コミックナタリー Power Push -「ACCA13区監察課」

諏訪部順一×遊佐浩二

2人だけでは作れない、グロッシュラーとリーリウムの対立関係

“対立”の表現の仕方

──「ミスリードする重要な役回り」というお話もありましたが、おふたりがそれぞれのキャラクターを演じるうえで、やりがいを感じられた部分など教えていただけますか。

諏訪部順一

諏訪部 グロッシュラーもリーリウムも物語の本筋に関わるキーパーソンです。そういったポジションのキャラクターを演じさせていただけるというのは、やはりありがたいですね。グロッシュラーは表情豊かなキャラクターではないので、限られたセリフの中でどれだけ印象を残せるか、そしてそれによって視聴者をどれだけ真実とは違う方向へと誘導できるか、そこがポイントでした。グロッシュラーの立ち位置がぼやけることなく、説得力を持たせられるようにと取り組んできました。

遊佐 難しいところですよね。グロッシュラーもリーリウムも言葉数が多いわけではないですし。「グロッシュラーとリーリウムは対立している」と言いつつも、本編中ではそこまでやり合っているセリフはあまりないんですよ。2人とも大人ですし、「5長官」という責任を持った立場でもありますので、ギャンギャンと言い合うような対立の仕方ではない。ただ、お互い芯のところで譲れないものがあるというのを言葉少なに表現していかなきゃいけない。その雰囲気作りが大切で。

諏訪部 冷戦のような空気感ですね。

遊佐 そういった人間関係はほかの3長官のセリフにも助けられながら構築されていると思います。周りのキャストの方々の力がなかったら、2人の対立している関係は明確に表現できなかったかもしれません。

──確かに「この作品は空気が大事」というのは、前回のインタビューで下野さんと津田さんもおっしゃっていました。

諏訪部 表情豊かに大きく表現していくほうが演じていてもフラストレーションがたまりませんし、「良い演技」として評価してくださる人も多いと思うんです。けれど実際は、抑える演技のほうが格段に難しいもので。自分の感情をコントロールしながら、振り幅があまりない中で言わんとしていることをきちんと表現するというのは難度高めです。グロッシュラーは難しい役どころでしたが、そのぶん楽しくもありました。

遊佐 グロッシュラーは誰にも相談できないから大変ですよね。1人でストレスを抱えて胃を壊しそう(笑)。だから白髪にもなっちゃって……。

諏訪部 そうですね、こんなに真っ白になっちゃって……って、もともとですよ(笑)。

──でもそのストレスの要因の1つにリーリウムの存在もあるのかなと思ってしまいました。第9話ではグロッシュラーにプレッシャーを与えるシーンもありましたし……。

アニメ「ACCA13区監察課」第10話より。

遊佐 脅しているつもりはないですよ(笑)。「グロッシュラーが望む世界を作るためにも、一緒に力を合わせてやっていきましょう」と理解し合っているうえでの行動なので。

諏訪部 双方の利害関係が概ね一致しているからこそ、手を組んだわけですからね。

遊佐 リーリウムのやっていることを絶対的な悪だと思うなら、グロッシュラーも手を組まないでしょうし。リーリウムもグロッシュラーの弱みを握って脅しているわけではなくて、グロッシュラーのACCAへの誇りや使命感をわかったうえで、彼が望んでいるものに近づくための提案をしているわけですから。

諏訪部 とはいえ、双方ともに腹の底では何を考えているのかわからないのが面白いですよね。

なかなかの異色作という気が(諏訪部)

──オンエアは第10話まで終わりましたが、アニメーションとしての「ACCA」にはどんな魅力を感じていますか?

諏訪部 昨今のアニメ作品の中だと、間で見せるようなシーンが多く、静かに時間が流れていくような印象を受ける「ACCA」は、なかなかの異色作という気がします。自分的にはこの雰囲気が非常に心地良いのですが、たとえばカット数が多かったり、派手なアクションだったり、セリフ量が非常に多い作品を日頃見慣れているような方たちからすると、このテイストはどのように感じるんでしょう? 気になるところですね。

遊佐 音楽も含めて全体の雰囲気がすごくゆったりしているので、お酒を飲みながらじっくりと観たいですよね。もしかしたら物足りなく感じる方もいるのかもしれないとは思います。ただこういう雰囲気を楽しめる余裕を持ってほしいという気持ちもありますね。「激しい動きや音楽がないとお~、バイブスが上がらないいいい~!」っていう方もいらっしゃるかもしれないですが(笑)。

諏訪部 「強い刺激がないと満足できない!」という方、多いかもしれないですね(笑)。

遊佐 でもこの作品は、表面的には穏やかに時間が流れているように見えるけど、裏ではいろんなことが動いている。裏を読みながら楽しめるのも「ACCA」の魅力の1つだと思います。

主人公のジーン・オータス(CV:下野紘)。

諏訪部 そうですね。主人公のジーン・オータスも、本心が最後の最後までよくわからないキャラクターなのですが、そのわからなさ加減というか、物語の引っ張り方が絶妙ですよね。原作も最後の最後で「マジか!?」という、いい意味のサプライズがありました。読了後の後味がいい作品です。アニメでも同じように、素晴らしい最終回を迎えられたらと思います。

ACCA13区監察課

テレビアニメ「ACCA13区監察課」

あらすじ

13の自治区に分かれた王国にある、巨大統一組織“ACCA(アッカ)”。かつてクーデターの危機により結成されたACCAは、国民の平和を守り続け100年が経とうとしていた。ACCA本部の監察課副課長 ジーン・オータスは、「もらいタバコのジーン」の異名をもつ、組織きっての食えない男。飄々とタバコを燻らせながら、13区を廻り不正がないか視察を行っている。そんなジーンを見つめる視線、不穏な噂と──おやつの時間。ジーンの平和な日常は、ゆっくりと世界の陰謀に巻き込まれていく!

放送情報
  • TOKYO MX:毎週火曜23:00~
  • サンテレビ:毎週火曜24:00~
  • KBS京都:毎週火曜24:30~
  • テレビせとうち:毎週火曜26:10~
  • BS11:毎週水曜24:30~
配信情報

見放題配信 アニメ放題 / バンダイチャンネル / ビデオパス / Hulu / プレミアムGYAO! / dアニメストア / dTV / U-NEXT
毎週木曜12:00~

AbemaTV
毎週土曜24:00~

都度課金 バンダイチャンネル ほか
毎週木曜12:00~

無料ライブ配信 AbemaTV
毎週土曜23:30~

ニコニコ生放送 月イチ振り返り配信
配信日時:2017年3月26日(日)20:00~25:30頃
配信内容:第1話~第11話
※配信時間は予告なく変更になる場合あり。
※1週間のタイムシフト視聴が可能。
スタッフ
  • 原作:オノ・ナツメ(掲載 月刊「ビッグガンガン」スクウェア・エニックス刊)
  • 監督:夏目真悟
  • シリーズ構成:鈴木智尋
  • キャラクターデザイン:久貝典史
  • 総作画監督:小田剛生、吉田奏子
  • 衣装設定:榎戸駿
  • 小物設定:五十嵐海
  • 美術監督:吉岡誠子
  • 色彩設計:橋本賢
  • 撮影監督:伏原あかね
  • 3D監督:籔田修平
  • 編集:木村佳史子
  • 音響監督:はたしょう二
  • 音楽:高橋諒
  • アニメーション制作:マッドハウス
キャスト
  • ジーン・オータス:下野紘
  • ニーノ:津田健次郎
  • ロッタ:悠木碧
  • グロッシュラー:諏訪部順一
  • リーリウム:遊佐浩二
  • スペード:大川透
  • パスティス:緑川光
  • パイン:安元洋貴
  • モーヴ:田中敦子
  • ポチャード:後藤ヒロキ
  • オウル:上田燿司
  • ノット:前野智昭
  • レイル:八代拓
  • シュヴァーン:宮野真守
  • マギー:上村祐翔
  • ファルケ2世:中尾隆聖
  • クヴァルム:石塚運昇

©オノ・ナツメ/SQUARE ENIX・ACCA製作委員会

「ACCA13区監察課 1」 / 2017年4月21日発売 / バンダイビジュアル
Blu-ray BOX / 14040円 / BCXA-1225
Blu-ray BOX / 14040円 / BCXA-1225
DVD BOX / 11880円 / BCBA-4830
「ACCA13区監察課 2」 / 2017年6月23日発売 / バンダイビジュアル
Blu-ray BOX / 14040円 / BCXA-1226
DVD BOX / 11880円 / BCBA-4831
「ACCA13区監察課 3」 / 2017年8月29日発売 / バンダイビジュアル
Blu-ray BOX / 14040円 / BCXA-1227
DVD BOX / 11880円 / BCBA-4832
諏訪部順一(スワベジュンイチ)

東京都出身、3月29日生まれ。声優、ナレーター。主な出演作は「ユーリ!!! on ICE」(ヴィクトル・ニキフォロフ役)、「テニスの王子様」(跡部景吾役)、「黒子のバスケ」(青峰大輝役)など。

遊佐浩二(ユサコウジ)

京都府出身、8月12日生まれ。声優、ナレーター。主な出演作は「青の祓魔師」(志摩廉造役)、「鬼灯の冷徹」(白澤役)、「弱虫ペダル」(御堂筋翔役)など。


2017年4月7日更新