Blue Vintage × Def Tech対談|なぜブルビンは“憧れの先輩”と今このタイミングでコラボできたのか (2/2)

Microが思う“日本で恐ろしいアーティスト3強”

──Def Techから見たBlue Vintageの魅力は?

Micro 僕の中で“日本で恐ろしい3強アーティスト”がいまして、まずはBlue Vintage。そしてRickie-G。最後はどんぐりず。若い世代にDef Techが刺激を受ける瞬間を感じることがよくあるんです。Jくんみたいに日本語も英語もバッチリのバイリンガルで歌う人って僕らが出現するまでほとんどいなかったし、それを1人でやっちゃってるわけだから。Blue Vintage、Rickie-G、どんぐりずは音楽センスが素晴らしく才能があるうえに心が乗っかっているからとても強い。Shenと僕はJくんがレコーディングしているときに、Blue Vintageから何か吸収しようとずっと観察していました。今も彼らからグルーヴを盗んでますよ。すごくいい意味で恐怖の存在です。ちなみに日本で最強だと感じているアーティストはRIZEでも活躍しているJESSEです。ただJESSEは同級生で僕らDef Techというユニットの名付け親でもあるから、恐ろしいとはちょっと違う特別な存在なんですよね。

Shen Microとは長年コミュニケーションを取ってきて積み上げてきたものがあるけれど、Blue Vintageの2人とはもうすでに“ブラザーズ”って感じなんです。いい力の抜け具合で笑い合うことも多いけれど、それと同時にすごくしっかりしている。“ふざける”と“真面目”のバランスがとてもいいんです。僕たちが20年かけて作ってきたものをこの2人はすでに持っているんだよね。うらましいなと思いつつMicroが言ったように吸収できるところは吸収して、僕らも影響を与えてお互いが進化できたらいいと思います。

Micro(Def Tech)

Micro(Def Tech)

Shen(Def Tech)

Shen(Def Tech)

レーザービームのようなハーモニー

──「Mother Land」の作詞作曲クレジットには全員の名前が書かれてますが、曲のアイデアはJ.Speaksさんから生まれたものなんですよね?

J.Speaks 主軸は自分の頭の中にあったものなんですけど、まずTaigaとサウンドを形にして、Def Techに聴いてもらってアイデアを出し合い、歌詞の世界観を構築していきました。彼らがフレキシブルに対応してくれたおかげでスムーズに完成することができたので、クレジットは全員の名前にさせてもらって。プロデューサーとして僕らと昔からつながりのあるSUNNY BOYが参加してくれて、自分が思う最強のチームで作りました。

Blue Vintage。左からJ.Speaks(Vo)、Taiga(G)。

Blue Vintage。左からJ.Speaks(Vo)、Taiga(G)。

Micro まずJくんが宇宙語で歌っているデモが素晴らしかったよね。それを聴いているだけで自然と歌詞が出てきたし、ShenもJくんの宇宙語からインスピレーションを受けて、まるで彫刻を掘るような感じで美しく作り上げていった。僕の場合は「どうしたら日本語の美しさがここに加わるかな」と考える感じで。

Taiga Blue VintageになくてDef Techにあるものはハーモニーだと思っていて。Jくんを含めた3人でハーモニーを奏でることはこれまでのコラボ作品ではなかったし、それをすごく楽しみにしていました。曲が完成してみると3人の声が合わさったときの宇宙に1つしかないグルーヴやサウンドというのは、自分が想像していた以上の感動があって。今までに感じたことのないほどマッチしていて、ミックス音源を聴きながらめちゃくちゃ感極まりましたね。

Micro Jくんの持っているフロウが優れていて、仮歌の宇宙語にも独特のものがあるから、僕もパッと歌詞が出てきた。Shenとはこれまでずっとハモってきたけれど、男3人の3声でハモることはこれまでなかったので新鮮でしたね。自分の声に自分の声でハモリを重ねてもレイヤーにはなるけれど、個性は強くならないんです。

──厚みこそ出るけれど他者の声と混じったときのような化学反応は得られないということ?

Micro そうです。「Mother Land」のサビで楽しめるレーザービームのようなハーモニーって絶対に1人では表現できないんですよ。自分の声をモノマネするように変えても周波数の成分は一緒だから。ShenのクリスタルボイスとJくんのハスキーさと僕のダーティな感じが混ざることで竜巻みたいなものが起こっていたし、そこはすごく面白かったかな。

Shen 今の“レーザービームのようなハーモニー”って言葉ヤバイっすね。表現力が半端ねえ。

一同 ははは。

MVでは初めてのドローン撮影

──Blue Vintageがさらに1歩前に進むために作られたDef Techとのコラボ曲。そういう意味で推進力が感じられるこの楽曲が生まれたのはどこか必然という感じもしますね。

J.Speaks そうですね。「Mother Land」の歌詞では、誰しもがまず未来に向かって旅立っていくけれど、その過程の中でそれぞれが帰るべき場所に戻ったり、帰る場所を新たに作ったりする──そんなことを歌っています。壮大なサウンドの世界観にふさわしい歌詞が紡げたと思うし、いい曲ができたなと手応えを感じています。

Micro これはディズニー映画や「ジャングル大帝」シリーズの主題歌にぴったりの楽曲だと思うんだけどね。

Shen ははは。

──千葉・館山でミュージックビデオの撮影が行われているそうですが、どんな作品になっていますか?(※取材はMV撮影の日にリモートにて実施)

Taiga Blue Vintageとしては初めてドローンを使ってMV撮影をしました。レコーディングのときにみんなで卓を囲んで、YouTubeに上がっているドローンワンカット撮影のMVを観ながら「これを俺らがやったらやばいね……!」と盛り上がったんです。それをレーベルの人に伝えたらとんとん拍子で撮影することになりました。これも曲に合った壮大なイメージの作品に仕上がっています。

──1つのアイデアがきっかけになって動き出したんですね。

Taiga そうですね。Microくんがアイデアを出してくれたことがきっかけだったんですけど、うちらもドローンを使ったことはこれまでなかったし、新しいことをやっていきたいという思いは常にあるので、だったらチャレンジしようと。

──自然の中での撮影だそうですが、ハプニングはありませんでしたか?

J.Speaks すごくスムーズに進みましたけど、唯一怖かったのは山の中で撮影をしているとき、デカいマムシがいたことくらいかな。

Micro マムシ!? マジ? 怖っ!

J.Speaks 横を通っていって、めっちゃ怖かった。

Taiga うねりながら登っていったよね(笑)。大自然ならではの恐怖がありましたけど、おかげでスケールの大きな映像が撮れたと思います。

──これからBlue VintageとDef Techという2組がコラボしながらどんどん広がりを見せていく可能性を大いに感じました。

Shen 実はJくんだけじゃなくてTaigaも歌えるんだよ。今度一緒にステージに立つときはマイクを4本用意しようと思ったくらいで(笑)。Blue Vintageが持つバイブスとミュージシャンシップとDef Techが合わさったら何か面白いことが起こるかもって考えています。

Blue VintageとDef Tech。

Blue VintageとDef Tech。

Blue Vintage 公演情報

Blue Vintage LIVE 2024 ~Wave Creation~

「Blue Vintage LIVE 2024 ~Wave Creation~」

2024年9月8日(日)東京都 WWW X
ゲスト:CHICO CARLITO

プロフィール

Blue Vintage(ブルービンテージ)

J.Speaks(Vo)とTaiga(G)によるサーフ系ユニット。2013年結成。2015年9月に1stアルバム「PURPLE」をリリース後、鈴木愛理×Blue Vintage名義のシングル「Apple Pie」、「アルゴリズム feat. SALU」、「Shomonai feat. 関口シンゴ」、「Blue Clock feat. CHICO CARLITO」など発表し、さまざまなアーティストとコラボしている。2024年7月にDef Techを迎えた「Mother Land feat. Def Tech」を発表。9月にはCHICO CARLITOをゲストに迎えたワンマンライブ「Blue Vintage LIVE 2024 ~Wave Creation~」を東京・WWW Xにて開催する。

Def Tech(デフテック)

ハワイ育ちのShenと東京出身のMicroによる“Jawaiianスタイル”のユニット。2005年にアルバム「Def Tech」でデビュー。280万枚を超えるセールスで当時の国内インディーズの売り上げ記録を塗り替えた。以後、自由なスタイルの音楽活動を繰り広げ、ハワイや台湾など海外でも公演を行う。2020年11月に10枚目のアルバム「Powers of Ten」を発売。その後もコンスタントに作品を発表し、2024年7月にJQ(Nulbarich)をプロデューサーに迎えたシングル「FANTASY」を配信リリースした。8月24日の東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)を皮切りに「What The Frequency Tour」で全国を回る。