ナタリー PowerPush - BABYMETAL

SU-METAL×SuG武瑠が異ジャンル対談

BABYMETALが2013年1月9日発売のシングル「イジメ、ダメ、ゼッタイ」でメジャーデビューを果たす。今年の夏は「TOKYO IDOL FESTIVAL 2012」をはじめとするアイドルイベントへの出演に加え、「SUMMER SONIC 2012」出演やSuGやたむらぱんといった他ジャンルのアーティストとの競演で着実に知名度を高めた彼女たち。10月6日に東京・Shibuya O-EASTで行われた初のワンマンライブも大成功を収めるなど、その勢いはとどまることを知らない。

そんなBABYMETALが、ロックシーンの先輩アーティストたちからさまざまなことを学ぶ対談企画がナタリーPower Pushにてスタート。第1弾には8月に東京・WWWで対バンしたSuGのフロントマン・武瑠(Vo)をSU-METAL(Vo, Dance)が迎え、お互いの印象から今後のコラボレーションの可能性までじっくり語ってもらった。

取材・文 / 西廣智一 撮影 / 佐藤類

BABYMETALは今の主流とは異なるアイコンっぽいアイドル像

──まず武瑠さんはどういうきっかけでBABYMETALを知ったんですか? 

写真は左から武瑠、SU-METAL。

武瑠 うちのyuji(G)がすごいアイドル好きで、その流れで教えてくれたんです。たまたま音楽雑誌を読んでたときにさくら学院が載っていて、yujiが「この子たちは部活をやっていて、その中に重音部(=BABYMETAL)っていうのがあるんだよ」ということを解説してくれて(笑)。そうこうしてるうちに、夏には対バンが実現したんです。

──武瑠さん自身はアイドルには詳しくない?

武瑠 そんなに詳しくないですね。でも最近のアイドルって昔と比べるとより人間っぽいんだなと思っていて。昔のアイドルってあまり現実感がないものだったと思うんですけど、最近は「私もこうなりたい。こういうことをすれば自分もなれるんじゃないか」という親近感があって、女の子が女の子として憧れることも多いですよね。それが今の主流だと思ってたんです。でもBABYMETALは今のアイドルの主流とは異なる、もっとアイコンっぽいアイドル像というか。無機質な感じがして、例えば普段練習してる姿とか楽屋で弁当を食べてる画とかが想像しにくいんですね。

SU-METAL あははは(笑)。

武瑠 ちょっとしたCGやアニメというか、そういう感じがしました。

──BABYMETALはライブでもほぼしゃべらないから、余計にそういうイメージが強いのかもしれないですね。

SU-METAL そうですね。MCは一切ないですし。

武瑠 ああ、なるほど。そういうところもあるのかもしれないですね。だからBABYMETALの場合はがんばってる女の子に対しての応援というよりは、アニメのキャラクターを好きになるような印象が強いんです。

SuGは自分の中にあった「楽器を演奏して歌う」イメージとは違った

──SU-METALさんはSuGに対してどういう印象がありますか?

SU-METAL

SU-METAL すごく面白くて、ライブ映像を観ていても普通に笑っちゃったりして。客席を観るとすごくグチャグチャしてるように見えるんだけど、でも一体感があるようにも見えるんです。音楽もいろんなジャンルがごちゃまぜになっていて、そういうところが本当にすごいなと思いました。

──いろんなバンドがいる中で、SuGはちょっと違う感じがする?

SU-METAL そうですね。私もそんなにいろんなバンドさんを知ってるわけじゃないけど、SuGは自分の中にあった「楽器を演奏して歌う」みたいなイメージとは違うこともやってるなって。新しい発見をした感じがあります。

武瑠 ライブDVDを観てくれたんですか。どれを観てくれたのかな?

SU-METAL 「VIP POP SHOW.」(2012年3月発売)です。

武瑠 ああ、一番ネタっぽいというか(笑)。あのニュース番組の映像が出てくるやつですよね?

SU-METAL そうです。

武瑠 あの架空のニュース番組は小説にも出てくるんですよ。

──SuGの面白いところは武瑠さんがアルバムのストーリーの元として小説を書くことなんです。

SU-METAL え?

武瑠 アルバムの曲順どおりに進んでいく小説を書くっていうか、元々そのストーリーを考えてからアルバムの曲を書いていくんです。

SU-METAL すごい!

武瑠 自分たちで考えて発信できる場がせっかくあるんだから、いろいろリンクさせたいんです。その曲に合わせて服をデザインするのもそのひとつですね。

BABYMETALは音楽業界周辺での人気が高い

──武瑠さんはBABYMETALのファンの前でライブをしたときの印象を覚えてますか?

武瑠 楽しもうって気持ちがすごく伝わってきましたね。最初はちょっと怖いイメージがあって、ステージに出て行った瞬間に「ブー! ブー!」みたいに言われるのかと思ったけど全然そんなことなくて。自分たちのファンよりも楽しんでた印象があります。

──アイドルファンってそのへんの柔軟性があるというか、アイドルと一緒にステージに立つ人たちにも同じように声援を送ってくれる人が多いと思うんです。この空間を一緒に楽しもうという気持ちが強いのかもしれませんね。

武瑠

武瑠 とにかくビックリしましたね。だからあのイベントをやってから、もっと意欲的にいきたいなって思いました。

──あの日のイベントはSuGとBABYMETAL、たむらぱんというすごくバラバラな3組が出演しましたが、実は観終わったときにそこまでバラバラとは感じなかったんですよ。

SU-METAL そうなんですか?

──3組ともちょっとストレンジなことをやってるんだけど、1周回って実はものすごいど真ん中の王道みたいな。ジャンルこそ異なるけど、そういう人たちなんじゃないかという気がしました。

武瑠 SuGはBABYMETALほどストレンジなことをやってる気持ちは一切ないですけどね(笑)。

SU-METAL あははは(笑)。

武瑠 でもあの日は観に来た友人知人がめちゃくちゃ盛り上がってましたよ。友達のDJもBABYMETALにすごくハマっていて、その人のイベントに行くと「君とアニメが見たい、アニメが見たい」って曲(「君とアニメが見たい~Answer for Animation With You」)がかかってましたし。そういう音楽業界周辺の人たちからの人気はとても高いと思います。

メジャーデビューシングル「イジメ、ダメ、ゼッタイ」 / 2013年1月9日発売 / TOY'S FACTORY
「イジメ、ダメ、ゼッタイ」初回限定盤 "I"盤
初回限定盤 "I"盤 [CD+DVD] 1800円 / TFCC-89404
初回限定盤 "D"盤 [CD+DVD] 1800円 / TFCC-89405
初回限定盤 "Z"盤 [CD+DVD] 1800円 / TFCC-89406
通常盤 [CD] 1200円 / TFCC-89407
CD収録曲
  1. イジメ、ダメ、ゼッタイ
  2. (未定)
  3. イジメ、ダメ、ゼッタイ(カラオケ)
  4. (未定)(カラオケ)
初回限定盤 "I"盤 DVD収録内容
  1. イジメ、ダメ、ゼッタイ(PV)
  2. イジメ、ダメ、ゼッタイ(メイキング映像)
初回限定盤 "D"盤 DVD収録内容
  1. いいね!
  2. ド・キ・ド・キ☆モーニング
初回限定盤 "Z"盤 DVD収録内容
  1. ヘドバンギャー!!
  2. ウキウキミッドナイト
BABYMETALライブ情報
「I、D、Z ~LEGEND "D" SU-METAL聖誕祭」

2012年12月20日(木)東京都 赤坂BLITZ
OPEN 17:30 / START 18:30
料金:MOSH'SH PIT(全席立見) 3500円
(スペシャルCD付 / ドリンク代別)
チケット一般発売日:2012年11月17日(土)

ライブDVD / Blu-ray「The Lollipop Kingdom Show」 / 2012年10月10日発売 / PONY CANYON
Blu-ray盤 5800円 / PCXP-50139
DVD盤 3900円 / PCBP-52439
BABYMETAL(べびーめたる)

BABYMETAL

SU-METAL(Vo, Dance)、YUIMETAL(Scream, Dance)、MOAMETAL(Scream, Dance)からなるメタルダンスユニット。2010年、「アイドルとメタルの融合」をテーマに結成。2011年に発表した楽曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」のPVが、YouTubeを通じて国内外で大反響を呼んだ。ライブではアイドルの枠を超えたアグレッシブなパフォーマンス(激しいヘッドバンギングやウォールオブデスを彷彿とさせる“かけっこ”など)も魅力のひとつ。2012年3月にキバオブアキバとのスプリットシングル「BABYMETAL×キバオブアキバ」を発表。同年7月、初の単独名義でのシングル「ヘドバンギャー!!」をリリースした。2013年1月にはメジャー1stシングル「イジメ、ダメ、ゼッタイ」を発売する。

SuG(さぐ)

2006年に結成された5人組ロックバンド。現在のメンバーは武瑠(Vo)、masato(G)、yuji(G)、Chiyu(B)、shinpei(Dr)。バンド名はスラング「Thug」に由来し、「周りの意見を気にせずに自分たちの思ったとおりに進む人たち」「悪友」という意味を持つ。結成当初より「HEAVY POSIVIVE ROCK」というコンセプトを掲げ、前向きなメッセージを乗せたキャッチーな楽曲で人気を博す。2010年1月、シングル「gr8 story」でメジャーデビュー。メンバー全員が作曲を行い、作詞とそれに基づいた世界観、PV、衣装などのアートワーク全般を武瑠が手がける。また、武瑠は俳優として2009年春公開の映画「ビートロック☆ラブ」に出演。2010年3月には自身のファッションブランド「million $ orchestra」を立ち上げ、同年12月発売の女性ファッション誌「KERA」では表紙を飾った。さらに2012年1月には初の著書「TRiP」も刊行し話題を集めた。同年4月にメジャー3rdアルバム「Lollipop Kingdom」を発売。同作に伴う全国ツアーではアルバムを曲順どおりに演奏し、ファンを驚かせた。9月にニューシングル「sweeToxic」をリリース。