ナタリー PowerPush - BOOWY
大根仁×津田大介×℃-ute岡井千聖 世代を超えたファン座談会
どの作品もやっぱりBOOWY
──解散から20年以上経っても多くのファンに熱狂的に支持され、フォロワーを生み出し続けていて。その理由はなんだと思われますか?
津田 そうですね……。リリースされたオリジナルアルバムは6枚なんですけど、それぞれの音楽性がぜんぜん違うんですよ。氷室さん、布袋さんが影響されていた音楽も時期によって変わってたんだと思うし、アルバムのたびに新しいチャレンジをしてた。でも、「やっぱりBOOWYだよね」っていうところはちゃんとあって、それは氷室さんの声と布袋さんのギターなんですよね。僕もいろんなバンドのアルバムを聴きましたけど、あれだけギターソロが“歌える”人っていないですから。もうひとつは、一番テンションが高い時期にパッと解散したことじゃないですか。みんなが「これからどこまで行くんだろう?」って思ってたときに、なんの未練もなく辞めるっていう。だから、これだけ多くの人の心に焼き付いてるんだと思いますね。
大根 「売れたらやめる」っていうのは、最初から決めてたみたいですね。
──岡井さん、「売れたら解散」っていう美意識ってどうですか?
岡井 ぜんぜんわからないです(笑)。
大根 売れたらもっと売れたいよね(笑)。
本当に復活したらショックを受けるかも
──1987年の解散宣言の様子を記録した映画「1224 FILM THE MOVIE 2013」も話題を集めてます。確かにすさまじいインパクトでしたよね。「もう2度と見れないだろうな」という思いも含めて…。
津田 氷室さんがBOOWYの曲のコンサート(「東日本大震災復興支援チャリティライブ KYOSUKE HIMURO GIG at TOKYO DOME "We Are Down But Never Give Up!!"」)をやったり、布袋さんのライブにGLAYのTERUさんが来てBOOWYの曲をやったりすることもあるけど、そのときは興奮しつつも、やっぱり何か足りない感じがしちゃうんですよね。「もう1回やればいいのに」って思うこともあるけど、やらないでしょうね。
岡井 もちろん「観てみたい」っていう気持ちもあるんですけど、今本当に復活したら、ショックを受けるかもなって。
大根 そこは難しいよね。
岡井 「観たい」っていう人はたくさんいると思いますけど……。伝説がずっと続いているような今の感じがいいのかなって。
津田 BOOWYといえば歌詞も魅力ですよね。氷室さんはソロになってから自分で歌詞を書いてなくて、作詞家と組むようになったじゃないですか。
大根 あ、そうだね。
津田 氷室さんの歌詞の世界を楽しめるのも、BOOWYだけなんですよ。しかも、作品ごとにどんどん変化してますからね。最初はストレートなパンクだったんだけど、3枚目(「BOOWY」)あたりからは“サビに印象的な英語を持ってくる”っていうスタイルになってきて。歌詞の書き方についても、その後のバンドにすごく影響を与えてますよね。
岡井 BOOWYさんの歌詞はすごいですよね、ホントに。最近のわかりやすくて聴きやすい歌詞もいいんですけど、氷室さんの歌詞には「こういう言葉の使い方があるんだな」みたいなことがたくさんあって、すごくステキなんですよね。
BOOWYからもっとロックを聴いてほしい
──今回のベストをきっかけにして、初めてBOOWYの音楽に触れる若い世代も増えそうですね。
津田 ベストを聴いた後は、ぜひオリジナルアルバムに行ってほしいですね。「PSYCHOPATH」「BEAT EMOTION」「JUST A HERO」というふうにさかのぼって聴くのも面白いと思うし。あと、文献や当時の記事はいくらでも読めると思うから、その頃に彼らが聴いていたアーティストも一緒に聴いてみると、すごく広がるんじゃないかな。僕もそうなんですよ。布袋さんがやってたラジオ(NHK FM「布袋寅泰のRadio Pleasure Box」)で紹介された曲をまとめたディスクガイドがあるんですけど、そこに載ってたアルバムを片っ端から聴くことで、自分の音楽の世界が広がったので。
大根 なるほど。でも、当時のBOOWYを見ていた立場からすると、あのときの疾走感はなかなか伝わらないと思うんですよね。いくらここで「すごかったんだよ」って言っても、若い人たちは素直に受け取ってくれないだろうし。やっぱり、岡井さんみたいな若い人がカバーして、それを聴いた人が「いいな」って思うほうがいいんじゃないかなって。
岡井 ありがとうございます。なるべくカッコよく歌えるようにがんばります(笑)。今って、ロックを聴く人と聴かない人が分かれちゃってると思うんですよ。BOOWYから入ってもらって、もっとロックを聴いてほしいですね。
大根仁(おおねひとし)
1968年生まれ、東京都出身。演出家、映像ディレクターとしてさまざまなドラマやビデオクリップを手がける。代表作は「劇団演技者。」「週刊真木よう子」「湯けむりスナイパー」など。2010年夏に放送されたドラマ「モテキ」のヒットによりその名を広く知られるようになる。2012年は映画監督デビュー作となる映画版「モテキ」が公開された。2013年1~3月には脚本・演出を務めたドラマ「まほろ駅前番外地」が放送され好評を博した。
大根仁 最新作「恋の渦」東京・オーディトリウム渋谷にて上映中!
2013年4月8日(月)~12日(金)18:20 / 4月13日(土)21:00 / 4月16日(火)21:00 / 4月19日(金)21:00
津田大介(つだだいすけ)
1973年生まれ、東京都出身のジャーナリスト、メディアアクティビスト。早稲田大学社会科学部卒業。関西大学総合情報学部特任教授、早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース非常勤講師、東京工業大学リベラルアーツセンター非常勤講師を務める。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門に執筆や講演活動を行う。J-WAVE「JAM THE WORLD」ではナビゲーターを担当するなど幅広く活躍。著作に「ウェブで政治を動かす!」「Twitter社会論」などがある。
津田大介最新書籍「Tweet&Shout ニュー・インディペンデントの時代が始まる」発売中
岡井千聖(おかいちさと)
1994年生まれ、埼玉県出身。アイドルグループ℃-uteのメンバーとして、2007年2月にシングル「桜チラリ」でメジャーデビューする。グループの一員として活動する一方で、YouTubeに自身のダンス動画を公開し大きな反響を呼んだり、2011年にはソロライブを行ったりするなどグループの枠にとどまらない活躍をみせている。2013年9月10日の“キュートの日”に初の日本武道館単独公演を開催する。
℃-ute最新シングル「Crazy 完全な大人」発売中
- ニューアルバム「BOOWY THE BEST "STORY"」/ 2013年3月21日発売 / 3000円 / EMI Music Japan / TOCT-98027
- ニューアルバム「BOOWY THE BEST "STORY"」
DISC1
- IMAGE DOWN
- NO.NEW YORK
- ON MY BEAT
- DAKARA
- FUNNY-BOY
- DREAMIN'
- BABY ACTION
- ホンキー・トンキー・クレイジー
- BAD FEELING
- CHU-RU-LU
- ハイウェイに乗る前に
- CLOUDY HEART
- "16"
- わがままジュリエット
- JUSTY
- ミス・ミステリー・レディ(VISUAL VISION)
- LIKE A CHILD
DISC2
- B・BLUE
- ONLY YOU
- WORKING MAN
- RAIN IN MY HEART
- DRAMATIC? DRASTIC!
- SENSITIVE LOVE
- LIAR GIRL
- LONGER THAN FOREVER
- MARIONETTE
- PLASTIC BOMB
- FANTASTIC STORY
- MEMORY
- 季節が君だけを変える
<BONUS TRACK>
- NO.NEW YORK<12インチversion>
- CLOUDY HEART<Single Version>
BOOWY(ぼうい)
1980年代に活躍した、氷室京介(Vo)、布袋寅泰(G, Cho)、松井恒松(B)、高橋まこと(Dr)の4人からなるロックバンド。1981年に結成され、1982年にアルバム「MORAL」でメジャーデビュー。ニューウェイブを取り入れた先鋭的なサウンドや、スタイリッシュなファッションなどで全国的な人気を博す。代表曲は「わがままジュリエット」「ONLY YOU」「ホンキー・トンキー・クレイジー」「B・BLUE」など。人気絶頂のさなかの1987年に突然解散を発表し、翌1988年4月5日の東京ドーム公演をもって解散。しかし彼らのフォロワーは多く存在し、解散から25年以上が経つ今も新たなファンを生み出し続けている。