ナタリー PowerPush - Crustacea×茅原実里

大先生&みのりん コラボの歴史

茅原実里のためのアルバムなんだから

──こうして自身の作った曲が実際にCrustaceaの楽曲として完成したのを聴いて、どのような気持ちですか?

茅原 夢のようですね。このアルバム自体が私にとって夢のような作品ですし、ここに自分の作詞作曲した曲が入っていることが信じられないです。私の曲を入れることに頷いてくれた大先生に感謝ですね。

室屋光一郎

室屋 それは頷くでしょ。これはもうほとんど茅原実里のためのアルバムなんだから。

茅原 いやいやいやいやいや。

室屋 でも面白いですよね。これが「ずっと大好きだったB'zと共演できました!」とかならみんな納得すると思うけど、僕らですから(笑)。ファンの人はみんな首をかしげるんじゃないかな。

茅原 そんなことないよー!

室屋 だからこそ音楽でしっかり聴かせないとホントに「なんなんだろう?」ってなっちゃうんで、そのプレッシャーはありましたよ。

茅原 私は全然そんなこと考えてませんでした。ひたすら夢のようだったので。

ずーっとCrustaceaさんと作品を作りたかったんですもの

──茅原さんがCrustaceaのアルバムレコーディング直後、10月23日に書かれたブログを室屋さんは読まれましたか?

室屋 あー、はいはい。

──茅原さんがCrustaceaの大ファンであることを熱弁している、非常に長いブログ記事で。

室屋 これはすごいプレッシャーでしたよ。これって茅原さんのシングル「SELF PRODUCER」の発売前日なんですよ。なんてタイミングだと思って(笑)。ファンの人からしたらバースデーライブ(11月23日の埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演「MINORI CHIHARA BIRTHDAY LIVE 2012」)の直前、ニューシングルの発売前日で盛り上がってるときにですよ。

──あはははは(笑)。

茅原実里

茅原 だってちょうどレコーディングが終わったところだったし、思いは熱いうちに残しておきたいじゃないですかー。そのときの気持ちを素直に書き残しておきたいから。それだけうれしかったし、感動もしたのですよ。だって、ずーっとCrustaceaさんと作品を作りたかったんですもの。

──ブログには「時に優しく、時に厳しくしてくれる大先生の存在はとても大きい」ともありました。今日拝見した感じだとすごく仲良さそうな感じですけど、厳しく言われることもあるんですか?

茅原 ありますよー! 「なんでそんなヘタクソなの」「何年歌ってんの」とかよく言われる。

室屋 言わないよ! みんなに怒られちゃうんでここ書かないでくださいね(笑)。ちょっと毒舌なだけ(笑)。

茅原 あっはっは!(笑) そうそう。まあ仲がいいからこそというのもありますし、これだけ一緒に苦楽をともにしてきておりますしね。だってそもそも私のバンドに入るのだって、すごい決断だったわけでしょう? 私の音楽のスタイルにバイオリニストとして携わっていただいて。最初のツアーではゲネプロ(本番直前の全体リハーサル)のときに「これは無理だ」って思ったんだよね?

室屋 6ページほどもある楽譜が10曲以上あったし、そもそもロック編成のバンドの中でアンプを通して音を出すことがなかったから。そこは僕、反骨精神があるから結局やったんだけど「すごい依頼を引き受けちゃったな」という気持ちはありましたね。

茅原 最近はライブも超多いし、一緒にいる時間が長いんですよ。

室屋 今年は特に多かったからね。アルバム(2012年2月29日発売の4thアルバム「D-Formation」)のツアーがあって、8月の「SUMMER CAMP4」があって……その頃あたりからこのアルバムの制作が始まったのかな。

──今や「大先生のバイオリン」は茅原さんのサウンドに欠かせないものになっていますし、おそらく今後もこの関係性は続いていきますよね。

茅原 そうですね。

室屋 いやあ、1回さいたまスーパーアリーナで(2012年11月18日「MINORI CHIHARA BIRTHDAY LIVE 2012」)でドーンと見せたから、もう……。

──あれ? 温度差が……。

茅原 去るそうです(笑)。まあ人生何が起こるかわかりませんからね。

──では続くと過程して(笑)、今後を見据えた上で茅原さんから望むことや伝えておきたいことはありますか?

茅原 忘れ物をしないでください。

室屋 小学生かよ(笑)。

茅原 だってさいたまスーパーアリーナの大舞台なのにコンタクト忘れたんですよ? あり得ないでしょ!

室屋 だから見えなかったんですよねー。あの美しい景色がボヤーッとしか(笑)。

左から茅原実里、室屋光一郎。
ニューアルバム「Unification3 Melody feat. Minori Chihara」 / 2012年12月26日発売 / 3000円 Lantis LACA-15266
ニューアルバム「Unification3 Melody feat. Minori Chihara」
収録曲
  1. TERMINATED
  2. Dream Wonder Formation
  3. Celestial Diva
  4. Melty tale storage
  5. 純白サンクチュアリィ
  6. Lush march!!
  7. everlasting...
  8. 蒼い孤島
  9. Say you?
  10. 枯れない花
Crustacea(くらすたしあ)

プロフィール写真

東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校で出会った室屋光一郎(Violin)と向井航(Cello)が2006年に結成したインストゥルメンタルユニット。クラシックをベースとした新たなサウンドアプローチを得意とし、2006年6月に1stアルバム「偉大な芸術家への挑戦」、2009年9月にはアルバム「未だ降りつもる雪」を発表。のちに阿部篤志(Piano)を迎えた3人編成となった。室屋は声優アーティスト茅原実里の作品やライブにも多く参加しており、2010年4月には茅原の楽曲をCrustaceaがカバーしたアルバム「Unification ~Melody from Minori Chihara~」、2011年2月にはその第2弾「Unification2 Melody from Minori Chihara~nostalgia~」を発表。2012年12月26日にリリースされた第3弾アルバム「Unification3 feat. Minori Chihara」には茅原本人もボーカリストとして参加している。

茅原実里(ちはらみのり)

プロフィール写真

2004年4月にテレビアニメ「天上天下」棗亜夜役で声優としての活動を始め、同年12月にはアルバム「HEROINE」で歌手デビュー。2006年4月より放送されたアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の長門有希役で一躍注目を浴び、平野綾、後藤邑子と共に歌った同アニメのエンディングテーマ「ハレ晴レユカイ」は大ヒットによりゴールドディスクに認定された。2007年1月にはLantisより発売されたシングル「純白サンクチュアリィ」を契機に、本人名義による音楽活動を再開。以降、アニメソングを中心とした楽曲を数多く発表し、声優アーティストとして高い評価を集める。2010年5月には初の日本武道館ワンマンライブを大成功に収め、2011年3月には「第5回声優アワード」歌唱賞を受賞した。2012年2月にはアルバム「D-Formation」を発表。10月24日にシングル「SELF PRODUCER」をリリースした。2004年にオープンしたオフィシャルブログ「minorhythm(ミノリズム)」は、現在までほぼ休むことなく毎日更新中。