コミマガをマユリカ・中谷が体験!出版社横断型の新しいマンガアプリ、その使い心地やお気に入りの作品は? (2/2)

すでに申し分なし、でも叶うなら……

──コミマガを実際に触ってみて、「ここがもうちょっとこうだったらいいな」という改善案などは何かありますか?

いや、そんな偉そうなことは(笑)。だってランキングとかもわかりやすく表示されていて、ジャンル別、雑誌別の一覧も出てきますし、オススメがバーンと大きく出てくるから注目作もわかりやすいし……めっちゃむずいな。ガチャとかミッションとかの機能もあるわけでしょう?

中谷

中谷

──申し分ない、という感じですか?

いやだって、逆に何かあります? 企業努力が日々行われている中で、僕がこの場で思いつくようなことなんて、とっくに会議で話されてるでしょうし。

──確かに(笑)。でも、そういう立場だからこそ無責任に言えることもあるかなと。

そうですねえ……“このアプリでどこまで読んだか”がひと目でわかるような、達成度のデータが可視化されたらうれしいかな、ぐらいですかね。でも、その機能がないと困るってほどでもないしなあ……。

──不満はほぼない?

もちろんないですよ!

──例えばものすごく非現実的なことを無責任に言うと、今ある全マンガアプリの作品がここで読めたら最高だな、と個人的には感じたんですよね。

確かに、TVerみたいにすべてがそこに集約されているのが理想ではありますよね。あちこちに分散されるよりは、まとまっていてくれたほうがユーザーとしてはありがたいですから。まあ難しいんでしょうけど……。

(コミチスタッフ) がんばります(笑)。

“マンガ描いてた芸人”というアイデンティティ

──ここからは中谷さんのパーソナルなお話も聞かせてください。中谷さんはマンガ好き芸人として知られていますが、描き手でもあったんですよね。

そうですね。そこは1個アイデンティティかもしれないですね。描いてたことがあるというのは、マンガ好き芸人の中でもだいぶ限られると思うので。

──しかも、かなりお若い頃から担当さんがつくほどの実力だったと聞いています。そこからなぜお笑いの道に?

それがそうでもなくて、思ったほどトントン拍子にいかなかったんですよ。それで、マンガのほうで伸び悩んでいた時期に幼なじみの相方から「お笑いやらへんか」と誘われて、根がミーハーなもので「あ、そのほうがテレビとか出てモテるかも」と思ったんです。結果論ですけど、やっぱマンガ家の才能なかったなと今は思えますし、マンガの道を目指し続けなくてよかったと思っています。別にお笑いの才能があったと言うつもりはないですけど、まだこっちのほうが向いてたかもなって。

中谷

中谷

──そして現在はお笑い芸人として多忙な毎日を送られていると思いますが、マンガを読む時間はどのように確保していますか?

実はそんなに取れてるかと言われたら、そうでもないかもしれないです。中学生ぐらいのときから、寝る前にうつ伏せの姿勢で寝落ちするまでマンガを読むというのがルーティーンになってたんですけど、今もその時間ぐらいですかね。読む量にも波があって、一気に8冊ぐらい読んでしまうこともあれば、3ページぐらいで寝てしまうときもあったり。

──かなり幅広くたくさん読まれているイメージもありますが……。

どうなんですかね? ぶっちぎりで読んでる人が周りにいるので、それに比べたら全然ですけど。無理なく読める範囲内で、って感じですね。

──惹かれる作品の傾向などはありますか?

完全なファンタジーよりは、リアリティとフィクションがバランスよく入ってるものが好きかもしれません。例えば「BLEACH」とかって、ファンタジー要素はあるけど現実世界がベースになっているじゃないですか。その感じが好きですね。

──フィクションすぎると気持ちが入らない?

自分と関係なさすぎないぐらいがいいというか。さっきお話しした「ペリリュー」なんかもまさにそうですけど、自分が置かれている状況とはかけ離れた世界が描かれていても「うわ、これあるわー」って共感できるポイントがところどころにある、とかですかね。「NARUTO -ナルト-」とかもそうですよ。あれは完全ファンタジーだけど、人間ドラマとしてあれだけ作り込まれてたら引き込まれますね。

中谷

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魚豊=マンガ界の高比良くるま

──普段マンガを読んでいて、描いていたからこそ見てしまうようなポイントはありますか?

描き文字は見ちゃいますね。「ドン」とかのオノマトペが適当に描かれていると、僕はけっこうがっかりしちゃうかもしれません。それもデザインの1個ちゃうの?と思ってしまうんですよね。

──あれをちゃんと絵として捉えている作家さんの画面は、やはり美しいですもんね。

そうそう。「僕のヒーローアカデミア」の堀越耕平先生とか、「BLEACH」の久保帯人先生とかはそこが素晴らしいなと思っています。生意気で申し訳ないですけど。

──いえ、とてもよくわかります。

あとけっこう思うのは、服装。「この作家さん、マジで服に興味ないんやろな」というのが一撃でわかるんですよ。中でも、靴の描き方にそれが一番出ると思っていて。例えば「これ描いて死ね」のとよ田みのる先生とは面識もあるんですけど、あの人自身はそんなに服に興味ないと思うんですよ。でも「このキャラはリーボックのスニーカーを履くタイプなんや」とか「ビルケンシュトックのサンダル履いてるやん」とかを楽しめる。それってファンサービスの一環でもあると思うんですよね。

中谷

中谷

──「靴に違いが出る」というのは、以前取材させていただいた魚豊先生もまったく同じことをおっしゃっていました。一番記号的になりやすいパーツだと。

そうなんや! うれしいー。僕、めっちゃ的確なことを言ったってことじゃないですか(笑)。確かに魚豊さん、めっちゃおしゃれですもんね。

──しかもお話もめちゃくちゃ面白くて。

面白いですよね! マンガ界の高比良くるま(令和ロマン)だと僕は思っているので、一度魚豊さんとくるまを会わせたことがあるんですよ。2人の会話がどんどん高次元すぎるところまで飛躍していって、何をしゃべってるのか僕には全然わからなかったです。

──目に浮かぶようです(笑)。

あの2人の間でしかわからんような話をずっとしてましたね。面白かったー。

絵を描く仕事は楽しい

──またマンガを描いてみたい気持ちは?

そんな本格的にとかはないですけど、ちょっと絵が描ける芸人としてお声がけいただくお仕事は楽しいですね。例えば「霧尾ファンクラブFC」っていう「霧尾ファンクラブ」のスピンオフ本が昨年出てるんですけど、そこで4ページのトリビュートマンガを描かせていただいたりしていまして。それぐらいがちょうどいいかもしれないです。

──芸人さんが原作のマンガなどもあったりしますが、そういったお仕事にご興味は?

いやいや、恐れ多いですね。手を動かすのは好きなので、ペン入れとかはめっちゃ楽しいんですけど。

──そうなると逆に、どなたか原作者の方と組んで作画だけ担当するとか。

どなたか……大場つぐみ先生とかでもいいってことですか?

──いや(笑)、「誰を」というよりは、作画に専念できるならやりたいですか?くらいの意味ですけど。

いやまあ、冷めるリアルな話をすると、今のこの仕事をしながら連載マンガを執筆するというのは現実的に無理があるなと思いますね。

──まあそうですよね。例えばですけど、相方の阪本さんが原作で中谷さんが作画のマンガがあったら、すごく読んでみたいところですが……。

確かに、コンビで原作・作画を手がけたパターンは前代未聞でしょうから、そこの席はまだ空いてるのかなとは思いますけど……おもんなかったらめっちゃ恥ずかしいですよ。

──確かに(笑)。ハードルはものすごく上がりますよね。

コンビで役割分担までして「おもんな!」ってなったら、ヤバいですよ(笑)。“普通に面白い”ぐらいじゃ許されないと思いますし、相当おもろないと成立しないんで、リスクしかないですよね。だからやらないと思います(笑)。

中谷

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世の中で僕しか味わっていない幸福感

──ちょっと大掴みなお話になってしまいますが、マンガが中谷さんの仕事や人生にもたらしたものとはなんでしょう?

それはやっぱり、今のこの立場でしょうね。学生時代にめちゃくちゃ好きだったマンガ家さんに会えてしまっているという。「うえきの法則」の福地翼先生とか「いでじゅう!」のモリタイシ先生とかは、ちょいちょい一緒にごはん食べるぐらいよくしてくださっているんですけど、サンデーっ子だった僕からすると信じられない、嘘みたいな話なんですよ。

──それこそ、あだち充先生にもお会いになっていますし。

そうですよ! この年末年始に開催されていた「あだち充展」に寄稿した僕の色紙が、高橋留美子先生や青山剛昌先生などの並びで一緒に飾られていたんです。意味わからんくて! こんなん、ただのオタクの妄想みたいなことじゃないですか。恐ろしいですよ。

──なんなら、普通にマンガ家を目指していたらその並びに色紙が並ぶまでにはなっていなかったかもしれないですし。

マジでそうですね。これは世の中で僕しか味わっていない幸福感かもな、と思う瞬間はかなりあります。

「マユリカ中谷さんおすすめマンガ特集」

コミマガでは期間限定で、本記事で中谷が紹介している作品をお得に読めるキャンペーンを開催中。この機会をお見逃しなく。

キャンペーン期間

2026年2月18日(水)~28日(土)

対象作品

  • 森恒二「ホーリーランド」
  • 三浦建太郎「ベルセルク」
  • 岡田卓也「動物人間」
  • 羽海野チカ「3月のライオン」
  • 森恒二「自殺島」
  • 克・亜樹「ふたりエッチ」
  • 地球のお魚ぽんちゃん「霧尾ファンクラブ」
  • つくしあきひと「メイドインアビス」

プロフィール

中谷(ナカタニ)

1989年10月23日生まれ、兵庫県神戸市出身。相方・阪本とは3歳からの幼なじみ。2010年にNSC大阪校33期生として入所し、2011年にマユリカを結成する。2017年に「第二回上方漫才協会大賞」新人賞を受賞。2023年4月、活動拠点を大阪から東京へと移す。Podcast番組「マユリカのうなげろりん!!」を配信中。