十五少女|大人になる瞬間があるって信じてるのは、子供だけだ── 謎多き「音楽×仮想世界プロジェクト」の全貌に迫る

「十五少女」を紐解く15のキーワード

ここでは、「十五少女」プロジェクトで使用される特殊な語句を解説した文書の一部を紹介する。「十五少女」の世界を読み解くヒントとして活用してもらいたい。

いち-ごー-エス-ジェイ【15SJ】《名》

十五少女のモデルとなった15名の少女たちを指すコードネーム。ひとごーエスジェイ。彼方に実在するOriginからなる。「──の経験したことを追体験する」

おとな-バス【大人バス】《名》

彼方において、特定の対象者を子供都市(⇒同項)へ送り届けるための乗り合い乗用車。毎年選定される12~19歳の適格者のもとへ8月31日に現れる。その時期を事前に知ることはできないが、最終的にすべての者が乗ることになるとされる。15SJ(⇒同項)が乗車した大人バスの個体識別名は火具鎚十二号。「大人になるために必ず──に乗らなければならない」

大人バス
かぐつち-し【カグツチ市】《名》

火の神・軻遇突智(かぐつち)を祀る神社を中心とした面積およそ200平方キロメートルの市。人口はおよそ35万人。市町村区制施行の際に火具鎚市として成立し、のちに表記が変更された。「15SJが生まれ育った──は、かつて全国有数の地方工業都市であった」

カグツチ市
かし-か【可視化】《名・他サ》

[1]Juvenile Commune(⇒同項)の構築を指す。[2]十五少女プロジェクトにおいて出力される主要5形態のコンテンツ(音楽、小説、マンガ、音声ドラマ、アニメ)のうち、最終目的たるアニメ化を指す。火具鎚十二号の全旅程(⇒純然生成プロセス)が再現される予定。

かそう-しょうじょ【仮想少女】《名》

15SJ(⇒同項)による純然生成プロセス(⇒同項)を可視化(⇒同項)する目的のために用意された3Dモデルのこと。avatar。必要に応じて15SJ以外をモデルとする仮想少女も制作される。

かちょう-か【可聴化】《名・他サ》

十五少女プロジェクトにおいて出力される主要5形態のコンテンツ(音楽、小説、マンガ、音声ドラマ、アニメ)のうち、音楽および音声ドラマの制作を指す。音楽は主として物語に対する感受性を深化、促進する目的で此方にて新たに創作される。音声ドラマは可読化(⇒同項)を拡張する目的で制作され、SOUNDRAMAと呼称される。

かどく-か【可読化】《名・他サ》

十五少女プロジェクトにおいて出力される主要5形態のコンテンツ(音楽、小説、マンガ、音声ドラマ、アニメ)のうち、小説化およびマンガ化を指す。火具鎚十二号の全旅程(⇒純然生成プロセス)の前日譚にあたる15SJそれぞれの生い立ちや生活の様子が記録される。

こども-とし【子供都市】《名》

彼方において、大人にならんとする者に訪問を目指すことが義務付けられている都市。大人バス(⇒同項)の最終目的地。「──には子供たちの夢や憧れを叶えるための施設が立ち並んでいるらしい」「──は四の街とも言われ、そこには死、詞、志、始などの意味が含まれている」

こども-とし-こうそう【子供都市構想】《名》

十五少女プロジェクトを遂行する母体組織の呼称。此方と彼方にそれぞれ存在する組織からなるジョイントベンチャー。彼方の組織からは大人バス運営会社とアウルスト教団など、此方の組織としてはエイベックス、講談社、大日本印刷(DNP)などが名を連ねている。

ジュブナイル【juvenile】《名》

[1]少年少女。転じて、少年少女向けの読み物。「ヴェルヌの『十五少年漂流記』は代表的な──小説だ」[2]十五少女プロジェクトの根幹をなす概念。物語の登場人物が子供時代の夢と決別する姿を描くことで、少年少女たる読者の不安定な精神状態に均衡をもたらす現象のこと。「ただ鑑賞するだけではなく、登場人物視点で物語内に没入することでより高い──効果が得られる」

ジュブナイル-コミューン【Juvenile Commune】《名》

子供都市構想(⇒同項)によって構築される仮想空間(メタバース)の呼称。此方と彼方が交信を行える唯一のプラットフォームで、15SJ(⇒同項)の仮想少女(⇒同項)が表現活動を展開する場として機能するほか、将来的には傍観者たる視聴者がavatar(⇒仮想少女)に憑依してanima(⇒多重人格構造)としての役割を担うことも想定されている。

じゅんぜん-せいせい-プロセス【純然生成プロセス】《名》

火具鎚十二号(⇒大人バス)における全旅程のこと。また、その過程で記録された15SJ(⇒同項)のモーションデータのこと。火具鎚十二号の旅程において純然(透明なまま濁る)と呼ばれる現象が見られたことに由来。大人バス(⇒同項)および子供都市構想(⇒同項)によって記録されたデータのほか、15SJ自身がスマートフォンで記録したデータも含まれる。彼方側の個人情報保護法により15SJの映像および音声データをそのまま公開することはできず、使用が認められるのはモーションデータのみ。「──の再構築には仮想少女化と追体験音声の再録が必須だ」

せかい-エフェクト【セカイエフェクト】《名》

十五少女プロジェクトにおける成果物に対する此方の世間からの反応のこと。具体的にはTwitterのいいね数やリツイート数、YouTubeの再生回数やコメント数などによって数値化される。セカイエフェクトの数値が一定基準を超えることが本編アニメーション化の条件であるとされる。「資金ではなく──つまり関心を事前に集めるという意味で、本計画はある種のクラウドファンディングであるとも言える」

たじゅう-じんかく-こうぞう【多重人格構造】《名》

仮想少女(⇒同項)の発する音声の再現を複数の人間が担う構造のこと。同一avatar(⇒仮想少女)に対し歌唱担当と発話担当を別個に割り当てるなどの体制を指す。avatarに憑依して活動する此方の人間をanimaという。「15SJは複数のanimaからなる──で成り立っている」

はち-がつ-さんじゅうに-にち【8月32日】《名》

大人バス(⇒同項)がその旅程において通過する虚数的な日時のこと。大人バスは通例8月31日に出発し9月1日に目的地へ到着するが、8月32日を挟むためその日程は2泊2日と表現される。

ディスコグラフィー

シングルおよびミニアルバム

「1st逃避行」ジャケット
「HATED」ジャケット
  • 1stシングル「逃避行」2021年4月1日リリース
  • 2ndシングル「ハンドメイド流星雨」2021年5月26日リリース
  • 3rdシングル「還る」2021年7月7日リリース
  • 4thシングル「君が死んだ日の天気は」2021年7月21日リリース
  • 5thシングル「今日だけは。」2021年8月4日リリース
  • 6thシングル「何度死んでも構わない。だから」2021年8月18日リリース
  • 7thシングル「死にたいと言ってくれ。」2021年8月27日リリース
  • 1stミニアルバム「HATED」2021年9月1日リリース

十五少女の音楽コンセプトは「SILENTHATED」。「SILENT(無言の)」と「HATED(嫌悪)」を組み合わせた造語で、それぞれ「LISTEN」および「DEATH」のアナグラムでもある。このうち「SILENT / LISTEN」には「ごくごく普通に生きる人々の日常に存在する声にならない声に耳を傾ける」、「HATED / DEATH」には「嫌われた死をあえて冒涜的に歌うことで“生きる”ことを肯定する」というテーマ性が込められている。

なお、ミニアルバム「HATED」は「HATED / DEATH」をテーマとする3rd~7thシングル曲をコンパイルしたもの。ボーナストラックとしてピノキオピーの「ノンブレス・オブリージュ」のカバーが収録されている。

RE:SING'LEプロジェクト

「RE:SING'LE」ジャケット
  • 「逃避行(如月モネの場合 / CV:水槽)」2021年11月24日リリース
  • 「ハンドメイド流星雨(皐月ソラの場合 / CV:楠木ともり)」2022年1月12日リリース

十五少女の楽曲のうち「SILENT / LISTEN」をテーマとするものには、それぞれインスピレーション元にあたる“ペルソナ”が存在する。そのペルソナ本人が自身をモデルに作られた楽曲を“リシング”する(歌い直す)試みが「RE:SING'LEプロジェクト」。全6曲が存在するという「SILENT / LISTEN」シリーズのうち2曲がすでにリリース済みで、残り4曲も2022年内に順次リリースされる。

ASTRONOTESシリーズ

「Alien」ジャケット
「アトム」ジャケット
  • 8thシングル「Alien」2022年4月20日リリース
  • 9thシングル「アトム」2022年5月4日リリース
  • 10thシングル「タイトル未定」2022年6月1日リリース
  • 11thシングル「タイトル未定」2022年7月6日リリース
  • 2ndミニアルバム「ASTRONOTES」2022年8月10日リリース

「SILENT / LISTEN」シリーズ、「HATED / DEATH」シリーズとは別に、“可読化”コンテンツのテーマソング的な立ち位置として「ASTRONOTES」と呼ばれる楽曲シリーズも存在する。その全6曲が2022年4月から8月にかけて連続リリースされる。