ナタリー PowerPush - FACT & sfpr

気鋭レーベルが放つ強力アルバム2作

成長が止まらないという感じ(笑)

──今作は、FACTが持っている雑食性とmaximum10移籍以降に大々的に取り入れるようになったエレクトロの要素が血肉化できているというか、きちんと消化されてるアルバムだなと感じました。

FACT

Kazuki 単純に成長が止まらない、という感じですかね(笑)。いろんな新しい音楽も吸収しているし、それに技術や知識が追いついて、いい感じで表現できているのかなと。今までは、エレクトロの要素を入れたいと思っても自分たちが持ってるわずかな知識の中でやるしかなくて。でもだんだんその知識の幅も広がりましたからね。

──あと、「ウォー、ウォー」といったわかりやすい合唱系のコーラスも増えてきましたね。

Hiro 単純に歌えるパートも欲しかったんですよ。ただ、俺らの歌詞は英語だから、日本人が一緒に歌うのは難しいかなと。でも「ウォー、ウォー」だったら歌えるじゃないですか。

Tomohiro そういうキャッチーさも意識しました。

Kazuki シンガロングパートが多くなることで楽曲が勢いづいて、さらに良くなりますからね。やっぱり、ライブではみんなで盛り上がりたいし。

──その反面、ストリングスを導入したことで物語性も高まっています。今回収録されている曲は、1曲の中に宇宙の扉、映画の扉、ライブハウスの扉などが用意されてて、脳内にいろんな情景が広がるものに仕上がっているんですよね。そういう意味で、ただ単に激しさや勢いだけで押す曲は減ってきたように思います。

Kazuki そうっすね。単純に激しいのには飽きちゃったのかもしれない。なので、いろんなところに目線がいくようになったというか。

Takahiro ホント探り探りですけどね。例えば8曲目の「eighty six」も普通の歪みじゃない感じで作ったら、どうだろうと思って。メタリックなギターではなくて、ポストロックみたいなギターを鳴らしてみたり。それも今回のアルバムで初めての試みなんですよ。

Eiji 自分たちで演奏してても不思議なときがあるんですよね。

Takahiro この曲がポリリズムになってるのも、偶然から生まれたんですよね。バウンスをミステイクして、ヘンな拍子になっちゃって。

Kazuki メロを付けたら、3拍子に4拍子のメロが乗っていることがわかって。

Eiji 3拍子に4拍子が乗ることがポリリズムって言うんだって、初めて知りましたからね(笑)。

このアルバムを聴いたら頭の中が麻痺しちゃうぜ

──そんな今作で、歌詞を通して伝えたいことは?

FACT

Hiro いつも曲を聴いて、その後に歌詞を乗せるんですけど、今の気持ちと曲の雰囲気を足していくと、孤独感や寂しさだったり……俺のテイストが出てると思います。コンセプトを決めて歌詞を書いたわけじゃなかったけど、そういう孤独感や寂しさの中にポジティブな部分を込めてるつもりなんですよ。今回は曲の中にシンガロングが入っていたり、前向きな要素もあると思うし。アルバム名は「バタフライ・エフェクト3」という映画を観ていたときに思いつきました。その映画に「burundanga」というキレイな花が出てくるんですけど、その花の匂いには毒があって、体が麻痺してしまうんですよ。そこから、このアルバムを聴いたら頭の中が麻痺しちゃうぜ、という意味を込めて付けました。

──なるほど。「死んでしまったとしても新しい人生を育てていこう」(「eighty six」)、「俺の体、骨(肉体)が無くなっても / お前の一部は俺の中にある」(「crying」)といった歌詞は、震災以降の耳で聴くと、ドキッとする内容ですが、これはどんな気持ちで書いたんですか?

Hiro そう捉えてもらうのもひとつの解釈だし、それが歌詞のいいところだと思うんですよ。100人いれば100通りの捉え方があるだろうし、いろんなふうに考えてもらうほうが書いてる側としてもうれしいので。ただ、アルバム全体を通して、ポジティブな表現をしているつもりではあります。

Kazuki 俺たちもいろんな音楽を聴いて、歌詞を読んでも、100%理解できてるわけじゃないから。聴き手にあまりこう聴けよ!とは言いたくないんですよね。自分なりに楽しんでほしいなと。

Eiji 俺もジャケや歌詞を見て、いろいろ考えながら聴くのが好きっすね。

Tomohiro 同じ曲を聴いて、元気が出る人もいれば、悲しむ人もいるだろうし、人それぞれでいいんじゃないですかね。

──歌詞も、ドキュメンタリー映画に通じるような人間臭い内容ですね。

Kazuki ああ、そうっすね。アルバムには、俺らの経験が詰め込まれているから、全てつながってると思います。そのつながりも楽しんでもらえたらなと。

FACT「FOSS」ビデオクリップ

FACT ニューアルバム「burundanga」 / 2012年1月11日発売 / 2690円(税込) / maximum10 / MXMM-10011

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CD収録曲
  1. FOSS
  2. 1000 miles
  3. pink rolex
  4. melt
  5. tonight
  6. polyrhythm winter
  7. eighty six
  8. crying
  9. mimic
  10. 1-4
  11. GSMD
  12. temptation
  13. give up - 日本盤 Bonus Track -
  14. empty mind - 日本盤 Bonus Track -

FACT ニューアルバム「burundanga」 / 2012年1月11日発売 / 2690円(税込) / maximum10 / MXMM-10011

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Disc.1:

Eat Your WordsまでのMUSIC VIDEO13作品を全て収録

Disc.2:

Documentary Film - a life of fact -(Special Edition)
RENTAL盤には収録されなかったUKTourの模様や同じく未収録となったKenYokoyamaやClosure In Moscow(AUS)をはじめとするコメントなどを収録したスペシャル盤

FACT ニューアルバム「burundanga」 / 2012年1月11日発売 / 2690円(税込) / maximum10 / MXMM-10011

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CD収録曲
  1. awakening and riot!!
  2. awakening and riot!!
  3. feeder ft.hitomi
  4. bring down your flags!!
  5. wish
  6. The Nights,
  7. turn new border
  8. air
  9. snow, forest, clock
  10. sooxxthsayer
  11. Born Slippy Nuxx ft.ADSKILLZ/SLICKLIPS
  12. Maxwell's demon
  13. warseeds
  14. Arms, Darkness and The World's End
  15. terminal for give
  16. L.astO.perationS.ystemT.ool
  17. Mark Prays◆Monster.
FACT(ふぁくと)

Takahiro(G, Vo)、Kazuki(G, Vo)、Hiro(Vo)、Eiji(Dr, Vo)、Tomohiro(B, Vo)の5人からなるロックバンド。1999年結成。2009年4月、フルアルバム「FACT」で全世界同時デビューを果たす。スラッシュメタル、グラインドコアなどの影響を感じさせるヘビーなサウンドに、ダンスロック、打ち込みなどの要素を取り入れたオリジナリティ溢れるサウンドで、幅広いリスナーからの支持を得る。2012年1月、4thフルアルバム「burundanga」をリリース。

sfpr(えすえふぴーあーる)

SG(B, Vo)とFZ(G, Vo, Programming)からなるロックバンド。バンド名は「SGとFZのPROJECT」からつけられた。元々作家として活動していた2人がお互いの楽曲に惚れ込み、2011年にバンドを結成。ロック、ダンス、打ち込みなどさまざまな要素をごった煮にしたアルバム「apocalypse」で2012年にデビュー。