コミックナタリー Power Push - 「食戟のソーマ 弐ノ皿」
原作者・附田祐斗×米たにヨシトモ監督対談 全力で駆けるキャラを描く
10話先まで話を決めても、どこかで180度変えていく(附田)
──附田先生が第2期に期待するのはどのあたりでしょう。
附田 やはり恵ちゃんがグイッと成長するところですかね。「ソーマ」の世界って天才だらけなんです。もちろん恵ちゃんも天才なんですけど、その中でも読者に一番近いキャラクターが彼女ですから。以前までなら恵ちゃんが正面から立ち向かえなかったようなキャラとも、平等に打ち合っちゃうっていう成長があるので、恵ちゃんのエピソードは本当に楽しみにしています。
米たに 原作だとこの本戦は結構、反則技が多いんですよ。「テレビだとちょっとアウトかも」みたいな、いろんなパロディが入ってくるので(笑)。
附田 本当にすみません(笑)。
米たに その辺をどう料理していくかというのが、アニメスタッフ陣の腕の見せどころになってくるかなと思います。かなり力は入れているので、パロディに対してどこまで逃げないで立ち向かったかというのを見てほしいですね。
──第2期では選抜に出場する新キャラクターとして、美作昴が登場しますね。本戦では彼が出る試合だけが食戟形式となっていますが、何か理由があったのでしょうか?
附田 トーナメント形式って「こいつと勝負、次はあいつと勝負」という形が続きますよね。読者さん的に「はいはい、そうなるよね」「ああ、次はこのキャラが戦うでしょ」と予定調和になってしまうので、イレギュラーな要素を取り入れたかったんです。「ソーマ」でイレギュラーといえば、やっぱり食戟かなと。連載中は10話先までの内容を決めていたとしても、どこかのタイミングで話が180度回転するような仕掛けを作らなきゃいけないといつも思っているんです。だから「秋の本戦」の中で、食戟は仕掛けようと思っていました。
第2期では戦闘的な演出も(米たに)
──この対談収録前の空き時間に附田先生とお話させていただいた際、アニメ第1期の主題歌が大好きだとおっしゃっていましたね。
附田 そうなんですよ! 僕、主題歌の話をオフィシャルな場でしたくてしたくて(笑)。第1期はオープニングとエンディングで4曲あったんですけど、全部大好きで。4曲それぞれに特徴があるんですよね。「希望の唄」(ウルトラタワー)は「さあ少年マンガが始まるぜ!」という爽やかさ。「スパイス」(東京カランコロン)は「バトルだけじゃないぜ。ほっこりしていってよ」という優しさ。「ライジングレインボウ」(ミソッカス)は「はい、戦闘モード入りますよ!」というのがあって。特に大森靖子さんの「さっちゃんのセクシーカレー」は好きで好きで……、もう大好き!(笑) 最初に歌詞を聴いたときの衝撃がヤバかったです。仮にも少年マンガを原作にしたアニメのエンディングテーマで「成長しないで さっちゃん」って面白すぎると思って。「セクシーカレー」という言葉自体もすごく異質ですし、上手いこと「ソーマ」らしさを残しながら、サブカルにスパーンと振り切っている。
米たに あの曲ができあがったときに「これでエンディングとして成立させられるんでしょうか?」ってみんなに心配されて。自分としては、明確なビジョンがもう見えていて「ああ、できるできる」みたいな会話がありましたね(笑)。
附田 あの曲はどういう流れでオファーなさったんですか?
米たに 最初に「こんなテーマでこんな気持ちの曲を書いてください」と、こちらからある程度意思表示をしています。アーティストさんの個性を尊重しつつも、歌詞だけでなく、「曲のテンポ、イントロはこのくらいの感じがほしいです」とか、それなりに細かい発注はしていますね。
附田 「セクシーカレー」以外の曲も、全部ちゃんと料理とシンクロしていて、「あっ、『ソーマ』読んでくれているんだ」という感じが歌詞から伝わってきたから、ありがたかったですよ。特に「希望の唄」のサビの「生まれ変わる」っていう歌詞は、実は「ソーマ」の結構深いテーマだったりするんですよね。そこをサビでビシッと言いぬいてもらっている。なので、あの曲が第1期の1クール目のオープニングテーマで良かったなあと。第2期の曲も楽しみです。
米たに 総じてマンネリにならないようにはしたいと思っています。「別の料理が出てきた」という感じがちゃんとした方がいいかなと。「同じカレーじゃないよ!」って。
──では最後に「食戟のソーマ」ファンにメッセージをいただけますか。
附田 僕は「ソーマ」のアニメの第2期がもうすぐ観られるというのが、原作者という立場を離れて、いち視聴者としてうれしいです。だから僕は視聴者の皆さんと同じテンションで、放送日を楽しみに待ちたいと思います。
米たに 私はずっと、ジャンプ作品のアニメを担当していなかったので「やっとジャンプに帰ってこれた!」と思っていまして(笑)。この作品って戦っても殺し合うわけではないですし、食べるものが出てきて幸せな気持ちになれるマンガなので、私が感じた幸せな気持ちを、視聴者にもちゃんと提供したいと考えています。ただ、「第1期とは違う料理だよ」というのは明確に打ち出そうと思っていて、戦闘アクションが多いアニメと見比べてみても遜色がないように、色指定から戦闘的な方向に変えてみたんです。戦闘とはいえ、「幸せな気分になれる」というのが終着点にあるアニメだと思って制作していますので、第1期から進化した「弐ノ皿」を見ていただけるとうれしいですね。
放送情報
- MBS:2016年7月2日より毎週土曜26時28分~
(※初回放送は7月2日26:58~ ) - TOKYO MX:2016年7月2日より毎週土曜22時00分~
- BS11:2016年7月3日より毎週日曜25時30分~
- アニマックス:2016年7月12日より毎週火曜22時00分~
(※リピート放送:2016年7月12日より毎週火曜27時00分~ ほか)
スタッフ
- 原作:附田祐斗・佐伯俊 協力:森崎友紀
(集英社「週刊少年ジャンプ」連載) - 監督:米たにヨシトモ
- シリーズ構成:ヤスカワショウゴ
- キャラクターデザイン:下谷智之
- 音響監督:明田川仁
- アニメーション制作:J.C.STAFF
- 音楽:加藤達也
キャスト
- 幸平創真:松岡禎丞
- 薙切えりな:種田梨沙
- 田所恵:高橋未奈美
- 葉山アキラ:諏訪部順一
- 黒木場リョウ:岡本信彦
- タクミ・アルディーニ:花江夏樹
- 新戸緋沙子:大西沙織
- 薙切アリス:赤﨑千夏
- 美作昴:安元洋貴 ほか
Blu-ray Disc「食戟のソーマ 弐ノ皿 第1巻<初回仕様版>」 / 2016年9月28日発売 / 7020円 / ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
DVD BOX「食戟のソーマ 弐ノ皿<初回仕様版>」 / 2016年11月23日発売 / 9612円 / ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
- DVD BOX「食戟のソーマ」 / ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
- 2016年8月24日発売 / 上巻<初回仕様版>(1~12話収録)/ 9612円
- 2016年9月28日発売 / 下巻<初回仕様版>(13~24話収録)/ 9612円
附田祐斗(ツクダユウト)
福岡県出身。2010年に週刊少年ジャンプ(集英社)にて、サッカーを題材にした「少年疾駆」で連載デビューを果たす。その後、佐伯俊とタッグを組み、2012年より週刊少年ジャンプにて「食戟のソーマ」を連載開始。同作はテレビアニメ化、ゲーム化、ノベライズなどさまざまなメディアミックスが展開されるヒット作となる。
米たにヨシトモ(ヨネタニヨシトモ)
アニメーション監督。代表監督作品に「笑ゥせぇるすまん」「勇者王ガオガイガー」「ベターマン」「BRIGADOO まりんとメラン」「星の海のアムリ」 「Dororonえん魔くんメ~ラめら」、映画「ザ・ドラえもんズ」シリーズ、「劇場版TIGER&BUNNY」シリーズなど。