DURDN特集|Spotify注目の気鋭ユニットが目指す、ワールドワイドな視点を持ったメインストリームの音楽

韓国をルーツに持つシンガーソングライターのBaku、プロデュースデュオ・tee teaとしても活躍するトラックメイカー・SHINTA、トップライナーのyaccoからなるプロジェクト・DURDNをご存知だろうか。

2021年の活動開始後すぐに12カ月連続で配信リリースを行い、その楽曲が多くのプレイリストにピックアップされたDURDN。今年は初のアニメタイアップとしてテレビアニメ「Buddy Daddies」のエンディングテーマを担当し、Spotifyが今年注目の次世代アーティストを紹介する「RADAR: Early Noise 2023」に選出された。

音楽ナタリー初登場となるこの特集では、グループ結成の経緯から、3人それぞれの音楽的ルーツ、DURDNとtee teaの両軸の活動を継続しているワケ、今後の展望について前後編に分けて紹介する。

取材・文 / 黒田隆憲撮影 / 森好弘

インタビュー前編

DURDN結成の経緯

──まずはグループの結成についてお聞かせください。SHINTAさんとyaccoさんはそれ以前からプロデュースデュオ・tee teaとしても活動していたんですよね?

SHINTA はい。僕とyaccoは音楽の専門学校時代からの付き合いになります。当時からyaccoはシンガーソングライターとして活動していて、僕はそのサポートメンバーとしてギターを弾いていたんです。その途中で僕自身も作編曲を並行して始めて、流れでyaccoの楽曲アレンジを担当することになって。彼女は自分で作詞作曲をしていたし、いいトップラインを書いていたから当時から「ソングライターチームとして一緒にやったほうが、僕はアレンジに集中できるし作曲の負担も減るかな」という気持ちもありました。

──なるほど。

SHINTA 実は最初にコンペで通ったIZ*ONEへの提供曲も、yaccoがかなり関わってくれていて。そんな中「よかったら一緒に活動しませんか?」と声をかけてスタートしたのがtee teaというプロジェクトなんです。

yacco 私は曲を書くのはすごく好きだったんですけど、自分が表に立ってライブをするのが実は苦痛で(笑)。ライブの日が近付くたびに「風邪を引いたり、喉が潰れて声が出なかったりしたらどうしよう……」と心配になるのが恒例だったんです。そうするとだんだん「自分はシンガーには向いてないのかな?」と思うようになって。でも自分の日常を曲にして消化していく作業は必要だなとも考えていて、そんなときにSHINTAが声をかけてくれたんです。

SHINTA

SHINTA

yacco

yacco

まさかこんな展開になるとは

──そこに韓国出身のBakuさんが加入して現在のDURDNになっていくと。Bakuさんは2019年に日本に移住したそうですね。

Baku はい。最初はワーキングホリデーを利用していて、1年滞在したあとに「学校に入ってみようかな」と思い、調理の専門学校に入学したんです。その頃から音楽活動をしたいという思いはありつつ、なかなか動けていなかったんですけど、当時のバイト仲間がyaccoさんの知り合いだったんです。それで自分の弾き語り動画を彼女に観てもらったら「一緒にやってみない?」と声をかけていただいて、それがきっかけでDURDNのメンバーになりました。

──韓国にいるときは、主だった音楽活動はしていなかったのですか?

Baku  GarageBandを使って趣味で曲を作る程度でした。当時はそんなに自信がなかったんですよね。日本に来てから2回ほど路上ライブもやってみたのですが、本格的な一歩を踏み出す決心はなかなかつかなかったです。yaccoさんに声をかけてもらって、「せっかくだからやってみるか」と決断しました。

──日本語は移住してから覚えていったんですか?

Baku いえ、韓国で軍隊に入った頃から勉強していて。勤務中もこっそり日本語の基礎ガイドブックを制服に忍ばせて読んでいました(笑)。入隊したときの同期が「1年くらい海外で暮らせる制度があるよ」と教えてくれて、だったらそれを利用していろんな国へ行ってみようと思ったんです。でも、単に海外旅行するだけだと言葉も通じないし大したことができないと思い、それで日本語を少しずつ勉強していきました。

Baku

Baku

──SHINTAさんとyaccoさんから見て、Bakuさんはどんな印象ですか?

yacco なんていうか、「恐れるものがない」という感じはしますね(笑)。

SHINTA そうだね。優しく中性的な歌声からは想像もつかないくらい大胆だしエネルギッシュだし、考え方も「男子!」という感じがします。

yacco 確かに。「『かわいい』とか言われたくない」とも言ってたしね(笑)。年齢的には、私とSHINTAが同い年でBakuは3つ下なんですけど、頼もしいなと感じるところはあります。

Baku 実際はそんなに大胆でもないんですよ(笑)。音楽の道を半ばあきらめるような形で調理の専門学校へ通っていたので。韓国から日本に移住して、まさかこんな展開になるとは思っていなかった。ライブをやったりレコーディングしたり、こんなふうにインタビューも受けさせてもらって本当にありがたいなと思っています。

DURDN

DURDN

──文化や習慣の違いに戸惑うことはないですか?

Baku うーん、今のところないですね。

SHINTA そっか、よかった!

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3人の音楽的ルーツ

2023年4月7日更新