramza / 吉原祇園太鼓セッションズ
  • 2021年5月16日(日) 静岡県 富士山こどもの国 OPEN 8:00 / START 9:00 / CLOSE 18:00 <出演者> Akie(DJ) / OLAibi + KOM_I / カネコアヤノ / GOMA / COMPUMA(DJ) / SUGAI KEN(DJ) / TENDRE / TOP DOCA(DJ) / ハンバート ハンバート / マヒトゥ・ザ・ピーポー / 冥丁 / 森山直太朗 / U-zhaan / 林立夫 with 大貫妙子

2人の出会いは

──U-zhaanさんと青葉市子さんはこれまで何度も共演されていますが、交流はいつから始まったんですか?

青葉市子 初めてお会いしたのは、青山CAYのイベントですよね?

U-zhaan 坂本美雨ちゃんのイベント(「坂本美雨presents『DIRECT MIUsical Vol.5』」)だね。2011年10月14日。自分の誕生日だったから日付まで覚えてる。

青葉 U-zhaanさんはSalyuさんのライブに出ていらっしゃって。永井聖一さんも一緒でしたよね?

U-zhaan うん。

青葉 私は遊びに行っただけなんですけど、そのとき初めてU-zhaanさんにご挨拶して。すごく朗らかで、楽しそうな方だなと思いました。

青葉市子

U-zhaan よかった(笑)。次の年にさいたまスーパーアリーナの中にあるTORIOのイベントで一緒になったんじゃなかった? 川越までリハに来てもらった気がする。

青葉 行きました。U-zhaanさんのお母様にもご挨拶して(笑)。

U-zhaan その後は小山田圭吾(Cornelius)さん、僕、市子ちゃんの3人でけっこうライブをやってたね。

青葉 以前はちょくちょくやっていましたね。クラシックギター、歌、タブラ、エレクトリックギターという面白い編成で。

U-zhaan 最後にやったのは2016年の神戸、京都ツアーかな。京都は東本願寺が会場だったんだけど、セットリストが面白かったんですよ。たまの「さよなら人類」のカバーとか。

青葉 そうでした。いろいろと遊べましたね、あのときは。

U-zhaan 市子ちゃんのギターと歌だけで基本的には成立しているから、僕と小山田さんは自由に遊べるんですよ。小山田さんがiPhoneでノイズ出しているだけだったり(笑)。

青葉 またできるといいですね。去年の年末、「デザインあ」の収録で小山田さんにお会いしたとき、「U-zhaanと市子ちゃんで、またライブやりたいね」って言ってくださっていましたよ。

U-zhaan ありがたいです。

──青葉さんから見てU-zhaanさんの印象は?

青葉 安心感がありますね。決まったことだけじゃなくて、一緒に遊んでくださるというか、「こういうのはどう?」と広げてもらえるので。ツアーを回っていると、同じ曲でも演奏するたびにだんだん違うリズムになっていくんですよ。

U-zhaan ちゃんと曲を覚えてないだけかも。

U-zhaan

青葉 あと、U-zhaanさんのアルトホルンが大好きで。「ほっきょくせい」という曲のアレンジをお願いしたこともあるんです。

U-zhaan 「レコーディングにアルトホルンで参加してほしい」と言ってもらって、すごくうれしくて。録ったあと、「U-zhaanさんにお願いしてよかったです。この曲はあまりうまい人の音を入れたくなくて」と言われたんですけどね(笑)。

青葉 いやいや、そういう意味ではなくて(笑)。専門のホルン奏者の方ではなくて、U-zhaanさんが吹くからいいという意味ですよ。

──U-zhaanさんは青葉さんに対してどんなイメージを持っていますか?

U-zhaan 音楽家としても人としても、とても尊敬してますね。年齢の差はあるんですけど、最初に会ったときから対等以上と言いますか、先輩みたいな感じで。

青葉 いえいえ、そんな。

U-zhaan たまに「あ、やっぱり世代は違うんだな」と思うこともありますけどね。市子ちゃん、小山田さんとツアーを回っていたとき、楽屋でJB(ジェームス・ブラウン)の話をしてたんですよ。どうも話が噛み合わないなと思ったら、市子ちゃんだけはJBをジャスティン・ビーバーだと思ってたみたいで(笑)。ジェネレーションギャップですね。

青葉 そんなこともありましたね(笑)。U-zhaanさんはいつも気さくに接してくれるんですよ。私は基本的に人見知りなんですが、U-zhaanさんはとても話しやすくて。人生相談みたいなお話を聞いていただいたこともあります。

U-zhaan 僕もそんなに素直なほうではないし、人に相談とかもあんまりできないんですけど、市子ちゃんにはつい本当のことを言っちゃうんですよ。例えば自分のメンタルが弱ったりしたとき、普段は弱ってる自分を誰にも見せたくないと思うんだけど、市子ちゃんには「ちょっと最近つらくてさ」って言えちゃったり。

青葉 そう言えば去年の3月かな、コロナ禍になって真っ先にU-zhaanさんに電話をかけたんですよ。「どうしてますか?」「寂しいですね」って、30分くらいポツポツとしゃべって。特に新しい予定を立てるわけでも、音楽の話をしたわけでもないんですけどね。

U-zhaan そうだね。

青葉 それ以来お話はしてなかったんですけど、しばらくお会いしなくても、深いところで「元気かな?」と思い合えるといいますか。それもきっと、U-zhaanさんが気さくに接してくださっていたからだと思うんです。私も後輩のミュージシャンが増えてきたら、そういう人でありたいですね。「よ! 元気?」みたいに話しかけたい。

今まで作ったものの中で最高傑作

──お二人の近況についても聞かせてください。青葉さんは6月21日に東京・Bunkamuraオーチャードホールで「ICHIKO AOBA "Windswept Adan" Concert」を開催されます。

青葉 去年リリースしたアルバム「アダンの風」を中心にしたライブですね。ストリングスの皆さんにも参加していただきます。

U-zhaan アルバムすごくよかった。4曲目、5曲目あたりで沖縄の風が吹くよね。

青葉 そうですね。琉球音階の色合いが出ているので。梅林太郎さんと一緒に制作したんですけど、梅林さんは各地の音階に詳しいんですよ。距離が離れた土地でも使っている音階が似ていることがあったりして面白かったですね。オーチャードホールでは曲順もそのままやろうと思っています。

──「アダンの風」には“架空の映画の為のサウンドトラック”というコンセプトもあったとか。

青葉 2021年に生きる私たちが船を漕いで、航海に出る。それを後押しできるような音楽になったらいいなと思っていて。目的地はそれぞれの人の胸の中にある島なんですが、それが“架空の映画のサウンドトラック”になったということですね。

──そしてU-zhaanさんはU-zhaan×環ROY×鎮座DOPNESS名義でアルバム「たのしみ」をリリースされました。タイトル通り、めちゃくちゃ楽しませてもらいました。

U-zhaan ありがとうございます。タイトルは、アートワークを担当してくれたerror403に付けてもらったんですけどね。

青葉 そうなんですか?

U-zhaan うん。蓮沼執太と一緒に作った「2 Tone」もデザイナーの長嶋りかこさんに、ソロのアルバム「Tabla Rock Mountain」もデザイナーの福山武志さん(VENDER WOH!)に決めてもらった。とても信頼してアートワークをお願いしているし、せっかくなのでアルバムタイトルごとお任せしたくて。

──U-zhaanさん監修の仕切りが取れるカレー皿も発売されましたね(参照:U-zhaan監修の仕切りが取れるカレー皿)。

U-zhaan はい。もしかすると、僕が今まで作ったものの中で最高傑作かもしれません(笑)。

青葉 U-zhaanさん、料理も本当に上手なんですよ。Instagramもよく見てるんですけど、鹿肉のカレーがおいしそうでした。

U-zhaan 知り合いから鹿の後ろ足がそのまま送られてきたんだよね。「せめて蹄は取ってから送ってもらいたかったんだけど」って言ったら、「蹄があったほうが軒下とかに引っ掛けやすいでしょ」って(笑)。