MUCC×DEZERT「【Is This The "FACT"?】TOUR 2019」特集|V系シーンの分岐点に?千秋(DEZERT)、MUCC先輩との対バンを語る

MUCCとDEZERTの対バンツアー「【Is This The "FACT"?】TOUR 2019」が、1月7日に福岡・BEAT STATION公演からスタートした。

このツアーはDEZERTの千秋(Vo)が、先輩・MUCCに話を持ちかけて実現したものだという。今回はツアーに先駆けて首謀者の千秋にインタビューを行い、MUCCに対する思い、会場限定で販売されるコラボ盤、現在のヴィジュアル系シーンなどについて語ってもらった。

取材・文 / 森朋之

僕らにとってMUCCは特別なバンド

──MUCCとDEZERTの対バンツアー「【Is This The "FACT"?】TOUR 2019」が福岡、大阪、東京で開催されます。このツアーは千秋さんがMUCCに持ちかけたそうですね。

DEZERT

はい。MUCCにはDEZERT主催のイベント「This Is The "FACT"」に出演してもらったこともあるし、以前から交流があって。普通にカッコいいじゃないですか、MUCC。それで僕から逹瑯さん(MUCC / Vo)に「一緒にツアーやりませんか?」って話をしたら、すぐに「いいよ」と返事をもらったんです。お互いに押さえていたハコ(会場)を合体させたので、意味がわからないスケジュールになっちゃったんですけど(笑)。

──福岡2DAYS、大阪2DAYS、東京は変則的な4DAYSっていう。MUCCと対バンする意義はどんなところに感じてますか?

メリットはいっぱいあると思うんですけど、「MUCCの客を取ってやろう」みたいなことは思ってなくて。MUCCのお客さんとDEZERTのお客さんは世代も聴いてきた音楽も違うだろうから、たぶん交わらないんですよ。それがどんな雰囲気になるのかは楽しみですけどね。平日の対バンライブに来るお客さんは、たぶんコアな人たちだろうし。

──DEZERTのファンにMUCCを見せたいという気持ちもある?

それはないですね。僕らのお客さんはどうでもいいです(笑)。MUCCのお客さんもそうですけど、疲れたら帰ってもいいし、休んでもらってもいいので。そこは好きにしてもらえたらいいかな。

──(笑)。なぜ「Is This The "FACT"?」というツアータイトルに?

逹瑯さんが決めたんですよ。「This Is The "FACT"」を疑問形にしただけですけど、「めんどくさいから、これでいいか」みたいな感じ(笑)。僕らの主催イベントと差別化したいというのもあったのかな?

──DEZERT主催イベントの特別バージョンというか。

千秋(Vo)

そうですね。僕らにとってMUCCは特別なバンドなので。DEZERTにはレーベルメイトも同世代のライバルも先輩と呼べるバンドもほとんどいないんですが、MUCCだけは違って。まず、サウンドが好きなんですよ。学生の頃はthe GazettEとかアリス九號.(現A9)とか、いわゆるネオヴィジュアル系と呼ばれていたバンドが好きだったんです。MUCCは玄人向けというか、バンギャ目線的には「ヴィジュアル系というより、ロックバンドでしょ?」という感じだったんだけど(笑)。自分でバンドを始めてから改めて聴いて、カッコいいなと思ったんです。重たくて気だるい世界観がすごくいいし。曲を作るときも、いろいろ参考にしてるんですよ。MUCCの曲を細かく聴いて、「このドラムが跳ねる感じを取り入れたい」とか。あとはやっぱりミヤさんのギターサウンドですね。使ってる機材なんかも調べたりしてました。

──音楽的な影響もあるんですね。

はい。その後、制作の人を通してMUCCのライブを観に行かせてもらうようになって、いつの間にかウチのドラムのSORAくんがミヤさんと仲良くなって。逹瑯さんも兄貴肌だから、会うと「よお」みたいな感じで接してくれたり。そういう関係性のバンドはほかにいないし、これからも出てこないと思うんですよね。今回の対バンツアーも「これだけで終わらせたなくない」という心意気があって、それが会場限定で販売する音源につながってるんです。来年なのか、もっと先なのかわからないけど、この2バンドでイベントを続けたいし、今回限りにはしたくないので。

「自分が作った原曲のほうがいい」と思ってたけど……

──会場限定シングルの制作も千秋さんの提案なんですか?

そうです。ただ、スケジュールがエゲつなくて、制作期間は1週間くらいしかなかったんですよ。言い出したものの、「さすがに無理だろうな」と思ってたんだけど、スタッフから「とにかく曲を作ってみて」と言われて、「ガチャガチャムクムク」を作ったんです。歌詞も書いて、アレンジも全部作り込んで送ったら、ミヤさんから「やろう」という反応が返ってきたんですよ。これは自分の想像ですけど、ミヤさんが「けっこうガチで作ってきやがったな。じゃあ、俺もやってやるよ」と思ったんじゃないかなと。

──なるほど(笑)。それにしてもすごい曲ですね、「ガチャガチャムクムク」は。作詞・作曲は千秋さん、アレンジと演奏はMUCCですが、完成した楽曲を聴いてどう感じました?

完全にMUCCの曲になっちゃいましたね(笑)。僕が作った原曲はもっとポップだったんですよ。こういう曲は僕も普段書かないし、MUCCもやらないだろうなと思ってたんだけど、アレンジをお任せしたら、思い切り曲調を変えてきて。逹瑯さんのボーカルを想定して作ったのに「歌いづらい」とか言われるし……まあ、冗談っぽい感じでしたけど。たぶん、僕のクセみたいなものが出てるんでしょうね。原曲のバージョンもいいから、自分で歌ってDEZERTのアルバムに入れようかなと思ってます(笑)。

──歌詞については?

Sacchan(B)

歌詞は一字一句変えず、僕が書いたものをそのまま歌ってくれました。この歌詞、MUCCの歴史や内情を知っている人が聴くと涙するんじゃないかな。なんていうか、いろんなバンドの死にざまを見てきたと思うんです、MUCCは。復活したバンドとも対バンするし、そういう経験の積み重ねは、僕らとはまったく違いますから。めんどくさいこともあるに決まってるのに、ずっと続けているのもすごいじゃないですか。この歌詞にも、そういうリスペクトを込めてます。

──面白いタイトルとは真逆にシリアスな内容の曲なんですね。

僕も聴いててグッときますからね。最初は「自分が作った原曲のほうがいい」と思ってたけど(笑)、何度も聴いてると「MUCCのアレンジもいいな」って感じになってきて。それが一緒に作ることのよさですからね。普段は自分のためだけに書いてるので、こういう制作も面白かったです。「人のために書けば、すぐできるんだな」という発見もあったし(笑)。

ツアー情報
【Is This The "FACT"?】TOUR 2019
  • 2019年1月7日(月) 福岡県 BEAT STATION
  • 2019年1月8日(火) 福岡県 BEAT STATION
  • 2019年1月10日(木) 大阪府 クリエイティブセンター大阪 STUDIO PARTITA
  • 2019年1月11日(金) 大阪府 クリエイティブセンター大阪 STUDIO PARTITA
  • 2019年1月15日(火) 東京都 LIQUIDROOM
  • 2019年1月16日(水) 東京都 LIQUIDROOM
  • 2019年1月29日(火) 東京都 LIQUIDROOM
  • 2019年1月30日(水) 東京都 LIQUIDROOM
「【Is This The "FACT"?】TOUR 2019」
会場限定コラボレーションCD

DEZERMUCC「蟲 / ガチャガチャムクムク」
DEZERMUCC「蟲 / ガチャガチャムクムク」

[CD] 1000円
DCCA-1024

※限定生産につき、なくなり次第販売終了。

収録曲
  1. ガチャガチャムクムク
DEZERT(デザート)
DEZERT
2011年に結成された千秋(Vo)、Miyako(G)、Sacchan(B)、SORA(Dr)による4人組。2012年より音源を発表し始め、2013年8月に1stアルバム「特製・脳味噌絶倫スープ~生クリーム仕立て~」をリリースした。2013年にはhideのトリビュートアルバム「hide TRIBUTE III -Visual SPIRITS-」で「D.O.D.(DRINK OR DIE)」をカバー。2017年にはMUCC、D'ERLANGERのトリビュートアルバムに参加している。2018年に入ってからは主催ツアー「DEZERT Presents 【This Is The "FACT"】 TOUR 2018」を実施し、アルルカン、NOCTURNAL BLOODLUSTらと各地で対バンを繰り広げた。2018年8月にMAVERICK D.C. GROUPの新レーベル・MAVERICKより2年半ぶりのアルバム「TODAY」をリリース。同月よりライブツアー「DEZERT LIVE TOUR 2018『What is "Today"?』」を開催した。2019年1月にMUCCとツーマンツアー「【Is This The "FACT"?】TOUR 2019」を行う。