クレノア特集|楽曲自作の歌い手グループが結成4周年ライブで見せる新たな景色 (2/2)

クレノアだからできること

──そうして2020年5月にグループとしての活動が始まったわけですが、コロナ禍の始まりとほぼ丸かぶりのタイミングで。

スタンガン そうなんですよ……! 5月9日に4人でのライブを予定していたんですが、開催できなくなってしまって。本当はそこで大々的に「しるぐりしゃけんがんからクレノアになります! 僕ら、このグループ名でやっていきます!」と発表する予定だったんです。

まるぐり 結局オンラインでの発表になってね。4人でのライブ自体はその前の年に一度しるぐりしゃけんがんとして開催してはいたんですけど、「ちゃんと歌い手グループとしてやっていくぞ!」と決意しての1発目がコケたのはけっこうなショックでしたね。

──でも無責任な第三者目線からすると、ドラマチックな始まり方だなと感じます。挫折から始まるアニメの第1話みたいというか。

まるぐり 確かに(笑)。

しゃけみー まあ、今考えればそうですね。

スタンガン ただ僕らの場合は主戦場がインターネットだったこともあって、必ずしも4人がリアルに集まらずとも声を届けられるところがあって。そのおかげでどうにかメンタルを保てていたんじゃないかと(笑)。

まるぐり 歌い手ならではの強みが一番生きたところかなって。

しゃけみー それに加えて、これは本当にたまたまなんですけど、ちょうどその頃に歌い手グループを組むブームが起こったんですよ。我々としては世間の流れに乗っかって組んだわけじゃなかったのに、結果的に乗っからせてもらえた(笑)。それは幸運だったなと。

しゃけみー

しゃけみー

スタンガン そういったいろんなタイミングが重なったこともあって、より動画配信に力を入れるようになりました。ちょっとふざけて歌ってみたり。

しゃけみー 我々が最初に注目してもらえた“歌ってみた”動画が「“な”と言ったらアホになる」という世界のナベアツさんリスペクト企画だったんですけど、そんなふうにかなり変なこともやってるんですよ。普通だったら誰か1人くらい嫌がる人がいてもおかしくないような突飛なことでも、クレノアではみんなやってくれるので(笑)。

しるばーな でも、僕は最初に「アホになったら面白くない?」と言われたときは「おもんなさそう!」と思いました。

一同 あははは。

しるばーな それまでそういうふざけたことを全然やってこなかった人間なので、それをやった結果どういう形になるのかを想像できていなかったんです。ただ「想像はできないけど、お前が面白いと思うんだったらたぶん面白いんだろう」とやってみる気にはなれた。そんなふうに自分では到底思い付かないような企画に挑戦できたりするのも、グループ活動ならではですごくいいなと思ってます。

しゃけみー 4人それぞれがバラバラに持ってきたものが、思いのほかスムーズにハマることが多いんですよ。考え方や感じ方が近いんだろうなと思います。そしてありがたいことに、コロナ禍にネット上でたくさんの方に動画を観てもらえるようになって。

スタンガン 結成当初はオリジナル楽曲中心でやっていこうと思っていたんですけど、それだけやっていても生き残れないなと。やっぱり自分たちは“歌ってみた”文化に育てられたので、そこは大事にしていきたいなと思ってます

──実際、本格的なオリジナル曲を自前で用意できるというのはクレノアの武器ではありますよね。歌い手グループとしてはかなり珍しい特性だと思います。

しゃけみー 珍しいですね。相当珍しい。

スタンガン しかも、しるばーなは編曲までこなしますから。

しるばーな 僕に音楽を作る機会を与えてくれたのがクレノアなんですよ。1人でやってたらここまで曲を書いてなかったと思うし、内々に秘めていた思いを歌詞として表に出すような機会もなかった。それによって僕自身、今までなら思っていても言わなかったことを言うようになったり、性格すら変わったと思っていて。なので今後も、音楽や配信を通して自分自身のことやクレノアのことをいろいろ伝えていきたいです。

──そんな中「どうやってさらに楽しませるか」を皆さんが常に意識しているのがすごいなと。

しゃけみー やっぱり“歌ってみた”文化の中で10年以上活動してきているので、そこで培ったものもグループに注いでいきたいなと。カバー動画を増やしたり、取っつきやすい企画をやったりすることで、結果的にオリジナル曲を聴いてもらう機会も増えました。

まるぐり 単純に楽しいからというのもあるしね(笑)。

ライブは成果物を見せる場

──そんな皆さんですが、6月8日に東京・Spotify O-EASTにて結成4周年ワンマンライブを控えています。そもそもですけど、クレノアにとってライブ活動とはどんな意味を持つものですか?

スタンガン 生で披露してお客さんの反応をもらうことで、インターネット上で表現してきたものがやっと完成する場なのかなと自分的には思っていますね。

しゃけみー 確かに。ライブをやることで聴いてくれる人の数を増やそうという意識よりは、ネット上でやってきた成果物を見せる場としての意味合いが強いのかもしれない。こういうライブをするのは年に1、2回なので……。

まるぐり 決算報告みたいな(笑)。

しゃけみー 「この1年でこんなに大きくなりました」という成果をね(笑)。で、「来年もよろしくお願いします」みたいな。確かに気持ちとしてはそれに近いかも。

しるばーな 僕はオープニングSEの制作とかも担当していて。いかにしてクレノアの世界観を伝えられるかを考えているので、僕個人としてはある種の作品発表の場でもありますね。

しゃけみー 例えば去年の1月にCLUB CITTA'で開催した「Advent Clover -王国のクレノア-」というライブでは、みんなで王様の衣装を着たり、コンセプトを大事にした見せ方をしたんですよ。彼はそういったコンセプトも音として形にしてくれるんです。

しるばーな でも僕が案を出すというよりは、みんなから出てくる案を受け取って「たぶんこういうことだよね?」と形にするというやり方で。今も6月のライブに向けて、せこせこやっています(笑)。

しるばーな

しるばーな

──その4周年ライブは、どんなステージにしたいですか?

スタンガン クレノアとしては、そもそもまず“結成ライブ”をできなかったところから始まり、無観客ライブを経て制限付きの有観客ライブ、そして声出し解禁と、徐々にステップアップしてここまで来た感覚が強いんですよね。今後も上に登り続けたいので、4周年ライブでも着実に進むことができるようにがんばります。

しゃけみー 僕は個人的に、一番難しいのは継続することだと思っていて。クレノアに限らず、どんなことでも「3年続くかな?」「続いたら、そのあとはどうかな?」という思いが常に漠然とあるんですけど、その意味でクレノアはすごくうまくやっていけている感触があります。その中で周年ライブは、リスナーの人たちのおかげもあって継続できたことへの感謝の気持ちを伝えられる場なので、今度の4周年ライブもまずはそういった気持ちを伝えつつ、また5周年6周年と続けていけるようにくさびを打っていきたいです。

まるぐり この4人の中だと、ライブ歴という意味では僕が一番経験が少ないんです。その中で去年はクレノアとして東名阪ツアーも回って、場数を踏ませてもらうことができて、ようやく心の余裕が生まれてきたというか。やっと平常心でステージに立ってライブを楽しめるようになったので、楽しんでいる姿を見せられたらいいなという気持ちがありますね。

しるばーな さっき王様コンセプトの話をしましたけど、今度のライブは“和”がコンセプトになっています。絶対に前回の「王国のクレノア」を超えるものにしたいと思っているので、コンセプトライブとしてさらにクオリティを1段階上のものにするべく、今まさにがんばっているところです。

4周年ライブでまた新たな景色を

──では最後に、皆さんが今後クレノアで成し遂げたいことを聞かせてください。

しゃけみー やっぱり規模感を大きくしていきたいという気持ちはありつつ、さっきも言ったようにまずは継続することを大事にしたいと個人的には思ってますね。

スタンガン 自分らも楽しみつつ、リスナーのみんなにも楽しんでもらえる空間を作っていきたいと常々思っておりまして。4年続けてこられた今、見てくれる人が増えていっている実感もありますし、その楽しい空間をずっと作り続けていきたいです。一緒に楽しんでいきましょうの精神ですね。

──こういう質問をすると多くのアーティストさんが「日本武道館に立ちたいです!」みたいなことを言うんですけど、クレノアはそういう具体的な目標は設定していないんですか?

スタンガン そうですね。僕としてはあまり生き急ぐのが得意なほうではないので、一歩一歩ゆっくり進んでいってもいいのかなと思っていて。でも、志は高く持っています。

──すごく地に足のついた発言で、素晴らしいですね。

しるばーな あははは。

まるぐり 歴が出ちゃってるよね(笑)。

スタンガン いやでも具体的な目標はさておき、この4人が組んだことで新たな景色を見せられてきた実感はすごくあるんですよ。この4周年ライブでもまた新たな景色を見せられるんじゃないかと思っているので、楽しみにしていてください。

プロフィール

クレノア

しるばーな、まるぐり、しゃけみー、スタンガンの4人からなる2020年5月結成の歌い手グループ。しるばーなを中心に、メンバーが作詞作曲を手がけている。2021年2月に1stアルバム「Advent Ø」、2022年10月に「ADVENT P4RADE」を発表。2023年6月には1st EP「4CTive!!!!」をリリースした。2024年6月に結成4周年記念ワンマン「CleeNoah 4th Anniversary Live ~四ノ葉爛漫物語~」を行う。